二次創作をするうえでの注意点とは?同人誌界隈のマナー・ルールを解説
同人活動を楽しむ人の中には、原作ファンとして二次創作をしている人も少なくありません。とくにこれから同人活動を始めようと考えている人は、二次創作が著作権違反として訴えられないために必要なルール・マナーなどをしっかりと押さえておくことが必要です。今回は、同人誌界隈の注意点やマナーについて詳しく解説します。
そもそも同人活動って何?
同人活動と同人誌の定義は、以下の通りです。
同人活動とは
同人活動とは、本来は共通の趣味を持つ人たちが集まって活動することを指します。
しかし、基本的に「同人活動」という言葉は、同人誌が好きな人が集まってイベントでの同人誌・グッズ制作や販売、コスプレ会などを指すのが通常です。同人活動としてもっとも有名であるイベントは、毎年2度開かれるコミックマーケットです。
テレビや雑誌などのメディアでも大きく取り上げられており、同人誌の販売や購入を通して、同人誌を好きな人同士が交流する場にもなっています。
同人誌の定義は?
同人誌の正式名称けちは「同人雑誌」です。同じ趣味や志を持つ人たちが集まり、互いに資金を出し合って作った冊子を指します。
同人誌・同人グッズを作る人の中には、利益を得るために商売として販売している人もいれば、非営利であくまで趣味の一環として活動している人もいます。
同人界隈のルールとマナーはなぜ守らないといけないか
同人界隈にはさまざまなルールやマナーがあるのが特徴です。他人を嫌な気持ちにさせることなく楽しく同人活動をするためのマナーはもちろん、中には法律違反を犯さないために重要となるルールもあります。
同人活動初心者は、自分の身を守るためにもまずは同人界隈のルールやマナーについて学ぶのがよいでしょう。ここでは、同人界隈で問題となる著作権やそのほかの権利について詳しく解説します。
同人誌・同人グッズの販売時は著作権に注意が必要
同人誌には、大きく分けて一次創作と二次創作の2種類があります。
一次創作とは、同人誌の作者が自分でストーリーやキャラクターを考案した完全なオリジナル作品です。対して、二次創作とは、ある作品のファンなどが、原作をもとにして作るパロディ作品を指します。
著作権が問題となるのは二次創作であり、原作者などの作品の権利者に対して無断で二次創作作品を販売することは著作権の侵害にあたります。ただし、同人ファンが趣味の1つとして私的に二次創作した作品であれば、著作権違反にはあたりません。
著作権違反に該当するかどうかの線引きは非常に曖昧であり、そもそも原作者などの権利者が訴訟を起こさない限りは法律違反として捜査されることはありません。
そのため、二次創作であっても同人誌の発行部数が多くないものや、いちファンとしての活動に留まり、とくに影響力が大きくないものについては、グレーゾーンという形で黙認されているのが現状です。
また、同人誌の二次創作に理解ある原作者も少なくないことから、訴訟の数も多くありません。ただし「黙認されているから」「周りもやっているから」という理由でルールやマナーを無視してしまうと、著作権の侵害が認められて訴訟される可能性もあるでしょう。
法律違反とならずに同人活動を楽しむためにも、ルール・マナーを守って活動することが重要です。
著作権以外に注意すべき権利とは
同人活動において注意すべき権利は著作権だけではありません。たとえば、原作のストーリーを変更できる権利を持つのは原作者・作品の権利者のみであるという「翻案権」、原作者の意に沿わない形でほか人がストーリーや絵柄を変えてはならないという「同一性保持権」などが挙げられます。
例として、原作者がストーリーにオリジナルの創作を加えて同人誌を発行することを許可した場合、二次創作作品を作っても翻案権は問題になりません。
しかし、実際に創作を加えた作品が作者にとって意に沿わない・認められないストーリーとなっていた場合には、同一性保持権違反とされてしまうケースもあります。
