自力で同人誌を印刷する難しさと注意点
完成した同人誌は専門の業者に印刷を依頼するのが簡単で便利ですが、自力で印刷することも可能です。しかし自分での印刷は、専門の業者に依頼する場合と比べて難しいことも多くあります。そこで今回は、自力で印刷する際にとくに難しい点と注意すべきポイントをご紹介します。
自分で同人誌を印刷するのは時間がかかる
自分で同人誌を印刷する場合にとくに難しいのが、本のページとして使用するための印刷方法です。印刷した紙は、後でまとめて一つの本にしなければなりません。しかし印刷方法が間違っていると順番通りに紙をまとめられない場合があります。
一般的に本を作成する場合には、紙の両面を使用して必要な枚数だけ紙に印刷していきます。このとき気をつけなければいけないのは「正しい面に印刷すること」です。紙をまとめて一つに閉じる際には、紙の右側か左側の部分を接着して一つの本にしますが、右開きの本にするか左開きの本にするかによって印刷方法が異なります。順番通りに正しく印刷することで、まとめたときに正しいページ順の本になるからです。
ページが途中でずれてしまった場合や間違いに気づかないまま印刷してしまった場合、全てやりなおさなければいけないこともあるため、確認を重ねましょう。
また、印刷された紙の枚数が正しく揃っているか確認することも重要です。特定のページの紙だけ不足している場合、追加で印刷しなければなりません。印刷する紙の枚数を決めるためには、まず作る本の冊数を決める必要があります。100冊の同人誌を作りたい場合には、100冊分の紙を印刷する準備が必要です。
本のページ数によっても、印刷しなければいけない紙の数も異なり、1冊あたり100ページを超えるような大作の場合には、紙の左右両面に印刷しても5,000枚程度の紙を用意する必要があります。このような大量の紙に自力で印刷していくのは、非常に手間と時間がかかります。ページごとに必要な枚数の紙を印刷してあるかどうか確認していく必要があり、印刷し終えた紙はなくならないように、一つのところに置いてまとめておかなければなりません。
ひととおり印刷が終わった後も、必要な枚数の紙に全て印刷してあるか、数えなおすことも大切です。このような大量の紙に必要な枚数だけ印刷し終えたあとでようやく、一冊の本としてまとめることができます。
同人誌を印刷する際に必要な準備
自力で同人誌を印刷する場合には、用意するものの数が多いことも難しいポイントです。作る本の数によっても必要な紙の数は異なりますが、どのような紙に印刷するかによっても、出来上がりのクオリティに大きな差が出ます。
安い紙を使用して印刷すればコストをおさえて印刷ができますが、紙の品質によっては本の耐久性が落ちる場合があります。丈夫な本を作りたい場合には、使用する紙も厚手のものを購入する必要がありますが、厚手の紙は通常の紙よりも一枚あたりの単価が高くなります。そのため、お店によっては自分で印刷するよりも専門の業者に依頼して印刷してもらったほうが安くなる場合もあります。
紙は通常の白い紙のほかに、自分の好みに合わせて色のついた紙に印刷することもできます。しかし、色によっては見にくくなってしまう場合もあるため、出来上がりの状態を確認してから印刷していったほうが失敗を避けられます。
紙以外にも自力で印刷するためには用意しなければいけないものは多く、自宅で印刷を考えている場合にはプリンターも必要です。プリンターの性能によっては、紙に印刷するのに時間がかかる場合もあり、大量の紙に印刷しなければいけないときなどは、全ての印刷を終えるまでに非常に長い時間をかけなければいけないこともあります。
そのために、プリンターはできるだけ一枚あたりの印刷速度が速いものを使用することが望ましいといえます。印刷速度の速いプリンターであれば、大量の紙に印刷しなければいけない場合でも時間を大幅に節約できます。また、プリンターを使用するパソコンの性能によって印刷の速度に差が出る場合もあり、できるだけ性能の良いパソコンを準備しておいたほうが時間をかけずに印刷ができます。
プリンターに使用するインクも自分で印刷する場合には用意しておかなければなりません。印刷する内容によっても必要なインクが異なります。白黒の同人誌ならば、黒のインクだけでも足りますが、カラーページがある本の場合には、カラー印刷に必要なインクも充分に用意しておきましょう。使用するプリンターによっても必要なインクは異なりますが、インクは高額なため、インク代だけで多くの予算がかかることもあります。
自分で紙を綴じる作業は大変
自力で同人誌を印刷する場合には、印刷した紙をまとめて一冊の本にする作業も自分で行う必要があります。紙をまとめて一冊の本にする方法は主に二つの方法がありますが、接着剤を使用して紙を製本するのが無線綴じという方法です。
無線綴じで紙をまとめるときには紙に印刷する順番に注意しましょう。無線綴じの場合には、基本的にページの順番どおりに紙を上から重ねていきます。紙の表と裏にはそれぞれ、本のページ数の内容が印刷され、1ページが表の場合、裏側は2ページ目になります。その下の紙には3ページを表に印刷して、4ページ目を裏側に印刷します。このようにして順番どおりに最後まで紙を両面に印刷していって、印刷されたものを上から順番に重ねていけば、一冊の本ができあがります。
この方法で同人誌を自作する場合に注意しなければいけないのは、通常の紙のほかに硬めの紙も用意しなければいけないことです。硬めの紙は背表紙を印刷するために使用するもため、この背表紙を使うことで、まとめておいた紙を一冊の本にできます。
上から順番に重ねられた紙の、背中側の部分に接着剤をつけて、用意しておいた背表紙の背中側の部分に接着させます。時間が経過して紙どうしが接着すれば、ようやく一冊の本が完成します。このような作業を作りたい本の数だけこなさなければいけないため、慣れていない人には非常に面倒な作業です。無線綴じは特に多くの紙を使用して一冊の本を作りたいときに向いていて、ページ数の多い本でも、簡単に手作りできます。
本を自分で作りたいときに使えるもう一つの方法が中綴じで、これは本の中央の部分を紐や金属などでとめる方法です。ホチキスを使用して簡単にまとめることもできます。この方法で作るときの注意点は、紙の印刷方法です。
中綴じでは紙を二つに折って、中央の部分を綴じるため、印刷するときも紙の左側と右側に分けて、内容を印刷します。ページ数も右側と左側で離れているため、本にしたときに順番どおりに読めるように、中央から計算して印刷していく手間がかかります。そのために、印刷の方法が間違っていると本が順番どおりに読めなくなってしまうため、慣れていない人には非常に難しい方法です。
同人誌は自力でも印刷可能です。しかし自分だけで印刷するのは、非常に手間がかかるため負担の大きい作業です。紙のほかにプリンターやインクなども、使う分だけ準備が必要です。
印刷した紙を自分で本にすることも難しい作業で、注意しなければいけないのは、本の綴じ方によってもあらかじめ印刷の方法を変える必要があることです。このように、自力で印刷することは非常に難しいため、慣れていない方は専門の印刷会社に依頼したほうが簡単に本を作れます。