スムーズな発注を!同人誌の印刷を業者依頼する手順とは?
初めて同人誌を書くとき、いろいろわからないことが多くて大変ですよね。印刷・製本するとなると、印刷・製本を業者に依頼することになります。どのように依頼したらよいのでしょうか。依頼するにあたって、原稿の作り方など決まりがあります。今回は、そうした同人誌を作る時に知っておきたいこととして、印刷に関わることをまとめました。
同人誌の作成方法を確認!
初めて同人誌を書く方にとっては、作り方で戸惑うことも多いはずです。流れを知らないと、あとで「実はこれではダメだった」ということになって、原稿が期日までに用意できないなんてことにもなりかねません。同人誌を制作したいという意思が固まったら、同人誌を制作する段取りを一通り把握し、それに合わせて自分の制作計画を立てていくことが必要です。ここではまず、同人誌の作成方法を確認します。
■印刷所を決める
原稿を書き始める前に、どの印刷所を使うかを決めましょう。なぜ先に印刷所を決めるかというと、印刷所によって対応してもらえる印刷方法や製本方法、さらには仕上がり具合に違いがあるので、原稿の仕様も印刷所が決めている様式に合わせる必要があるためです。せっかくなので、自分が作りたい方法で印刷・製本をできる印刷所を選びます。同人誌を専門に扱っている印刷所もたくさんあるので、他の作家さんが使っている印刷所のウェブサイトをいろいろ見て回ってみてもよいでしょう。
■予約型の印刷所の場合は先に予約する
予約しておかないと発注できない印刷所もあります。その場合は、この段階で予約をします。予約をすると締め切り日を伝えられるので、その日に間に合うように原稿を作成しましょう。
■原稿を用意して入稿する
原稿を作っていきます。A5サイズで原稿を作成することが多いのですが、印刷所ごとに仕様が異なります。原稿の仕様とは、たとえば、色データのタイプやマージンの取り方、ページ数の入れ方などです。それらが仕様通りでないと、想定した通りに仕上がらなかったり、受付後に確認作業や原稿の作り直しが入り締切りに間に合わなかったりするといったことが起こりかねないため、しっかり確認しておきましょう。入稿はネット上で完結することもあれば、印刷所へUSBメモリなどで持ち込む場合もあります。サイズや紙の種類、製本方法などを指定して、原稿データを印刷所へ送ります。
■製品を受け取る
印刷・製本された製品を受け取ります。製品の送り先は自宅に送ることもできるうえ、場合によってはイベント会場へ直接搬入してもらうこともできることがあります。頒布会主催者と提携している印刷所だと直接搬入に対応してもらえる場合もあるようなので、気になったら印刷所に聞いてみましょう。
このような流れで同人誌を作っていきます。流れを見てわかったと思いますが、印刷・製本する印刷所に合わせて原稿の仕様を決めて入稿する必要があるうえ、自分で希望があるのであれば、その希望に沿って対応してくれる印刷所を選んでおく必要があります。あらかじめ決めておかないといけない大きなこととしては、「デジタル原稿」と「アナログ原稿」のどちらにするかということです。
同人誌の原稿の作り方には、次の2つがあります。一つは、「デジタル原稿」といってパソコンなどのデジタル機器を利用して作成した原稿です。もう一つは、「アナログ原稿」といって紙とペンを使って手書きで原稿を作成したもの、を印刷所でスキャンして印刷する原稿です。
最近は、デジタル原稿で作成する人が多いでしょう。印刷所の中にはアナログ原稿を受け付けていないこともあります。ただ、手書きの質感にこだわりたいなど事情はいろいろあるでしょうから、自分の要望を整理して、それに沿って印刷所を選びましょう。ここまでの一連の流れを掴んでおければ、安心して原稿の制作作業に取りかかれます。
同人誌を作成する際に気を付けるべき点
先にも書きましたが、同人誌を作るときには、印刷所のルールをよく確認しておくことが必要です。どこの印刷所も、印刷・製本にあたって守るべきルールがあります。それに沿って原稿を作成しないと、受け付けてもらえなかったり、作り直しになってしまったりします。
