同人誌を業者で印刷後にホチキスで製本して節約
自分たちで作った本を同じ趣味を持つ人たちに披露したいとき、同人誌を作るという方法があります。出版社を通さず自分たちで中身を描いて、印刷し製本して販売をするのですが、少しでも費用を使わずに自分たちでする方法はあるのでしょうか。本記事では同人誌とは何か、そしてその作り方を解説し、少しでも費用を抑えて作る方法を紹介します。
もくじ
同人誌の意味と同人誌の歴史について
同人誌とは同じような趣味の同志が協力し合って出版をする本のことで、出版のための資金もその同志で出し合います。 1885年に発行された「我楽多文庫」が日本で初めて発売された同人誌で、尾崎紅葉や山田美沙、石橋思案など硯友社の同志が発行した機関紙です。
その後もどんどん出版されていきますが、なかでも志賀直哉や武者小路実篤たちが手掛けた「白樺」は第一次世界大戦期の日本文学に大きく寄与し、160号まで発刊されました。それから第二次世界大戦後1945年に平野譲や本多秋五ら7人の同人によって刊行された「近代文学」が、のちにも多くの同人が加わって1964年かで刊行され続け、日本文学史上で最大の同人誌となっています。
1975年になるとコミックや創作漫画が同人誌の中心となり、「宇宙戦艦ヤマト」と「機動戦士ガンダム」などアニメの二次創作同人誌が急速に増えていきました。「コミケ」といわれるコミックマーケットなどの販売場が設けられ、年間100万人以上が来場するほど来場するほどの賑わいを見せ、さらにフリマや委託販売などで頒布されています。
同人誌と一般書籍との違いについて
一般書籍は出版社が間に入ってプロの目で編集され、デザインや製本もプロが行っているので完成されたものです。執筆や製本に至るまでにかかった費用や人件費、収益も見込んで出版されビジネスとして販売される「商品」なので、ある程度の費用が掛かっています。そのため消費者が惹きつけられるような洗練されたデザインや内容となっていることが必須です。 一方の同人誌は趣味の集まりで製作された、出版に関しては素人が製作する本なので、完成度は高くはありませんが内容もデザインも自由で、執筆する人の思いや個性がしっかりと詰まっています。
小説を書いたとしても、一般書籍として世に広まって売れるようにするには出版社の力が不可欠です。自分で自由に書いて製作した本を直接書店に持って行っても、取り扱ってくれることはありません。しかし同人誌なら好きなように執筆して製本をし、頒布できるコミケなどに持って行けば、同じ趣味を持つ人に購入してもうことができます。
1冊だけではなく何冊も売りたければ印刷をして製本すればよいのです。ページ数や製本の仕方も自由です。 一般書籍と同じように費用を出して購入してもらうものではありますが、30ページ以内なら500円以内で販売されることが多いです。
同人誌のつくり方の移り変わりについて
もともと小説家たちが集まって発行された同人誌ですが、昔はパソコンもなければ印刷技術もありません。ワープロが出始めればワープロを使って文字を描くことができますが、ワープロもなかった時代は手書きをするしかありませんでした。青いマス目が入った印刷用の紙に黒いペンで活字を書いて印刷をして製本をしていたのです。
その後ワープロが出てきて手書きをしなくても活字が打てるようになり、さらにパソコンが出てくるとワードを使って文字を描くことができるようになりました。そしてワードで作った原稿や手書きのイラストなどを別の紙に貼り付けて入稿をするという形でした。
入稿とは印刷所に持って行くという意味ですが、印刷所に持っていかずに自分でプリントアウトをする方法もありました。製本の方法は1枚の紙に2ページ分を印刷し、半分に折って重ねて行って綴じる袋綴じ製本が主流でした。 現在では、ワードだけでなく本つくりに最適な様々なソフトがあり、それをPDFにして入稿することができます。製本も自分でしなくても専門業者に依頼をできるようになっています。
アニメや漫画などの同人誌を作るには
小説はほとんどが活字なので、ワープロやパソコンのワードなどを使って書くことができますが、漫画やアニメの場合はどのように作るのでしょうか。今ではパソコンで使える様々なソフトがあるのでそれらを作って描いていくのですが、絵を描く場合はペイント系のソフトや画像編集ソフトを使います。ベタ塗りや色の流し込みなども簡単にでき、画像の編集もぼかしや反転などデジタルの技術で簡単に処理をすることができます。入稿も印刷所のサイト上でできます。
原稿を作る際に気を付けなければいけないのは、本のサイズを事前に決めておくことです。同人誌はB5サイズが主流ですが、特にこだわることなくサイズを決めることができます。それでも事前に決めておかないと描いた絵がうまくページに収まらなかったり無駄な余白ができてしまったりするので、きちんと決めておきましょう。
それと画像のきめの細やかさを意味する解像度も慎重に決めておく必要があります。あまり高画質でも作業がしにくくなるというデメリットがあるので、最適な解像度を考慮することが大切です。
入稿後の製本の種類と専門業者に依頼をすることについて
同人誌の製本をするにあたって、原稿を作ったら印刷所に入稿しますが、印刷が終わった後の製本はどのようにすればよいでしょうか。製本も一緒に行う専門業者もたくさんあるので、そのようなところに依頼をすれば本が出来上がってきます。専門業者なら印刷時に光沢を出すなどきれいな加工ができるだけでなく、表紙のカバーも書店で販売されていうような本格的な表紙にしてもらえたりします。しかし印刷だけでなく製本まで依頼をすればその分費用が掛かってきます。
製本には中綴じと無線綴じ、上製本の3種類あります。中綴じは用紙を一つの束にして半分に折り曲げ、中央部を針金のようなステッチで止めたものです。全部で20ページ未満の薄い本なら中綴じで充分です。 無線綴じは表紙と本文の束に分け、束の背にのりをつけて拍子に貼り付けるという方法で、ページ数の多い本に向いています。
表紙の背に題名などを入れることができます。 上製本は百科事典や子どもの絵本のように表紙が硬いカバーで作られた本です。ページが開きやすくて高級感があります。
自分で製本をする場合どのような方法で作ればよいか
製本を専門業者にまかせれば、書店に並ぶ書籍のように見栄えの良いきれいな本に仕上がりますが、その分費用が掛かってきます。 ページ数が少ない場合は、自分で製本をすることが可能です。きれいに半分に折って真ん中をホチキスで止める中綴じの方法なら、ホチキスさえあれば簡単に製本をすることができます。
ただ中綴じ製本をする場合は、2つのページを1枚の紙に印刷をする場合、ページを間違わないようにどのページを一枚の紙に印刷をするのか慎重に考えてから入稿をする必要があります。特に初めて同人誌を作る場合は、何回も確認してから入稿をするようにしましょう。
それと表紙をつける場合は、あらかじめ用意して表紙も一緒にホチキスで止めていきます。 ページ数が多い場合は、大きなホチキスを使うか無線綴じの方法で製本をしますが、無線綴じの場合は強力な接着剤を使ってしっかりと乾かして外れないようにすることが大切です。 同人誌なので、どのように作っても自由ですが、読者が快適に読めるような工夫と丁寧さが重要といえます。
同人誌は同志が集まって作る本ですが、まだ印刷技術があまりなかった明治時代から作られています。現代ではパソコンのソフトを使って作ることができ、印刷所に入稿すればきれいに仕上げてもらうこともできます。一般の書籍とは異なり書店では販売していませんが、コミケなど専用の場やSNSなどで頒布することができます。製本もお金をかけずに自分たちで作ることはできますが、丁寧に読みやすい本に仕上げる必要があります。