同人誌印刷は原稿の仕上がりサイズ・原稿サイズ・内枠サイズに注意
原稿が出来上がったら、印刷に取り組む必要があります。とはいえ、ひとくちに同人誌といってもサイズや注文の仕方で出来上がりに差が出てきてしまいます。ぴったりの大きさを選ばないと、せっかくの作品が綺麗に仕上がらないという可能性も出てきます。完成稿を綺麗に仕上げたい場合に、事前にいくつかのポイントを押さえておきましょう。
同人誌印刷はサイズがポイント
同人誌の作成をする際に、意外に見落としがちなのが仕上がりのサイズ感です。同人誌の作製に初挑戦という方は、特にこの大きさでつまずいてしまうことがあります。せっかく時間をかけて描いた細やかなイラストが見にくくなったり、逆に大きすぎてマンガの雰囲気を壊してしまったりなどという可能性が出てきます。
さらに、小説やエッセイなど文字の同人誌もサイズがポイントになります。小さいと読みやすくなったり、手に取りやすくなったりします。購入者に目につきやすいだけでなく、持ち帰って収納しやすいというメリットもあります。ですが、文字の量が多かったり、イラストなどを多用する場合は、せっかくの作品の雰囲気を壊してしまうことにもなりかねません。
また、会場で目立たない可能性があります。 同人誌は、パソコンから印刷会社に注文することが一般的ですが、その分、手元に同人誌が届くと予想と異なってしまう可能性が出てきます。そこで、注文する際に押さえておきたいポイントを確認して、後悔のない同人誌に仕上げてみることをお勧めします。
仕上がりサイズをイメージする
同人誌の全体を大きく左右するのは、そのサイズです。仕上がりサイズとは文字通り、仕上げた際の全体の大きさのことを指します。一般的に、マンガやイラストを中心とする場合の同人誌はA5かB5です。同人誌が綺麗に見えるだけでなく、買い求めやすい大きさになっています。また、会場に並べて目につきやすい大きさであることも、これらが広まっている理由として考えられます。
反面で、A5とB5では1ページに収まる絵の大きさが異なるので、マンガやイラストの印象も大幅に異なってきます。物語の情報量が多かったり、細かい絵を多用する場合、あるいはイラストを中心とする場合にはB5、コンパクトにまとめたい場合や小説、評論やエッセイの同人誌の場合はA5がお勧めです。
仕上がりのギリギリまで、マンガやイラストを埋めることは出来ないので注意してください。パソコンで描いた場合実際の印象と異なる可能性が出てきます。そこで、必ず一度プリントアウトして全体の仕上がりを一度確認しておきましょう。失敗が少なくなります。
内枠サイズを決めて考える
内枠サイズとは仕上がりに対して、実際に印刷する範囲の枠組みのことを指します。原稿を印刷することが出来る、最上限の幅と言えます。そのため、内枠サイズの枠組みからはみ出して描くことはできません。また、仕上がりの大きさとの兼ね合いで内枠を決めておく必要があります。一般的な大きさを必ず確認しておきましょう。
原稿を仕上げてから印刷に回す際に、指定の大きさには必ず注意して調整してください。会社に注文する際に、小さい原稿から大きく拡大したり、また逆に小さい原稿へ変更して注文することが出来ます。作品によっては、仕上がりを変更する必要が出るので気を付けましょう。
そこでチェックしておきたいのが、パソコンで作成する際の設定です。全体の仕上がりを見ながらパソコンで描く際には、設定した大きさ全体をイメージすることが出来ます。細かい所の仕上げにこだわって原稿全体の大きさを見失うと、思ったイメージと異なってしまうことがあります。作成する際には、全体のバランスを小まめにチェックしておくと、大きさ失敗することを防ぐことが出来ます。
原稿サイズは読みやすくするための基本ライン
内枠サイズとは、原稿のサイズに収まっている最も基本的な枠組みのことです。特にマンガを作成するためには、最も重要な枠組みと言えるでしょう。演出によっては内枠からはみ出ることもありますが、ほとんどの場合はこの内枠に収める必要があります。また、内枠サイズはコマ割りの基本になります。
そのため、内枠を基準に展開を考えて執筆作業を進める必要があります。ただし、内枠は原稿に収められた上に仕上がりへと印刷されます。大きく描いたつもりでも、予想よりも小さく見えて迫力が削がれてしまったり、思ったよりも印象が違って見えてしまっているということは少なくありません。気を付けてみてください。
そこで、印刷するための範囲を決定して、あらかじめ設定しておくことが綺麗に仕上げるポイントです。原稿サイズを基本線と考えて、仕上がりや内枠とのバランスを調整する便利です。場合によっては作品を拡大したり、修正する必要があります。最終的には仕上がりイメージしながら、基本の大きさを決めておくと失敗が少なくて済みます。
場合によっては変形裁断も選ぶ
最近は、別刷りのイラストをノベルティとして、ポスターなどに活用できる大きさのものに作成する方も少なくありません。A5やB5といった既定の大きさと異なるものは、変形裁断と呼ばれています。イラストなどを正方形にしたり小さな長方形にすることで、専用のポスターやポストカード、さらには手帳などにして販売することがあります。
こうした大きさのものは、通常の用紙を裁断にかける必要があるので、印刷会社によっては仕上がりに日にちがかかる場合もあります。そのため、正方形や長方形などを考えている場合は、出来るだけ早く会社と相談しましょう。あらかじめ見積もりを取っておくと、問題なくお願いすることが出来ます。
また、これといったサービスがHPから見られない場合は、問い合わせてみるといいかもしれません。裁断はごく一般的に行われているので、問い合わせに応じて引き受けてくれることも十分に考えられます。ポスターやノベルティは人気のグッズです。同人誌の作製に慣れてきたら、挑戦してみるのも一つの選択肢です。
印刷を注文する前にセルフチェック
作品が仕上がって印刷の注文を確定する際には、セルフチェックを必ず行う必要があります。印刷会社も確認してくれますが、セルフチェックを行うことで失敗の危険性を大幅に減らすことが出来ます。また、会社によってはセルフチェックによって料金を下げるサービスを行っている所もあります。
セルフチェックを推奨している印刷会社には、原稿をアップロードして確認するための、専用のサイトが設けられています。逐次原稿を挙げてページ数を確認したり、内枠と仕上がりのイメージを確認しましょう。表紙もアップロードする必要があるので、しっかり所定の位置にあげてみてください。
セルフチェックが不安な場合は、印刷会社に入稿したあとプレビューを用意してくれる場合もあります。特に初心者の場合は、何かと難しく不安を抱えることがあります。直接原稿を送ると、プレビューという形で確認することが出来ます。可能ならプリントアウトすることで、全体の世界観をつかむことが出来ます。自分で作った原稿にとって、最も良いと考えられる大きさを選びましょう。
特に同人誌に初挑戦の方は、出来るだけ余裕をもって発注することをお勧めします。発注や見積もりを早くにとっておくと、その分仕上がりの面からも様々なメリットを得ることが出来ます。しかし、それぞれのサイズに関しては失敗しやすい工程なので注意が必要です。