初心者が同人誌の印刷を依頼するときに知っておくべきこと
アニメやゲーム、漫画は世界にも多くのファンを持っているコンテンツです。
そして自分でも作品を作り出したいという人たちは同人誌を作り即売会などで頒布することも多く、コミックマーケットのように10万人規模の大イベントも定期的に開催されています。
そういったイベントに参加するために、初めて同人誌を作ろうという人が印刷会社に依頼するときに知っておくべき知識を見ていきましょう。
もくじ
原稿はどうやって入稿すればいいのか
同人誌をつくるためには、原稿が完成しなければいけません。
そして完成したらどうやって業者に入稿すればいいのかというと、最近ではデジタルで漫画を描く人が増えていますからオンラインでデータを送ることも多くなっていますが、従来の紙に書いたアナログ原稿を入稿する方法もあります。
アナログの場合には、会社に自分で届けに行くか、宅配便やバイク便などを利用して届けてもらいます。
デジタル原稿は、紙と同じく宅配便やバイク便でデータを保存した記録メディアを送ることもありますが、オンライン入稿であれば会社のホームページやメールでの添付、FTPソフトで送るやり方もあります。
どの方法で原稿を入稿すればいいのかは、それぞれの漫画を描くスタイルや、完成するまでのスピード等によって違ってきます。
オンラインであれば即時にデータが送れますからイベント間際まで執筆ができますし、宅配便を利用すれば輸送の時間がかかりますから余裕を持って入稿できる人でなければ間に合いません。
なお直接原稿を持っていくときには、事前連絡がないと受け付けてくれないこともあるのでよく確認しておきましょう。
初めての同人誌をつくるときの印刷する部数
初心者でも、せっかく同人誌を作ったのであれば多くの人に見て欲しいと思うのは当然のことです。
でも、無名の新人であれば固定客もおらず、正確に買う人を事前に把握することはできません。
イラストや漫画を投稿できるサイトやSNSで作品を発表していて多くの人が閲覧してくれるから、多めに刷っても大丈夫だろうと思っても、いざイベントが始まったら一冊も売れなかったということはよくあります。
ネットでの人気と、イベントまで足を運んでお金を払って読みたいと思えるかは別物なのです。
どうすればいいのかわからない、と思っても印刷会社に依頼するときには、部数を指定しなければいけません。
多めに刷って欲しいと思う気持ちがあったとしても、最初は10部、20部といった少部数にしておくのが無難です。
そのつくった本をすべて売り切れることができたならば徐々に部数を増やしていくのがいいのです。
ただ、会社によって少部数の依頼を快く受けてくれるかどうかが変わります。
また同人誌の印刷は多くすれば、それだけ一冊あたりの価格が安くなりますから、逆に少なくするならば単価が上がることは覚悟しなければいけません。
入稿したあとに間違いに気がついたらどうする?
原稿を隅々まで確認しておかないと、誤字や手を付けていないコマなどがある状態で印刷会社に入稿してしまう事も起こりえます。
初心者だと、なおのこと気をつけなければいけないことです。
では、もし間違いが見つかったときに、やり直しが出来るのかというと状況や入稿方法によって対応が異なります。
すでに印刷に取り掛かってしまっているときには、やり直そうと思っても手遅れです。
間違えた原稿で同人誌をつくらなければいけません。
もし正しい原稿でつくりたいならば、もう一度印刷を依頼することになります。
そうなれば印刷費用は倍額になってしまいます。
たとえ正しい原稿でつくった同人誌が売れたとしても大赤字です。
オンラインでの入稿であれば、依頼が確定する前ならば自分でデータを削除して差し替えることも出来る場合があります。
だからといって、タイミングを間違えればやはりやり直せませんから、事前の確認は重要です。
サービスの良いところであれば、印刷をする前に原稿のチェックをしてくれるところもあります。
間違いがあるときには、連絡をくれるのですぐに修正ができます。
印刷会社を選ぶときには、そういったチェックをしてくれるところかどうかも、比較するポイントになるでしょう。
原稿のファイル形式に気をつけよう
デジタルで漫画を描くときに使うソフトは、有償のものから無償のものまで様々です。
そうなると保存するファイル形式にもばらつきが出てしまいます。
業者によって対応しているソフトが異なるので、依頼するならば確認しておかなければいけません。
ソフトは同じでもバージョンが違うものを使っているときも、やはり対応していない事があるので注意が必要です。
もし、保存している原稿のファイル形式と依頼をしようと思っている業者が対応しているファイル形式が違うときには変換処理をすることで入稿ができます。
変換を行うとデータの容量などに違いはありますが本にするのには問題ありません。
対応するファイル形式は個別で違いますが、PDF形式であればバージョンにかかわらずたいていのところで受け付けてくれるので初心者が悩んでいるのならばPDFに変換してしまったほうがいいでしょう。
変換ソフトも有償・無償のものがありますが、中には処理中に問題が出えてしまうこともあります。
必ず変換前と後の原稿で変わってしまった点はないのか確認をして、フォントなどの設定に問題があれば修正し、修正できないようであれば別のソフトを試してみましょう。
仕上がりを左右する色校正は大事
デジタル漫画を書いていて、パソコンで見ているものと実際に印刷されたものとでは異なる色になっていることがあります。
初心者だとデータの通りではないから欠陥だと勘違いしてしまうかもしれませんが、そうではありません。
それというのもパソコンの画面と印刷では表現できる色が違うからです。
パソコン画面では「RGB(赤緑青)」のいわゆる光の三原色が使われていますが、紙の場合はシアン、マゼンダ、イエローと画像の輪郭などをつくるキープレートを組み合わせた「CMYK」が用いられています。
この違いによって、全く同じ色にならないのです。
ですから、実際に刷り上がった色と自分の理想を近づけるためには、本刷りをするために見本を見せてもらい色校正をすることが必要です。
ここでは機械によって本機校正、簡易校正と種類があります。
本機校正のほうが本刷りの仕上がりに近いので細かい調整ができますが、料金の負担で言えば簡易校正のほうが楽になります。
もちろん、お金をかけたくないし色合いにこだわらないのでなにもせずに本刷りをしてしまうというのも一つの選択肢です。
本ができたら原稿は返却してもらえるのか
印刷をしてもらうとき、同人誌が完成したら原稿はどうなるのかというのが気になる初心者もいることでしょう。
特にアナログ原稿を渡している場合、世界で1つだけのものですから自分の手元におきたいはずです。
それにこれからイベントに参加していき、同人誌を読んでくれる人が増えたならば、再版することになるかもしれません。
そのときに原稿がないと困ります。
印刷会社では、受け取ったアナログ原稿については原則として返却してもらうことができます。
デジタルのときでも記録メディアでの入稿であれば、返却を希望すれば対応してもらえるところが多いです。
本ができたときに納品と一緒に返却が行われることもありますが、大きなイベントに参加するために同人誌をつくるときには、同じような依頼が殺到してしまいます。
ですからイベント後に郵送されることになります。
時間はかかるかもしれませんが、気長に待ちましょう。
万が一、待っても返却がされないというときには問い合わせをしておくといいです。
発送の手続きがされていないだけかもしれませんが、万が一にも原稿の紛失が起きていると大変です。