同人誌の作品をネットで公開するにはどんな方法がある?
同人誌は大好きなテーマに対して発揮した創造力を、ファンと共感できる自由な表現方法のひとつです。
オンラインインフラが整備された現在、自身で作成した同人誌をファンと共有する手段はたくさんあります。今回は同人誌の作品をネットで公開するメリットと方法、そして電子販売する際の注意点について、詳しく紹介いたします。
同人誌をWeb上で公開するメリット
同人誌とは、一般にはファンや趣味の同好者が自主的に制作し、自主販売または頒布する非営利の出版物のことです。特定の作品やキャラクター、ジャンルに関する二次創作作品や、オリジナルの漫画や小説、イラストなどが同人誌の形式で発表されます。
同人誌は、ファン同士が自分の好きな作品や、キャラクターについて独自の視点やアイデアを盛り込み、創作活動する場として、漫画やアニメ、ゲームといった娯楽大国の日本ならではの不動の地位を築いている存在です。
年2回開催されるコミックマーケット(コミケ)は、世界一の規模を誇る同人誌の売買イベントです。多くの同人作品が販売され、ファン同士が交流する場となっています。
国内だけでなく海外からの注目も高く、お気に入りのキャラクターのコスチュームを身にまとった参加者などの様子がニュースでも取り上げられる様子は、もはや季節の風物詩として日本文化に定着しつつあるといえるでしょう。
同人誌の魅力は、ファン同士が自由な創作活動を楽しむことや、独自の視点やアイデアを表現できる点にあります。また、同人誌を通じて自身の作品を発表し、読者との交流やフィードバックを得ることも可能です。
そんな同人誌の制作は、一般的には個人やサークル単位で行われ、印刷や装丁、頒布方法などすべてを自主的に行います。昨今では一般書籍のほとんどがデジタル化しているように、同人誌をWeb上で公開する人も少なくありません。
同人誌をネット上で公開するメリットはいくつかあります。代表的なメリットとして「普及性の高さ」「コストとリソースの節約」「フィードバッグの早さ」「ファンとの交流のしやすさ」「知名度の上がりやすさ」の5つが挙げられます。
普及性の高さは、Web上で同人誌を公開することで、物理的な制約を受けずに世界中の読者にアクセスできることを意味しています。
日本国内であっても、同人誌売買イベントへの参加は開催地へのアクセスの容易さで困難な場合があります。一方Web上であれば、海外の人であっても簡単に同人誌にアクセスできることが魅力です。
このように地域や言語の制約を超えて、多様な人々に作品を届けられるのがメリットです。
二つ目の「コストとリソースの節約」は、印刷や配布にかかる費用や手間が削減できるためです。物理的なコピーを作成する必要がないので、印刷費や保管場所といった負担も軽減できます。
また、オンライン上では読者からのフィードバックやコメントを容易に受け取れることも魅力です。リアルタイムの反応を得られるので、作品の評価や改善点を把握しやすく、かつ作品更新や追加情報を随時公開できます。
さらに、ネット上の同人誌公開サイトやSNSを有効活用することで、読者とのコミュニケーションや交流の機会を広げられることもメリットです。読者と対話を通じて、作品への反応や意見を共有し、ファンベースを拡大することも可能です。
ファンベースというのはマーケティングで用いられる用語で、顧客に対する新しいアプローチの方法です。同人誌という「作品」をファンという「顧客」に届けるという意味では、企業もクリエイターも立場は同じです。
ファン(支持母体)を大切にすることで、自身の作品の精度を高め、より新しいファン獲得につなげられます。同人誌を作成するにあたり営利を求めていない場合でも、多くの同好の士に作品を見て欲しいという気持ちはあるはずです。
Webはファンとのコミュニケーションや、交流の場を用意しやすいということも利点です。ネット上での同人誌公開は、自身や作品の発信力を高める良い機会でもあります。会心の作をつくりあげても、誰にも知られなければ埋もれてしまいます。