同人界隈では黙認されているから問題ないと判断して活動していると、翻案権や同一性保持権違反として訴えられる可能性もあるでしょう。
同人界隈のルールとマナー
同人界隈のルール・マナーは、同人活動をする仲間に対する礼儀やマナー的な要素はもちろん、法律違反として訴訟されるのを避けるために必要なルールもあります。
ここでは、同人界隈におけるルール・マナーの具体的な内容について詳しく解説します。
公式や一般の人に届かないよう注意する
二次創作を前提とする同人誌作成において、公式や一般の人の目に触れないようにすることは基本中の基本です。同
人界隈では「あちらから勝手に接触してきた」というのは言い訳にならず、接触されない環境の中で活動するのがルールです。
公式や一般の人から見えないところで活動を楽しむため、作品の具体的なタイトルやキャラクター名などは伏せ、同人界隈以外の場所では知られないよう配慮する工夫が必要となります。
検索避けの対策
先述の通り、同人界隈では公式や一般の人の目に届かないよう配慮するのが基本です。
検索避けとは、SNSなどで作品名やキャラクター名を検索した人が同人作品に辿り着かないよう工夫することを指します。
たとえば同人誌の宣伝としてSNSを運用している場合、説明文として「〇〇という作品をもとにした同人誌です」と記載すると、原作のファンが作品名を検索した際に、同人誌の宣伝にたどり着いてしまいます。
ファンの中には純粋に作品に関する書き込みを見るのを楽しみにしている人も多く、また、二次創作作品は目にしたくないという人も一定数いるのが現実です。
作品名やキャラクター名をそのまま出すのではなく、同人界隈での特殊呼び方や伏せ字を利用するなどして、検索避けのための対策を取りましょう。
ゾーニング
ゾーニングとは、目的に沿って空間を区分けして活用することを指します。同人界隈に当てはめると、同人作品は同人活動をしているファンの間でのみ公開し、それ以外の場所には流出させないことを表しているといえるでしょう。
同人誌について知らない人や興味がない人が望まない形で作品を目にすることがないよう、同人誌の話をするためのアカウントには鍵をかける、絵を載せるアカウントは許可したフォロワーしか見られないようにするなど、ゾーニングを徹底して活動してください。
盗作やトレースをしない
ほか人の小説の内容をもとにして漫画を描く、ネタを引用する、絵をトレースするなどはすべてルール違反です。本人に許可をとった上で、許可を得ていることを明記していれば問題ありませんが、それ以外はすべて盗作扱いとなります。
スキルを磨くために練習したい場合は、個人的にトレースしてそのまま処分すれば問題ありません。
絵のトレースは絵の一部分のみでも禁止であるため注意してください。また、線のみで描かれている絵に色をつけて公開することも無断利用にあたります。
読み手に対する感謝の気持ちを持つ
同人誌や同人グッズを発売する人は、作者でも漫画家でもなく1人のファンです。同人誌を購入してくれた人や読んでくれた人と同じ立場であり、優劣はありません。
同人界隈で有名になったとしてもおごらず、感謝の気持ちを持って接してください。
まとめ
今回は、同人活動で二次創作をする際の注意点に加え、同人界隈におけるルール・マナーについて詳しく解説しました。自分の趣味や好きなことに関して活動する場合、同人界隈に限らず暗黙のルールや注意点は必ずあるものです。とくに同人活動として二次創作を楽しむ場合、著作権などの法律も意識して活動するのが基本となります。同人活動を始める際に知っておきたいルールやマナーには、公式や同人誌に興味がない一般の人の目に触れないよう工夫することや盗作・トレースをしないことなどが挙げられます。とくに公式や一般の人の目に触れないことは非常に大切な要素となるため、検索避けやゾーニングの徹底により、同人界隈のみで趣味を楽しむよう心がけてください。これから同人活動を始める人は、今回の記事をぜひ参考にしてください。