最高級の印刷用紙・サテン金藤とは?ワンランク上の同人誌が作れる?
同人誌をよい仕上がりにするには、紙の質も重要な要素です。高級感のある印刷用紙は、独特の雰囲気を醸し出します。ここでは、サテン金藤の特徴、サテン金藤以外にも高級さを感じられる紙はあるか、サテン金藤が同人誌の表紙やポストカードなどにおすすめの理由、ワンランク上の同人誌を作るポイントについて解説します。
高級印刷用紙・サテン金藤の特徴とは
紙の等級は、化学パルプの割合によって決まるのです。紙は主に化学パルプと砕木パルプで構成されており、化学パルプの割合が多いほど高級で品質が高いです。
もっとも等級が低いとされる更紙は化学パルプの配合率が40%未満のものをいい、安く大量に生産できるうえリサイクル原料も配合率が多いので、エコな紙としても認識されています。別名、藁半紙とも呼ばれ、官公庁、学校、企業で内部配布されるプリントとして大量に使用されています。
更紙は引っ越し時の緩衝材、食器類を梱包する際の敷物などにも利用されるのです。また、新聞紙も更紙の一種として大量に使用されています。色はグレーで簡単に破れるうえ、質感もお世辞にもよいとはいえません。利点はとにかく安く、短期間に大量に生産できることで、化学パルプの配合率は5%ほど、70%以上は古新聞をリサイクルしたものです。
次に等級が高いのは、上更紙といわれるもので、化学パルプの使用割合が40%以上のものです。更紙よりもザラザラ感が少なくなった印象を受けます。雑誌や漫画の本文用紙などに使われ、安く、汎用性が高いのが特徴です。
次に等級が高いのが中質紙といわれるもので、化学パルプの割合は70%以上です。価格と品質のバランスがよく、使いやすいのでチラシや雑誌、文庫本、カタログなど多岐にわたる使用用途があります。
次に等級が高いのが、最高位である上質紙です。これは、化学パルプを100%使用していることが条件です。インクジェット用のコピー用紙、書籍や雑誌、カタログはもちろん、パンフレット、DMなどにも活用されます。コートや加工をすればさらにさまざまな風合いや効果を演出できる優れものです。
紙の中には、マットコート、ミラーコートなどの加工を施したものがありますが、これらは主に化学パルプを100%使用した上質紙の表面にそれぞれの加工を施したものになります。
マットコートを施せば、しっとり、滑らかな落ち着いた質感を演出できます。細かい文字や模様を描くとそれらがより強調されて独特の風合いを醸し出すので、高級感を演出したい販売促進用のカタログやDMなどにも多用されるのです。営業を行う方が自分を売り込む名刺に使用することでも知られ、その質感や見た目は安い紙を使用した普通の名刺とは根本的に異なります。
名刺作成の際にはぜひとも取り入れたい素材ですね。ミラーコートを施せば強い光沢、はっきりとした発色を表現できます。風景、人物、商品などを綺麗にかつ印象的に表現したい場合にはうってつけのものになりますが、表面が光沢を帯びていることから、細かい文字を印刷するとチカチカして目が疲れてしまうことがあります。
これらはメリット、デメリットがあり、作成したい物や用途によって使い分けることができるので、実に多彩な商品が市場に出回っているのです。さて、サテン金藤はサテンキンフジと読み、株式会社王子製紙が販売している商品名です。
紙の中では最上位に君臨する最高級紙で、上質紙にマットコートが施されたものになります。その特徴は、風合い、仕上がりにあります。
滑らかな触り心地でしっとりとした印象を受けるサテン金藤は、印刷するとその部分が光沢を帯びてより強調されるのです。マットでしっとりとした下地の質感と相まって、対象がより鮮明に際立って見えるのです。市場では、最上位に位置するサテン金藤ですが、一般的にはどのようなものに使用されているのでしょうか。
それは、主に高級品を販促するためのカタログ、DM、名刺、記念品などです。高級ブランド品、宝石類、高級車、高級マンション、金融商品などを扱う会社が使用します。「普通の顧客以上の特別感を与えたい」「商品の魅力を余すことなく最大限紙面で表現したい」「自分を売り込む手段である名刺は最高品質の紙を使いたい」などの要望に応えることができるものです。
サテン金藤以外にも高級さを感じられる紙はある
サテン金藤以外にも高級さを感じられる紙はヴァンヌーボやアラベール、NTラシャ、レザック、タントなどがあります。ヴァンヌーボは1994年に矢萩喜従郎という人物が関わり開発されたものです。
紙の風合いはそのままに、印刷したときの再現性が高い紙と評価されています。非常に軽いことが特徴で、分厚い書物を作成する際に使用されることもあるのです。アラベールは、1989年に発表されたもので、簡単にいえば高級な画用紙といった感じです。
独特な風合いを持ち、とくにデザイナーに人気の紙。NTラシャは、1949年に発表された高級紙で、その名の通り毛織物の羅紗のような重厚な質感を持つ紙です。色合いも非常に豊富でその数は100を超えます。
レザックも高級紙に分類されます。名前の元になったレザーライクは、皮のような風合いを意味し、仔牛の皮のような模様があるのが特徴です。タントは、イタリア語で多数を意味します。色合いが豊富でその数は200種類以上を誇ります。あらゆる要望に応えられるラインナップがウリの高級紙といえるでしょう。
同人誌の表紙やポストカードなどにおすすめ
最高級の印刷用紙・サテン金藤は同人誌ではどのような部分に使用するとよいのでしょうか。もちろんオールサテン金藤というのもありですが、コストが高いのと、すべて同じ質感だとメリハリがなくなってしまいます。
そこで、とくにおすすめの使用部位は同人誌の表紙やポストカードです。表紙は、同人誌の顔にあたる重要な部位です。ここは、いくらコストがかかるとはいえ、ケチりたくない部分ですよね。
この部分にサテン金藤を使用すれば対象が際立って見え、お客さんの手にとってもらえる綺麗な表紙を実現できるでしょう。ポストカードは、紙面が少ないため印刷されているものが非常に重要な要素を持ちます。
その部分が綺麗でなければ、せっかく優れた絵や表現が最大限に生かせず、それは非常にもったいないことでしょう。サテン金藤を使用することで、もっともインパクトを与えたい紙面の部分が強調されることでよりよいものができあがることでしょう。
ワンランク上の同人誌を作るポイント
同人誌に限らず、お客さんの手に取ってもらうにはほかとは違う部分をつくる必要があるのは明白です。同人誌は紙面に印刷するものなので、ぱっと見の印象は非常に重要になります。
絵の技術、内容はもちろんのこと、話題性とともに紙面の品質にもこだわりたいところです。もっとも手っ取り早く、目に留まるものを作りたいのであれば、少々値は張りますが、先に紹介したような高級紙を選択するのも一つの手です。
むしろ、紙に少しコストをかけるだけでほかと差別化ができると考えるとコストパフォーマンスもよいといえるのではないでしょうか。とくにフルカラーの場合はこの要素は重要になってくるでしょう。
まとめ
高級印刷用紙・サテン金藤の特徴、サテン金藤以外にも高級さを感じられる紙はあるか、同人誌の表紙やポストカードなどにおすすめの紙、ワンランク上の同人誌を作るポイントについて解説しました。サテン金藤の特徴と使用用途が分かりましたね。同人誌において紙は重要な要素であることは間違いありません。上記を参考に高級紙の使用を検討してみてはいかがでしょうか。