同人誌を再販したい!再販するにはどうすればいいの?
同人誌を再販したいけど、印刷所にどのように頼めばいいかわからない。そもそも再販ってどういうことなんだろう?自分の作品が売れたのは嬉しいけど、初めての再販はわからないことだらけで不安ですよね。ここでは再販するためにどんな手続きをすればいいのか、再販で失敗しないために気をつけたほうがいいことについて、解説します。
再販と改訂版は別物!
同人誌を再販したいと思ったときに印刷会社に増刷の依頼をすることになります。再販すると改訂版になるのか?そもそも改訂ってどこからのことをいうのか?そのあたりはわかりづらいところですよね。
再販の依頼をする前に、間違えやすい用語の確認をしておきましょう。「再販」とは文字通り、在庫切れになっていた同じ冊子を再度作って販売するという意味です(とくに二次創作同人誌の場合、頒布という言い方が使われることが多いですが、販売でも間違いではないようです)。
似たような言葉に「再版」があります。どちらも同人誌を扱う際によく聞く言葉ですが、「再版」は厳密には既刊本の誤字脱字等の軽微な誤りを修正して版を作り直すことです。数ページの差し替えなら再版とみなす印刷所はあります。基本的に奥付には第二版というように版が追加されていきます。
ただし、修正を加えないものも再版と呼ぶことがあり、増刷と同じ意味で使用されることもあるようです。単なる増刷の場合は奥付は初版二刷のように刷を追加していきます。実際のところは再販も再版も増刷と同じような意味で使われることが多いようです。
「改訂版」というのは、初版の内容に変更を加えたものをいいます。一般的に、単なる誤字脱字の修正だけではなく、内容の意味が変わるような大幅な変更に対して使われます。こちらも奥付には第二版などと記し、版が変わりますが、内容の一部が変更され「新しく」出版する場合は、改訂版の「初版」となるようです。
再販の場合はデータを送る必要はなし!
同人誌の売れ行きがよく、納品されてからあまり期間をおかずに増刷を希望するときには、再度原稿を入稿しなくても発注できる場合があります。初版をお願いした印刷所に原稿データが残っているか確認してみましょう。
ただし、原則的には依頼した部数分だけ印刷したら契約終了なので、再度印刷したいという場合には新規の申し込みになるパターンもあります。余裕をもって業者に確認するのがよいでしょう。初版の発行から時間が経ってから再販したいという場合は、業者がデータを破棄している可能性もあります。データ保管期間は業者によって異なるので注意が必要です。3か月保管の業者もいれば2年間保管という業者もいます。
また、セキュリティやストレージ確保の観点からデータは納品後即消去するという業者もいるため必ず確認しましょう。不正にデータが使用されないように保管する責任があるので、長期間データを保持していることは業者にとってリスクがありコストがかかります。とはいえ、不備があったときのために一定期間はデータを残しているはずなのでデータを送らず再販したい場合は、早めに問い合わせてみましょう。
ちなみに、再版の場合でも奥付に最新版の発行日を書きましょう。その際初版の発行日は残しておきましょう。そもそも奥付を書くことは同人誌を発行するうえでのルールですが、万が一パクり疑惑などのトラブルに巻き込まれたときに発行日が明確だと安全策にもなります。
後々に小口で再販するかもしれないと考えているなら、オンデマンド印刷のプランを選択するのも手です。オンデマンドはondemandのことで、「要求に応じて」という意味になります。オフセット印刷は品質に優れていますが、印刷する際に版を作らなければいけないので、部数が少ないと割高になります。オンデマンド印刷は版を作る必要がないので、その都度必要な部数を印刷できるようです。
その名のとおり都度少しずつ増刷したい場合に向いています。品質を優先したい人や一度に大量に印刷する場合はオフセット印刷がお得ですが、小ロで様子を見ながら少しずつ増刷したい場合は、オンデマンド印刷がお得になります。最近はオンデマンド印刷も品質が上がって、ベタのテカリなどが軽減されオフセット印刷に近くなってきているようです。オンデマンド印刷は納期が短く済むのもメリットです。予算や、スタイルに合わせて印刷所に相談してみましょう。
再販したいときは印刷会社に再販依頼の連絡を!
ここからは同人誌を再販するときの一般的な流れを解説します。再販にあたってどうしたらよいかは、最初にどのようなプランで契約したか、前回からどのくらいの期間が過ぎているのかによって変わります。安易に前回入稿したデータを印刷所が保管してくれているから、再販部数だけ伝えればよいだろうと考えていると、大変なことになるかもしれません。
まずはどの場合でも、最初に印刷所に既刊本の再販をしたい旨を連絡します。まったくの新規なのか、前回の内容を踏襲するのかで手続きに差が出てきます。さらに前回のデータが残っているかどうかが問題になるようです。前回データの保管期間内だった場合は、再販したい部数を伝えるだけで話が進こともありますが、データがない場合は、新規の発注と同じように原稿を入稿しなければなりません。
データを保管してくれているかは、業者によっても違ううえ、前回どのようなプランを選択したかにもよります。再版であっても間違いを防ぐために、全データの再入稿が必要な業者もあります。前回の印刷からあまりに長い期間が経っていた場合は、データがなくなっていて新規扱いになる可能性もあるでしょう。
いずれにせよ、再販であることを伝えることで受付や印刷・色味の調整を一からしなくて済むのでスムーズです。そして、再販の場合でも再度サンプルの確認をすることをおすすめします。印刷所のほうでパソコンのOSが変わったり、設備のメンテナンスや備品の交換が行われたりすると前回と仕上がりが変わってくることがあるからです。どうしても前回と同じ仕上がりがよい場合は、前回の見本を事前に渡しておくと、業者のほうで可能な限り前回分に近づけるよう対応してくれるところもあります。
基本的には、再販のために増刷することは印刷業者にとっても嬉しいことなので歓迎してくれるはずです。とはいえ、必ずしも料金的に優遇されなかったり、結局データを入稿しなおさなければならなかったりする場合もあります。もしメリットや利便性があまりないなと感じたら、必ずしも同じ印刷会社で再販する必要はありません。
しかし、印刷所が変わればもれなく新規扱いなので余程のことがない限りは、前回と同じ印刷所を使った方がやりやすいでしょう。中には再販割のようなキャンペーンを行っているところもあるので活用しましょう。売れ残りを出したくない、いきなりたくさん刷るのは怖い、といった場合には、オンデマンドで小口に印刷していく手もあるので、オンデマンド契約に対応している業者に相談してみましょう。
再販の方法と注意点について解説しました。大まかな流れは理解していただけたと思います。実際には印刷所によって対応が変わってくる部分でもあるので、わからないことがあれば訊いてしまうのが一番確実です。印刷所は奥付にもあるように同人誌製作のパートナーです。製本には最後まで責任をもって携わってくれるところがほとんどなので、面倒くさがらずに真摯に対応してくれるはずです。