同人印刷の奥付って何?

日本で発行されている書物の多くは、最後のページに奧付がされています。奥付がされているのは、日本の出版社の書物ばかりではなく、外国でも見受けられるようです。では、最後のページはいったいどのような内容になっているのでしょうか。奥付の実態などを見ていきましょう。
その本の責任の所在を示すためにある
奥付とはいったい何のために書かれているのでしょうか。それをじっくり読んだ人も検討したことがある人もほとんどいないはずです。実は、わざわざ最後のページの本に情報が掲載されているのはしっかりした意味があり、その理由がその本の責任の所在を示すものだからです。
同人誌の場合であれば、その本を発行した人がだれなのか、そしていつ発行したのかなどはそこを見ることによって明確になるわけです。これにより、何か問題が生じた場合にはその責任者に責任をとってもらうことができるようになります。
このような意味においては、とても重要なものになりますが、逆にこれがあることにより、信頼できる同人誌になることがわかるでしょう。もともとこのルールは、同人誌ができるずっと昔から適用されていました。1720年ごろ江戸時代で発生したといわれています。
大岡越前と呼ばれる奉行がテレビの時代劇ドラマに出ていることを知っている人はいるかもしれませんが、その人は実在した人でこの奥付をつくった人が大岡越前といわれているわけです。
なぜそのようなことをしたかといえば、当時江戸の町では書籍の海賊版が随分とはやっていました。この海賊版を放置していると、本物の本の売れ行きが悪くなってしまいます。
そこで立ち上がったのは大岡越前で、本の最後にその本を書いた人や住所そして発行した日時などを書くことでその本が海賊版ではなく本物であることを証明しようとしました。これがのちに義務化されており、しかも検閲されたのが当時のしきたりでした。
1945年以降は、検閲自体が禁止されていますので、そもそも奥付をする理由もなくなったわけですが、現代でもこの習慣が残っているわけです。それは、何となく習慣として残っているというよりも、本物であることの証明として役に立つからです。
そのため、同人誌を発行する場合は特につけなくてもよいものになるでしょう。少なくとも、それを記入したからといって法律に反することや逮捕されるようなことはありません。
ただ習慣として多くの人は、それがあることにより「この本をつくった人は信頼できる人だ」と考えるようになっていますので、特に個人単位で発行しているものに関しては、つけておいたほうがよいといえます。
本格的に奥付を書く場合はどのような内容にするか
もし、同人誌を発行し奥付をつけるとしたらいったいどのような内容にしたらよいのでしょうか。
まず確実に記入しておきたいのは本のタイトルになります。本のタイトルは表紙などを見れば書いていますが、少ししつこいと思うぐらいに最後のページにも載せておきましょう。いわゆる正式なタイトルと呼ばれるものがそこに並んでいます。
書籍によっては、タイトルよりもサブタイトルのほうが目立ってしまっていることもありますが、最後のページに描くのはサブタイトルではなく正式なタイトルのほうです。そのため、その本の正しいタイトルを知りたい場合は、最後のページを見ればわかる仕組みになっています。
次に重要なのは、いつ発行したかになります。例えば、最初に500冊の同人誌を印刷した場合は同じ日に印刷しているはずです。このときの日付を書いておきましょう。西暦であっても西暦でなくても読む人がわかればどちらでもかまいません。
もし、増産する場合にはこの日付を変更しなければいけません。つまり最初の500冊をすべて売れてしまい、再び500冊を印刷する場合には、再び刷ったときの日付を書く必要があるわけです。
ちなみに、この日付は必ずしも刷った日でなくてもよいとされています。場合によっては、市場に流通する予定日でも問題ありません。ただそれが予想できない場合は、とりあえず刷った日を記入しておくのがよいでしょう。
このようにすれば、最初に発行されたものなのかそれとも別の機会に発行されたものなのかがわかります。ちなみに、少し修正して発行してもかまいません。大幅に中身が変わってしまい別の本になってしまった場合はタイトルなども変えなければいけませんが、少しぐらいの修正ならば特に同じ本のタイトルのままで問題ないと解釈されています。
奥付では、著者名を記入する決まりがあります。著者名は、一般的には個人の名前になりますが本名でなくてもかまわないのが決まりです。
実際にインターネット上などに流通している本などでも最近は匿名のものが多くなっているでしょう。ハンドルネームなどを使ったものも多く、特にこれで問題ないとされています。つまり、その書籍を書いた人がだれなのかわかればよいと解釈しておきましょう。
では、同人誌の場合のように一人ではなくグループで作っている場合はどうでしょうか。場合によっては、グループに属している人の名前を全員記入する必要もありますが、人数が多い場合には、わざわざそのようなことをする必要はありません。この場合には、グループ名や団体名などを記入していても問題ないことになっています。
ある程度プライバシーのことも書く
奥付には特にプライバシーに関するもの載せなくてもよいですが、信頼してもらうためには、ある程度プライバシーのことも書いたほうがよいです。例えば、著者名もそうですが営業部の電話番号などです。会社単位で発行している場合にはその会社の住所なども記入しておいたほうがよいでしょう。
もし個人の場合は、無理して個人の住所や電話番号を書く必要はありません。なぜこのように住所や電話番号を記入したほうがよいかといえば、その本に何らかの問題があった場合、責任を追及するためです。特に電話番号に関しては、何かトラブルが生じた場合すぐ対応してくれる番号を記入しておきましょう。
もちろん自分の電話番号が漏れてしまうと感じる場合には、書く必要はありませんが、書いておいたほうが信頼される傾向があるでしょう。本人のプライバシーとは違いますが、印刷をしてくれた業者名も書いておいたほうがよいです。
製本業を営んでいる会社にお願いした場合には、その会社の名前を書いておくべきでしょう。ある意味、その会社のアピールになるため、それらの会社が奥付に名前を載せることに対して否定的な意見を言うことはあまりないでしょう。
特にそれらの会社に断りもなく奥付に名前を書いてもよいです。そもそも業者としては、ほかの書籍をいくらでも発行していますので、何度か自分の会社の名前が書かれているはずです。同人誌だけ拒否をするようなことは少なくともないでしょう。
このように、奥付に記入するべき内容はたくさんありますが、逆に記入しないほうがよいものもあります。例えば定価です。定価を記入したらいけないわけではありませんが、価格変更する場合奥付の部分の印刷もし直さなければならず少し面倒です。
同人誌を印刷する場合にも、奥付を記入しておいたほうがよいでしょう。奥付を本の最後のページに記入することにより、その本の責任の所在を明らかにする役割があります。だれが印刷をしてだれが著者なのかそしていつ発行されたものなのかを明確にするわけです。
プライバシーに関することを記載してもよいですが、絶対に掲載しなければならないわけではありません。そのため、自分の電話番号などを記入することに抵抗がある場合には、無理して記入をしなくてもよいです。