イベントで同人誌を販売!売上が発生したら確定申告は必要なの?
同人誌を執筆している方の中には、本業として活動している方もいれば副業で執筆をしている方もいるでしょう。そして、同人誌の執筆を続けていくためには、必要に応じて確定申告をする必要があります。しかし、やり方やルールが分からず不安を感じている方も少なくないでしょう。本記事では、同人誌の販売における確定申告について解説します。
20万円以上の利益が出たら確定申告が必要
同人誌とは、同人と呼ばれる同じ考えや趣向を持つ方が集まり、団体やサークルを結成して作成する雑誌や機関誌のことを指します。ただし、個人で同人誌を執筆する同人作家もいます。また、街中の書店で販売されているような雑誌や小説などの書籍と同人誌には異なるポイントがいくつかあります。
まず、小説や漫画は、商業誌として出版社を通じて出版します。商業誌とは、出版社が営利を主な目的として発行するもののことです。つまり、作品を出版して収益を得られるかどうかという点が最も重要視されるのです。したがって、漫画家や小説家が主なストーリーや絵の構成を考えつつ、利益を生むかどうかに注目しなければならないのです。そのため、出版社の意向や編集者の指示に従ってストーリーの内容を修正しなければならないことがあるでしょう。
一方、同人誌の場合は、営利を目的とせず、制作過程に出版社が介入することがありません。つまり、個人の考えや思考、趣味を自由に表現できるのです。ただし、自由度が高い同人誌は、出版社のサポートがないという点に注意が必要です。たとえば商業誌の場合、製本にかかる費用や書店に並ぶまでの手続きはすべて出版社が負担します。また、作家によっては売り上げや利益に応じて経理上のサポートも受けることができます。
一方、同人誌の場合は、製本にかかる印刷代や表紙の作成、販売会への参加手続きといった費用やさまざまな手続きをすべて自分たちで完結させなければなりません。
また、売り上げや利益によっては、確定申告を行う必要があります。確定申告とは、1年間で生じた所得金額と所得税額を計算して報告することを指します。1年間とは1月1日~12月31日までの期間だと決められています。
そして、原則翌年の2月16日~3月15日の期間中に1年間で得た所得に対して報告をしなければなりません。確定申告と聞くと、フリーランスや個人事業主が行うものとイメージしている方も多いのではないでしょうか。しかし、会社員でも副業などで一定以上の所得が発生した場合、きちんと手続きを行う必要があるのです。
通常、副業などをしておらず、勤務する会社からしか給与を受け取っていない会社員の場合、会社が個人に代わって年末調整をしてくれます。会社代わりに手続きを完了しているため、仕組みを正しく理解していない方も少なくないのが事実です。
しかし、申告漏れに対しては厳しい罰則があります。たとえば、無申告加算税や延滞税といったペナルティが発生し、本来支払うべき税額に対してさらに追加で支払いをしなければならなくなってしまうのです。また、国民全員の所得を調査することが困難ではないかと考える方も一定数いるかもしれませんが、税務署ではきちんと調査をしています。したがって、同人誌で一定の売り上げがある場合は確定申告の必要有無を確認するようにしましょう。
まず、フリーランスや個人事業主などで本業として活動している場合、所得がいくらであっても報告をしなければなりません。所得が赤字の場合でも手続きを行います。一方、本業とは別に副業として執筆を行っている場合は、所得が20万円以上になった場合に報告が必要です。
ただし、売り上げではなく所得が20万円以上となっているため、経費などを差し引いて20万円以上になるかどうかという点には注意が必要です。さらに、副業では所得が赤字になった場合、申告が不要となります。
同人活動で確定申告を行うときの注意点
きちんと手続きを実施していても、時には脱税を疑われてしまう可能性があります。
そこで、まずは経費を明確にしておくという点に注意するようにしましょう。経費とは、同人誌の場合は執筆活動で必ず必要になる支出のことです。たとえば、イベントの出店にかかる費用や同人誌の印刷代、イベントに荷物を搬入する費用などは経費にあたります。しかし、経費に該当しないものを経費として計上してしまうと違法です。
そこで、何が経費に該当するのかを慎重に確認するようにしましょう。そして、経費は証拠となる領収書やレシートを保存し、突然調査されても問題ないように準備しておくことが重要です。
また、確定申告は手順を理解していなかったり、初めて申請したりする場合は予想以上に時間がかかるものです。期日に間に合わないという事態にならないよう、事前に準備しておく必要があります。
また、期限に迫られて焦っている状態で計算を行うと、ミスが発生してしまう可能性が高くなります。そこで、1年の終わりの12月31日に棚卸しを行い、余裕を持って手続きができるよう準備しておきましょう。
同人活動の確定申告のやり方
同人誌の確定申告では、収入が雑所得か事業所得かによって申請方法が異なります。基本的に雑所得は、副業などで20万円以上の所得が発生した場合に申告します。一方、事業所得は、同人活動を本業としている方が申告することが多いです。
まず、雑所得として申告する場合は、「確定申告書A」に必要事項を記入します。一方、事業所得として申告する場合は、「確定申告書B」と終始内訳書・青色申告決算書に必要事項を記入します。どちらの申告を行う場合にも、きちんと経費を計算したうえで申告する必要があります。
しかし、同人活動では何が経費に該当するのか判断がつきにくいという方も多いのではないでしょうか。たとえば、インターネット代や販売会への搬入・搬出代、ポスターや書籍の印刷代などは経費になります。
ただし、知識があいまいな状態だと、経費にならないものを計上してしまう可能性があります。そこで、不安な場合は専門家に聞くことをおすすめします。
同人活動の確定申告をしないとどうなる?
同人誌の販売などで一定以上の利益が発生した場合は、確定申告をしなければなりません。きちんと申告しなかった場合は、厳しい処罰が下される場合があります。たとえば、申告漏れのペナルティとして多額の罰則金を支払った事例もあります。また、悪質な脱税だと判断される場合は、刑事処罰が下されることもあります。
国民全員の所得を把握するのは困難だろうと考えている方もいるかもしれませんが、国税庁が発表したデータでは、年間60万件以上の所得調査が実施されています。したがって、手続きが漏れていてもすぐにばれることはないかもしれませんが、数年後、数十年後にばれない保証はありません。また、知らなかったでは済まされないことでもあるため、同人活動をする場合は責任感を持って仕組みを理解しておくことが大切です。
同人活動を通じて一定以上の所得が発生した場合は、確定申告をする必要があります。本業・副業どちらで活動しているのかによって、申告の基準や手順が異なります。そこで、同人活動を始める際は事前に仕組みを理解しておくようにしましょう。また、何が経費に該当するのか、領収書やレシートを整理しておくことも、スムーズな確定申告を完了させる上では重要なポイントとなります。