作品がオンライン上で注目を集めれば、自身の名前やブランドの知名度を向上させることにもつながります。そうすることで、他のクリエイターやファンとのコラボレーション交流が生まれるかもしれません。
また、クリエイティブな仕事のオファーが来るということも考えられます。
同人誌をWeb上で公開できるサービス
同人誌をWeb上で公開できるサービスにはいくつかあります。
無料で読んでもらいたいという場合には「pixiv」「Amazon kindle」がおすすめです。pixivは利用者数が多い投稿サイトなので、作品を投稿すれば様々な人の目にふれることが期待できます。
作品内容がオリジナルであれば、Amazon kindleで0円出版するのも有効です。いずれのサービスも利用者が多いため、さまざまな人の目に触れる機会があるので新規ファンの獲得が期待できます。
発行してからしばらく経過し、無料公開してもよい同人誌がある場合に公開する場合におすすめです。同人誌を販売したいのであればBOOTHやとらのあな、DLsiteが利用しやすいサービスです。
BOOTHは販売金額の5.6%+22円という利用料金の安さが魅力です。とらのあなは同人誌販売の大手で、特に女性向けの同人誌の取り扱い数が世界一の販売サービスです。
掛け率は専売(とらのあな専用販売)で67%+税、併売(とらのあな以外でも販売)64%+税です。掛け率は販売時の価格に対する原価の割合を意味します。
DLsiteはダウンロード販売専門の委託販売店です。紙の同人誌を販売したい場合でも手数料なしでデータ化してくれるサービスを実施しています。
特に成人向け同人誌として知名度が高く、運営側がモザイク処理などに対応してくれるという利点があります。同人誌をWeb上で公開する際には、無料公開か販売の形をとるかを決めて、作品の内容に合わせた最適なサービスを選ぶことが大切です。
電子販売する際の注意点
同人誌を電子販売するメリットがたくさんあることは既に紹介した通りです。
ネット上で同人誌を公開することで、広範な読者層にアピールでき、コスト節約のメリットも得られ、即時かつ継続的なフィードバックが期待でき、コミュニケーションと交流の場の提供、発信力と知名度の向上といった魅力があります。
これらの要素を活用することで、より多くの人々に自身の作品を届け、ファンや支持者を獲得し、さらには自身の創作意欲を高めることにもつながります。
一方で、デメリットがないわけではありません。同人誌を電子販売するデメリットとして、無断転載の可能性が挙げられます。インターネットは誰もが情報を発信できる場です。
デジタルデータさえあれば、ボタン一つで情報を世界に供給できます。紙の情報であれば、スキャンしたり撮影したりといった手間を挟んでデジタル化する必要がありますが、最初からデジタル公開した作品はその手間もなく、すぐにネットに公開することが可能です。
悪意のある人によって無断転載されてしまう可能性もあるため、作品にSNSのIDやURLを入れたり、無断転載禁止の注意書きを入れたり、専用ビュアー・不正コピー対策をとっているサービスを利用するなどの対策をとることも大切です。
また、二次創作の同人誌を電子販売すると著作権問題などでトラブルが発生する可能性があることも留意が必要です。基本的には同人誌を電子販売する場合にはオリジナル作品でおこなうようにしましょう。
まとめ
同人誌の作品をネットで公開する方法について紹介しました。
Web上で同人誌を公開することで、広範な読者層にアピールでき、コスト節約のメリットも得られ、即時かつ継続的なフィードバックが期待でき、コミュニケーションと交流の場の提供、発信力と知名度の向上といった魅力があります。
無料公開する際には、pixivやAmazon kindleでの0円出版だと利用者が多く、さまざまな人による閲覧が期待できるのでおすすめです。
販売したい場合には、Booth・とらのあな・DLsiteの3つがおすすめです。Boothは販売手数料の安さ、とらのあなは女性向け同人誌の取扱数、DLsiteは成人向け同人誌の取扱数で人気があります。