印刷方法にはたくさんの種類がある!代表的な印刷方法をご紹介!
印刷と一口にいっても、たくさんの種類があることを知っていましたか?チラシやパンフレット、ポスター、名刺、書籍など、用途に合わせた印刷方法と選ぶことが大切です。今回は代表的な印刷方法を、印刷方式別の種類と一緒に丁寧に解説します。これから印刷を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
もくじ
凹版印刷(おうはんいんさつ)とは
1つ目は凹版印刷(おうはんいんさつ)です。版材と呼ばれる印刷部に、凹み(へこみ)を作ります。凹んだ部分にインクを流し込み、余分なインクを取り除いたうえで、凹み部分に残ったインクを使って印刷する方法です。
インクに厚みが表れることから、より高品質なカラー印刷が可能となります。耐久性と速乾性に優れていること、また、凹部分にたまったインク量でグラデーションを表現することから、濃度領域が広いのも特徴です。
もともとはグラビア雑誌のような写真集によく用いられていましたが、現在ではプラスチックフィルムや軟包装材料、美術書、切手などの印刷でも活用されています。
凸版印刷(とっぱんいんさつ)とは
凸版印刷(とっぱんいんさつ)は凹版印刷とは反対に、版材の凸部分にインクを付けて印刷する方法です。ちょうど印鑑と同じ仕組みです。印刷した図や文字のふちに表れる、インクの濃い輪郭部分がシャープになる特徴を持っています。
また、凸部分にインクがたくさん乗ること、印刷時に大きな圧力がかかることなどから、印刷されたものは鮮明で、コントラストが強くなる傾向にあるでしょう。
かつては書籍や雑誌の印刷でよく用いられていましたが、現在では主にラベルやシール、新聞、名刺、ダンボールの印刷などで使われる印刷方法です。コストも比較的安く済みます。
平版印刷(へいはんいんさつ)とは
平版印刷(へいはんいんさつ)は凹版印刷や凸版印刷と異なり、印刷部に凹凸を作りません。
その代わりに、水と油の反発性を利用するのが特徴です。あらかじめ印刷する部分を親油性にしておき、印刷するときに水を乗せます。すると、水と油は混ざらないため、油性になっているところ以外にだけ水が含まれます。
この状態でインクを付けると、親油性になっている箇所にだけインクが乗り、デザイン通りに印刷できるというわけです。画質が鮮明で印刷物の質が高く、生産性にも優れています。
また、製版しやすいことから複版も容易で、大量印刷に適しているといえるでしょう。反対に、小部数の印刷ではコストがかかるため、向いていません。新聞やポスター、カレンダー、折り込み広告、書籍のほか、缶ジュースなどの金属印刷にも向いている方法です。
孔版印刷(こうはんいんさつ)とは
最後の種類は孔版印刷(こうはんいんさつ)。上記3つの方法のように版材にインクをつけるのではなく、版材自体にインクが通過できるだけの小さな穴を開けて、穴からインクを出して擦りつける方法です。
版自体がやわらかく密着性が高いため、サイズや素材を問わずにさまざまな種類のものへ印刷できます。また、版作成がリーズナブルであることから、少量印刷でも1枚あたりのコストを抑えられるでしょう。
ただし、精密な表現にはやや劣り、また、版が劣化すると再現性も低下します。さらに、平版印刷と比べると印刷速度が遅いため、大量印刷には向いていません。ステッカーや計器版、ガラス、文房具、Tシャツ、プラスチック、プリント配線、キーボードなど、あらゆる素材で使用されています。
印刷方式別に印刷の種類がある
印刷方式別にも印刷の種類があります。主なものを全部で5つ見ていきましょう。
オフセット印刷
オフセット印刷は平版印刷のひとつです。オフセットとは、日本語で付けて離すという意味。転写ローラーにインクを移し(オフ)、その後、印刷面に転写します(セット)。
オフセット印刷の大きなメリットは、コストをセーブできることです。高速でどんどん印刷できるので、短時間でもたくさんの印刷物が手に入ります。また、鮮やかな画像や細かい文字も精密に表現でき、仕上がりが美しいことも特徴です。
デメリットは納期までに、比較的時間がかかること。版作成から必要となるため、印刷物の完成までに時間が必要です。オフセット印刷を利用する場合は、できるだけ余裕を持って依頼しましょう。
活版印刷
活版印刷は約500年にも渡って受け継がれてきた、伝統的な印刷方法です。金属の凸版部分にインクを乗せて、圧力をかけて印刷します。金属ならではの独特な温かみ・風合いが特徴的で、手触りと陰影にも魅力を感じられるでしょう。
印刷物一枚一枚違う風合いも、また活版印刷が持つ味わいです。活字では表せられない、イラストやフォント、ロゴなどを表現したいときに便利です。
グラビア印刷
3つ目はグラビア印刷です。凹版印刷の一種類で、版材の凹部分にインクを流して印刷します。細かい濃淡を表現できることから、写真画像における再現性の高さが特徴です。
また、版材をクロムメッキ処理すれば耐久性が向上し、大量印刷にも適するでしょう。雑誌のグラビアページのほか、フィルムや包装紙、証券類などによく利用されます。
スクリーン印刷
スクリーン印刷は孔版印刷の一種です。絹でできたスクリーン上で、印刷に使わない部分を乳剤で固めます。そのうえでインクをスクリーンに乗せ、スキージ(インキを掻き取りながら印刷するためのゴム製のブレード)で擦って、インクを紙などに転写する方法です。
スクリーンに絹を使うことから、シルクスクリーンと呼ばれることもあるでしょう。紙だけでなくガラスやプラスチック、合成樹脂、金属など、あらゆる素材に印刷できるのが大きなメリットです。また、平面以外にも円錐形や円筒形など、曲面にも印刷できるため、用途は幅広くなっています。
オンデマンド印刷
最後はオンデマンド印刷です。レーザープリントのことを指し、カラーダイレクト印刷と呼ばれることも少なくありません。パソコンからデザインのデータをプリンタに出力し、直接印刷します。
版を作成する必要がないので、短納期で印刷物を作れるでしょう。また、小ロットだと単価が安くなり、種類がたくさんある印刷物に適しています。
利用目的別に印刷の種類を使い分けよう
上記で紹介したように、印刷と一口にいってもたくさんの種類があり、それぞれで特徴や主な用途が異なります。そのため、印刷をするときは利用目的別に種類を使い分けることが欠かせません。
たとえば、同じチラシを印刷する場合でも、完成物の品質を重視するのか、コストを重視するのか、何枚ほど印刷するのか、今後も定期的に印刷する予定なのかなどによって、適している印刷方法は異なります。できるだけコストを抑えつつ、希望に沿った印刷をするためにも、印刷の種類を正確に理解したうえで選ぶようにしてください。
まとめ
たくさんある印刷の方法の中で代表的なのが、凹版印刷と凸版印刷、平版印刷、孔版印刷の4つです。
主に凹版印刷はプラスチックフィルム・軟包装材料・美術書・切手など、凸版印刷はラベル・シール・新聞・名刺・ダンボールなど、平版印刷は新聞・ポスター・カレンダー・折り込み広告・書籍・缶ジュースといった金属など、孔版印刷はステッカー・計器版・ガラス・文房具・Tシャツ・プラスチック・プリント配線・キーボードなどの印刷で使われています。
印刷方法によって仕上がりの質や特徴、コスト、納期などが大きく異なるため、それぞれのニーズに合わせた方法を選ぶことが大切です。