これは、作者が意図した通りにきれいに印刷・製本するためのルールなので、事前にきちんと確認して原稿作成に取り掛かりましょう。初めての同人誌制作だと印刷・製本のことがよくわからず、ルールを読んでもよくわからないということもあるでしょう。
そんなときは、早めに印刷所に相談しておくとよいでしょう。イベントの締め切りが近くなってくると印刷所も忙しくなってきて、なかなか相談のための時間をもらいにくくなってくる可能性があります。なるべく週の頭など、他のイベントの直前を避けて聞いてみるとよいです。そのためにも、原稿に関するルールの確認は、なるべく早い段階で聞いておきましょう。ルールとして主に挙げられるのは、「マージン(余白)の取り方」や「色の設定の方式」、「入稿する際のファイル形式」いったことです。
印刷所によっては、かなり明確に指定があります。これは、印刷所で使っている印刷機やソフトウェアの設定に関係していて、このルールに従わないと、印刷がズレてしまったり、想定した通りに色合いが出なかったりすることがあります。印刷所もできるだけ作者の意図した通りに印刷・製本したいと思っているため、細かく調整や確認されることもあります。ここで、同人誌制作の初心者がやりがちな失敗を3つ挙げておきます。参考にしてみてください。
■奥付をつけ忘れた
同人誌は、本の最後に奥付を付けておかなくてはなりません。奥付とは、その本の制作に関わった人についてまとめて表記したものです。二次創作は著作権の問題などもあるので、誰の責任でその同人誌を発行したのかを明らかにしておかなければなりません。責任を持って同人誌制作活動をしていることを示すものになります。頒布会のルールで奥付が必須で、表記がない場合は販売禁止のこともあるので注意してください。
■ページ番号をつけ忘れた
ページ番号(ノンブル)をすべてのページに入れるようにしましょう。乱丁や落丁を防ぐことにもなりますが、印刷所でも仕上がった製品に乱丁や落丁がないよう確認するために、ページ番号を付けることがルールになっていることが多いようです。
■解像度が低かった
同人誌だと原稿の中身は画像データが中心になると思います。解像度をしっかり確認しておかないと、「パソコンの画面で見ていたときには気にならなかったので気付かなかったけど、印刷したら画像が粗くなってしまった」ということが起こりかねません。心配なあまり解像度を上げすぎてしまうとデータが重くなってしまって、印刷に支障を来してしまうことがあります。印刷所で推奨する解像度を示している場合があるため、確認してみましょう。
同人誌の印刷を業者依頼する手順
ここまでで原稿の作成に関することは一通り見てきました。最後に、印刷所に依頼するときの細かい手順を見ておきましょう。だいたいどこの印刷所でも次のような手順で依頼することになるはずなので、確認しておきましょう。
■見積もり
印刷方法、原稿サイズ、色合い、紙質、綴じる方法、部数、そして納品希望日に応じて費用が決まります。料金表が決まっており、ウェブサイト上でも条件を入力すると費用を見積もってくれる印刷所もあります。
■予約・発注
予約が必要な場合は予約します。そうでない場合でも、原稿ができあがった段階で発注します。見積もりからそのまま予約・発注に流れていくこともできる場合が多いです。仕様を決定して、印刷したい旨、印刷所へ伝えます。このときに、原稿の入稿期限や納品方法も決まります。支払いもこのときに行います。
■入稿
締切りを守って入稿しましょう。最近はウェブ入稿も多いのでギリギリでも受け付けてくれますが、印刷所での確認作業の中で原稿に不備が見つかった場合に修正ができなくなってしまうことが考えられるため、余裕を持って入稿しておきましょう。
■納品
指定した方法で、指定した期日に納品されます。
同人誌の制作の流れは掴めたでしょうか。基本的には、印刷・製品について印刷所と摺り合わせをして、ルールに則って作成した原稿を期日までに入稿する、というところが肝心なところになります。予期せぬやり直しに備えて、慣れるまでは時間に余裕を持って取り組むとよいです。ぜひ、同人誌制作を楽しんでくださいね。