同人誌印刷で重要な厚さとは?ページ数や用紙の厚みに注意
同人誌を作るには、まずは原稿を作って印刷所を選ぶことから始めますが、制作にあたっては用紙の種類や厚さ、製本方法などはどうすればよいかなどいろいろ考えなければならないことがあります。そして加工にどんなオプションを選ぶかによっても仕上がりに大きな影響を与え、他とはちょっと違う一味違った同人誌に仕上げることができます。
もくじ
表紙におすすめの用紙の種類とその特徴
同人誌を作るとき表紙によく使用されるのが上質紙、コート紙、マットコート紙などです。上質紙は化学パルプ100パーセントの真っ白な紙です。コート紙は表面がつるつるに特殊加工された用紙で、写真などを色鮮やかに印刷できるのが特徴です。マットコート紙はつや消し加工が施されたもので、反射が少なく目が疲れにくい仕上がりになります。
さらに、見た目の印象がはっきりとして写真なども色鮮やかに仕上げたい場合にはアートポスト紙というやや厚さのある用紙が使われます。ほかにはマットコート紙より厚さのあるマットポスト紙を使用すると反射が少ないために見やすく、ややくすんだ色合いで落ち着いた風合い仕上げることができます。
選ぶ紙の種類をどのようなものにするかで見る人の目に留まりやすいかどうかも変わってくるので、表紙にどんな紙を選ぶかというのはとても大切なポイントになります。印刷所によって取り扱う紙の種類も異なるので、表紙におすすめの紙にはどんなものがあるのか、それぞれの特徴をよく理解して選ぶことが大切です。
本文に使う紙の種類は内容によって適したものを選ぼう
本文に使用する紙は例えばマンガ同人誌でよく使われるのが、上質紙やコート紙・マットコート紙ですが、それ以外にもコミック本や同人誌のために作られた特殊な美弾紙、軽くてめくりやすさが特徴のコミックルンバ、厚みがあってかさを増やしたいときにおすすめのアドニス系用紙、軽くて厚手でコミックに向いているバルギー系用紙、厚みがあって軽くやわらかな白色のモンテシオンなどがあります。
小説同人誌によく使用されるものには、上質紙ベースの代表的な書籍用紙である淡クリームキンマリ、かさや厚さにこだわりたいときに最適な書籍バルギーなどがあります。
また小説の場合はどんな構成や作り方にするかに合わせて本文に使用する紙質を選ぶことがポイントです。具体的には100ページ未満の場合はなるべく厚さのある紙を、100ページ以上になる場合は各ページのめくりやすさも考慮して薄手の紙を使用するのが向いています。 紙の種類と特徴をよく理解して選ばないと、例えば文字が中心の小説や漫画などに光沢のあるものを使うと印刷面がテカってしまって読みにくくなることも考えられます。
右綴じと左綴じそれぞれに適した内容は?
同人誌を作るうえでとても重要なポイントの一つに、本の綴じ方があります。選び方次第で原稿の作り方や仕上がり具合は大きく変わってくるため、選ぶ前に本の内容にその種類が適しているのかをきちんと確認することが大切です。
基本的には同人誌には右綴じと左綴じの2種類があり、表紙を上にして右側に綴じられるのが右綴じ、表紙を上にして左側に閉じられるのが左綴じです。漫画や小説などは右になっている場合が多く、これは右から左に向かって読み進んでゆくタイプで、一般的になじみの多い方法です。それに対して左のほうはイベントや旅行本、映画のパンフレット、英語などの外国語で書かれた本などは左から右に読んでゆくためこの方法で作られるのが一般的です。
内容によってどちらの方が適しているかその種類を選ぶときには、同人誌を手に取った人が読みやすいのはどちらなのかを考慮して選ぶようにします。せっかくこだわって作られた内容なのに、綴じ方が逆だったために読みにくいものになってしまうようなことは避けたいものです。
ページ数や厚さによって適した製本の種類が違う
同人誌の製本方法を選ぶときに気を付けたいのがどれくらいのページ数になるかです。何枚使用するかで適した綴じ方も違ってきます。まず製本する際に接着剤で固める無線綴じというのは、本の背の部分に針金や糸などを使用せずに接着剤で固める方法です。
無線綴じは背表紙があるのが特徴で、背表紙の部分に文字やイラストなどを入れることが可能です。そして無線法で作る場合にはページ数に制約がないため、分厚い本にも対応できるのがメリットです。また、ページ数が多くなるほど製本時に使用される接着剤の量も増えるので、厚い本になるほど耐久性が高まり丈夫になります。
これに対して、表紙と本文をまとめて二つ折りにした部分をホチキスで留めるやり方が中綴じと呼ばれるものです。中綴じで作られた本の最大の特徴は紙面を180度開ききれることなので、見開きでデザインできるのがメリットです。通常16ページ以下の薄い同人誌の場合には中綴じが適しています。中綴じの場合は製本できるページ数の限界は印刷会社によって違うので、事前に確認が必要です。
製本方法の選び方により表紙の作り方も変わる
製本方法をどちらにするかによって、表紙の作り方も変わってきます。無線綴じの場合は背表紙がどの程度の厚さになるかを考慮してデザインする必要があります。無線綴じは完全に開ききることができないつくりなので、デザインを決めるうえで絶対に切れさせたくない部分は背表紙にかからないようにする必要があります。ページ数が多く厚い本になるほど背幅部分も厚みが増すので、表紙のデザインをする際にはせっかくのデザインが背幅部分で中断されて見栄えが悪くなってしまわないように注意が必要です。
それに対して中綴じの場合は見開き一枚のイラストになることをイメージして、デザインを決めることができます。紙を二つ折りにして製本する方法なので、きっちりと見開きにできるというメリットを最大限に生かしてデザインを決定できます。ページ数にもよりますが、見開きのイラストや写真などもしっかりと見せられるので、ページ数のあまり多くない同人誌の場合には中綴じのほうが向いていて、表紙の作り方でもデザインを損ねずに済みます。
仕上がりをグレードアップさせる加工オプション
目にした人が思わず手に取ってみたくなるような、クオリティの高い同人誌に仕上げるために効果を発揮するのが加工オプションです。同人誌の表紙部分に特殊な技法を加えることで、その同人誌がどんな内容なのかを連想しやすくする効果も期待できます。活用することで同人誌の装丁をより味わいのあるものにできるのが魅力ですが、印刷所によって取り扱える内容が異なるので事前に確認しておく必要があります。
よく使用されるものには金属箔を熱転写する箔押し、紙を浮き上がらせて膨らませる浮き出し、紙をへこませるデボス加工、表紙や裏表紙などに使用されるホログラムPP、2種類のニスを塗ることにより独特のでこぼことした質感が出せるエンボスニスなどがあります。
オプションの技法を使おうとすればその分料金が高くなるだけでなく、仕上げに時間を要するため締め切りが早まることが考えられるので、利用する場合にはそうしたことも十分に考慮して同人誌の表紙全体にどのような加工を入れてどんな作り方にするかを検討しましょう。
同人誌を作るときには、ページ数や厚さによって原稿の作り方や表紙のデザインなども違ってきます。内容によってどんな綴じ方や紙の種類などを選べばよいかも変わってきますが、制作コストも考慮し、内容に最も適したものを選ぶことが読みやすくて印象的でより多くの人の目に留まりやすい同人誌を作るための重要なポイントになります。