同人誌印刷の規格サイズとは?規格サイズ以外でも依頼可能?
同人誌を初めて作る方は、注意しなければいけないのは規格幅の設定です。
印刷を業者に依頼する際に、規格幅の指定はどこも必須となります。
幅のミスをしたとしても、業者側が指摘してくれたり、独自のサポートで修正してくれる場合があります。
ここでは作業行程や幅の種類、規格幅外の設定の可否について、ご紹介していきたいと思います。
規格内なら比較的自由に規格外変更が可能
まず同人誌の規格幅外の指定は可能ですが、中綴じ本より、無線綴じ本の方がかなり自由にアレンジをすることができます。
その理由は、無線綴じの作成作業にあります。
業者は発注依頼を受けると、複数のページを一枚の大きな紙に印刷をします。
この紙をページ順になるように折り畳んでいきます。
そして折り畳んだ後に、折り機と呼ばれる機械に置き、更に細かく折っていきます。
折りたい位置を設定し、本文となる部分を作ります。
半分に折った紙を更に半分にし、4分の1の大きさにします。
例えば16ページ分を折丁にする場合、16ページから8ページに、そして更に4ページへと折り重ねていくのです。
よく聞くのは、漫画本は8の倍数のページに刷る方が、加工がしやすいそうです。
とはいえ、作家さんの好きなページ数で作ってもらえるので、安心してください。
折り加工された冊子の本文がこれで完成します。
これを折丁といいます。
折丁の背となる部分を削り整え、接着剤をつけて表紙と合わせます。
そして、三方裁ちをすることで完成です。
これが丁合と呼ばれるものです。
中綴じ本も作成過程はほぼ同じですが、最後の丁合を作る際、糊ではなくホチキスを使います。
ページ数が多ければ無線綴じ、少なければ中綴じ本になることが多いです。
御自身の作るページ数やイメージに合わせて、どちらにするか選んで下さい。
無線綴じ本は丁合を糊や糸などを使って作るので、好きな幅に断裁がしやすいといえます。
そのため、幅の設定が自由にしやすいのです。
しかし、中綴じ本も業者によっては規格外の幅に作ってもらえることができます。
中綴じと無線綴じ本は、A5とB5が規格共通です。
無線綴じ本はそれに加えて、A4(210×297)、A5(148×210)、A6(105×148)、B6(128×182)がラインナップされていることが多いです。
またそれ以外であれば、正方形やAB版などにも対応していたりします。
これらの規格幅以外に、規格外の幅にも調製できます。
規格外の幅にする場合、規格幅内での断裁がわかりやすく、指定もしやすいです。
既存のサイズのテンプレートを見ながら、どの程度縮小、あるいは拡大するかがわかるからです。
任意で自分の理想の幅に入力もできますが、その入力数値が、大体が規格内に収まっていたりします。
規格内の幅は、変形サイズと呼ばれるので、覚えておくと分かりやすいです。
例えば、B5幅内で正方形の本を作りたい場合、182×182となります。
これはB5内での変形となるので、B5変形サイズとなります。
変形サイズはA5以上A4以下(横230縦315内)などと、具体的に表記している業者もいます。
中綴じ本を規格外で発注する場合は、規格指定されている、A5とB5内での幅設定になることがあります。
業者によっては、規格外のサイズも対応していたりしますので、問い合わせてみてください。
幅指定と同時に白フチに注意
幅を指定する時は、白フチが出ないようにしましょう。
ベタ塗りや背景を多用する方は、ここに注意しなければいけません。
作成したいデータ幅が、どの規格の形式にあてはまっているかわからない場合に、サイズ検索やツールを使うことができます。
ほとんどの業者のHP内で紹介していますので、一度覗いてみてください。
データはこのテンプレートを使っていくか、指定幅に合わせて作成していきます。
このテンプレートは非常にわかりやすいので、是非利用をおすすめします。
アナログで描く方は、漫画用の原稿用紙を購入してみて下さい。
よく画材屋さんで売っています。
このアナログ用紙や、テンプレートを見ると、空白の中に2重線があると思います。
これは内側が、出来上がり線、外側は塗り足し線と呼ばれています。
出来上がり線からイラストがはみ出ていると、断裁した時に、絵が切り離されてしまいます。
イラストを描く際は、この出来上がり線内に上手く収まるよう、気をつけてください。
塗り足し線は、ベタ塗りや背景をしている場合は、しっかりと余白部分を埋めておきましょう。
この部分を塗り足しておかないと、ページ目一杯にイラストを印刷した時に、余白が出てしまうのです。
テンプレートを使わない場合、自分で塗り足しも考えた幅を入力し、作成しなくてはいけません。
塗り足しも含まれた幅をきちんと入力する必要があります。
一例ですが、塗り足し幅も入れたサイズはA4(216×303)、A5(154×216)、B5(188×263)、B6(134×188)となっています。
それ以外の規格幅も一覧として載っていますので、検索してみてください。
通常、印刷や製本作業をする時に、仕上がり幅より一回り大きい規格幅に当てはめて、折丁していますので、白フチやはみ出しがあるとすぐにわかります。
親切な業者であれば、入稿したデータをチェックした時に、すぐに教えてくれます。
ですが、全ての業者がそうではないので、出来上がりに失敗がないよう、塗り足しは必ずしておきましょう。
それでも不安であれば、修正サービスを同時に依頼しておけば、白フチを業者側で綺麗に修正してくれます。
これは別途料金がかかるので、料金表を見て依頼するか判断しましょう。
表紙の一部となる背幅も工夫
ページ数や、紙の種類により、背幅も大きく変わってきます。
それにより、表紙のレイアウトやイラストの幅も考えなくてはいけません。
背幅にも文字やイラストを入れたい場合、4㎜以上厚みがあれば可能です。
背幅とは、漫画を棚に入れた際、縦長の文字が見えます。
作品名と作家名が書かれています。
この部分を背幅といい、背表紙とも呼ばれています。
規格内・規格外の幅であっても、紙に厚みが出ることによって、背幅が変わってきます。
この点は変わりません。
背幅を広くしようとすると、どうしてもページ数が多くなるので、背幅にこだわりたい方は無線綴じを選択することが多いです。
文字をいれると、よりオリジナリティーが出ますので、個性を主張できます。
背幅の計算もツールがあるので、どれくらいの厚みになる参考になります。
初めて同人誌を作る方は、サイズ入力は不安になるものです。
入稿をするまでは、骨が折れる作業が続きますが、一度覚えて慣れてしまえば、次の作業がスムーズになります。
どうしてもわからない場合は、お世話になる業者に質問をして、1から順まで説明してもらいましょう。
作家さんが思っている以上に丁寧にサポートしてくれます。