同人誌で人気のネタ?トリップとはどういうストーリー?
同人誌は出版社の関与がなく、自費で製作・出版する代わりに自由な表現をできるのが魅力です。ただ、同人誌といってもさまざまなジャンルがあり、トリップと呼ばれるジャンルは人気カテゴリーの一つです。そこで本記事では、トリップとは何か、転生トリップや異世界トリップなど言葉の意味と違い解説していきます。
トリップとは
同人誌と聞くと、異なるアニメのキャラクターを組み合わせて物語を創造したり、アニメキャラクター同士の恋愛を描いたりと、自由な発想で物語を作れることが魅力です。
また、同人誌は出版社の関与がないため、制作者の自由に同人活動をできるのもポイントといえるでしょう。ただ、一口にマンガやアニメのキャラクターを題材に創作するといってもさまざまなジャンルがあり、「トリップ」というジャンルが人気カテゴリーの一つです。
トリップとは英語の「trip」が語源で、長期間の旅行を意味する「travel」とは異なり、比較的短い期間の旅を指す感覚で使われる言葉です。同人誌におけるトリップは英語のtripが語源になっていることに関連して、地球上に生きる主人公が別の世界、いわゆる異世界に飛ばされるというローファンタジーを描きます。
なお、ローファンタジーとは現実世界とのつながりがある世界を舞台にする物語で、ハイファンタジーの対義語として用いられます。ハイファンタジーは現実世界とのつながりが一切ない異世界を舞台にした物語で、「指輪物語」や「ゲド戦記」などが有名な作品です。
トリップジャンルの代表的な作品では「オズの魔法使い」や「不思議の国のアリス」などが挙げられます、不思議な鏡や本、森の中の一部分が異世界の入り口になっていたり、とある事件に巻き込まれて偶然異世界に入り込んでしまったりするといった物語の展開が多いでしょう。
また、物語の最初に異世界に入り込み、最終的に現実世界に戻るケースもあれば、異世界と現実世界を行き来しながら展開されるストーリーもあります。
なお、近年ではネットゲームの中を異世界として飛ばされる、「ゲームの世界に飛ばされる」というジャンルも楽しまれています。
また、トリップは異世界転生というジャンルと混同されがちで、トリップの場合は最終的に現実世界に戻るストーリーですが、異世界転生は現実世界に戻らない物語の展開となります。ただ、区別されずに言葉が使われていることも多いため、知っておく程度で問題ないでしょう。
異世界トリップ
トリップというジャンルはさらに細かな分類があり、「異世界トリップ」「転生トリップ」「逆トリップ」などがあります。まず、異世界トリップはトリップと呼ばれることも多いのですが、主人公が現実世界から異世界に行くという空想物語が展開されます。
現実世界とは地球であることが一般的で、とあるきっかけから異世界に入り込んでしまうのが特徴です。異世界トリップの場合、異世界に入り込んだ主人公は、現実世界と同じ服装をしているケースが多く、たとえば現実世界では高校生で制服を着ているなら、異世界でも制服のままでいることが多い傾向にあります。
ただ、物語によっては異世界の住民として服装も着替えるケースがあります。突然、現実世界から異世界に飛ばされたら困惑するうえに、早く元の世界に戻りたいと考えるのが一般的であるため、主人公も現実世界に戻る方法を模索する物語が展開されます。
ただ、異世界で過ごすなかで、ギャップを感じながらも馴染んでいく姿が描かれ、最終的には異世界との別れを惜しみながら現実世界に戻るという物語が多いでしょう。
転生トリップ
異世界トリップと混同されがちなジャンルに「転生トリップ」が挙げられます。転生トリップは、転生という言葉が使われていることがポイントで、主人公が現実世界で一度死んで、異世界で生まれ変わるストーリーを描きます。
異世界で生まれ変わるときに赤ちゃんとして異世界で生まれる場合もあれば、年齢や記憶は残したまま生まれ変わることもあります。そのほか、現実世界の一部の記憶が残った状態もあれば、子どもとして生まれ変わることもあり、生まれ変わる姿や設定が多種多様です。
なお、転生トリップは現実世界に戻るのではなく、むしろ異世界の生活に順応していくケースも少なくありません。異世界で出会った人たちと生活したり、恋愛したりしながら、異世界の住人として生きていく姿が描かれます。
このように、異世界トリップと転生トリップは同じ「トリップ」という言葉が使われているのですが、物語の展開や最終的に現実世界に戻るのかどうかなどに違いがあるのです。言葉が混同されて使われているケースも珍しくありませんが、違いを押さえておくとよいでしょう。
逆トリップ
トリップというジャンルは、「逆トリップ」というストーリーもあります。逆という言葉が使われているとおり、異世界に住んでいる主人公が現実世界に入り込んでくるのが特徴です。
異世界トリップや転生トリップは、現実世界にいる主人公が異世界に飛び込むストーリーなので、その逆の展開として逆トリップと呼ばれています。
主人公は過去や未来の地球人をはじめ、アニメキャラクターや異世界人、宇宙人など多岐に渡ります。異世界から現実世界に飛び込んできた主人公は、現代社会の満員電車や都会のキラキラした世界、食べ物がおいしいことなど生活するうえでのギャップに驚く姿が描かれるのが一般的です。
未来の異世界から来た主人公の場合は、まだまだ未発達の現代社会に驚くというケースもあります。一般的には、技術の進んだ現代社会の便利さに驚きつつも、少しずつ生活に慣れていく展開が多いでしょう。
なお、現実なら家を借りるのに一苦労することが多いですが、物語なので人に助けられて賃貸物件を安く借りられたり、路上で倒れているところを助けてもらった人の家にそのまま棲みついたりと、比較的簡単に住居が見つかるケースが多いのも特徴です。
これは異世界の人を受け入れ、ストーリーをスムーズに進行していくための定番のシチュエーションといえます。異世界から来た主人公は、現代社会でアルバイトをしたり、学生として学校に通ったりしながら生活していくのですが、最終的には異世界に戻るのが基本です。
異世界から来たことを周囲の人に知られないように生活していたものの、とあるきっかけで知られてしまうのですが、最終的には異世界から来たことを受け入れてもらって悲しみながら現実世界を離れるのも定番のシチュエーションといえます。
このように、空想上の物語において別の世界を行き来するトリップというジャンルは人気ですが、異世界トリップや転生トリップ、さらには逆トリップなどのジャンルがあり、それぞれ異なるストーリーが展開されているのです。定番の展開があるものの、オリジナリティあふれる作品も多く人気ジャンルの一つとして楽しまれています。
まとめ
トリップという空想上の物語のジャンルは、地球上に生きる主人公が別の世界、いわゆる異世界に飛ばされるというローファンタジーを描きます。ただ、トリップの中にも異世界トリップや転生トリップ、さらには逆トリップなどのジャンルがあり、それぞれ異なるストーリーが展開されます。主人公が生きている世界とは違うところに飛ばされる点は共通していますが、最終的に現実世界に戻るのか、そもそもどこの世界から来たのかなどの違いがあります。