同人誌の印刷はオンデマンド印刷とオフセット印刷どちらが良いの?
同人誌を印刷するときには印刷業者に依頼しますが、印刷方法について知っておくとスムーズです。印刷方法には「オンデマンド印刷」と「オフセット印刷」の2つが用意されています。2つの印刷方法はどのような違いがあるのか、印刷物を作る前に知っておきましょう。
オンデマンド印刷にはどのような特徴があるのか
印刷業者で利用できるオンデマンド印刷とは、高密度のレーザープリントをおこなうサービスです。カラーダイレクト印刷と呼ばれることもあり、フルカラーの印刷物を作るときに適しています。
オンデマンドは日本語にすると「要求に応じたサービスを提供する」という意味です。オンデマンド印刷を利用すればパソコンから印刷物のデータをプリンターに送信できます。従来は印刷するときに版を作っていましたが、オンデマンド印刷では版を作る必要がなく、デジタルデータをそのまま利用できるので使い勝手が優れています。
具体的にはどのようなメリットがあるのかというと「小ロット印刷に対応できる」ことがあります。また、同じ印刷物でバリエーションがいくつかあるものを作るときに便利です。さらに印刷スピードが速いので、すぐに同人誌を刷ってほしいというときにも活躍します。
オンデマンドで印刷をするなら小ロット印刷をするときに利用しましょう。500枚以上の印刷をするときにはオフセット印刷のほうが安くなる傾向があります。
また、オンデマンド印刷は色の濃さにばらつきが出てしまうという特徴があり、ベタ塗りや平網の部分にムラが出てしまいます。ただし業者によっては最新の機器を導入し、オンデマンド印刷でも品質の高い印刷を行える場合があります。
オンデマンド印刷で印刷したときの料金相場としては「A5サイズ」「無線綴じ」「100ページ」「上質紙を使用」という条件で印刷をした場合、オンデマンド印刷だと12,000円前後が相場です。ちなみにオフセットだと27,000円前後かかるので、小ロット生産に適した印刷方法といえます。少部数だと2倍以上の価格差が出てしまうのでかなりお得な内容です。
同条件で500部の印刷を行った場合、オンデマンドだと100,000円前後、オフセットは75,000円前後が中心です。オンデマンドのほうが高くなってしまうのでオフセット印刷を使うのがおすすめです。単価にすると一部あたり50円ほど高くなってしまいます。
オフセットは大量生産に向いている
印刷物を扱っているサービスではオフセット印刷と呼ばれるものもあります。大量には印刷物を発注するときにはオフセット印刷が使われている場合が多いです。どうして大量生産に向いているのでしょうか。
オフセット印刷をするときには基本的に版を作って、インクを落として印刷物を刷る作業を行います。版を作ることによって短期間で大量の印刷物を作ることが可能です。
オフセットは複数ある版の中から平版を使用しています。ただし平版そのものをオフセットと呼ぶわけではないので注意しておきましょう。平版のついたインクをブランケットというローラーに移します。ブランケットを利用して印刷用紙に転写するのがオフセット印刷です。主に商業誌分野で使われているもので、週刊誌や書籍の印刷をするときに使用できます。
印刷物の特徴としては写真や文字まで細部を再現できる、鮮明な印刷が可能などメリットは多いです。とくに色味にこだわりたい場合の印刷物に適したものです。一般的にフルカラー印刷というと4種類のインキを使用します。CMYKと呼ばれるもので、それぞれの色が版の上で重なって多くの色を再現する仕様です。
オフセットでは印刷データを網点と呼ばれる小さな点のパターンにします。点にすることによって、より精度の高い印刷を実現してくれるのが強みです。
オフセット印刷機にはいくつかの種類があります。1つは枚葉印刷機というもので、紙に1枚ずつ印刷を行います。そのため紙の選択肢も多く、表現の幅を広げることが可能です。枚葉印刷機は主に小ロット印刷に対応するものです。
もう1つは輪転機というもので、機上でインキを乾燥させるだけでなく紙の断裁や折りなども可能です。そのため大量生産に向いていて、主に書籍やチラシを印刷するときに多く使用されます。
オフセット印刷はオンデマンド印刷と違い版を作るため、納品までにある程度の時間がかかります。同人誌即売会などのイベントでの販売を目的として同進士を印刷する際には、納期に余裕をもって注文しましょう。
さらに、オフセット印刷は少量生産だと1枚あたりの金額が割高になってしまうので注意が必要です。少量のモノクロ同人誌を印刷するのならオフセット印刷は向いていません。
オフセット印刷は1796年に誕生したもので、当時は石版印刷というものが使われていました。石版印刷はオフセットの原型となるものです。従来までは木版を使う凸版と銅版を使う凹版印刷が主流でしたが、オフセットは凹凸のない平版になっているので当時としては画期的な発明です。
その後1904年にはブランケットを転写して紙に写すオフセット印刷機が完成して、日本にも機器が入ってきました。1900年初頭から始まった印刷技術なので100年以上の歴史があり、世界中でも利用されている技術という確かな信頼もあるのがメリットです。
印刷するときのコツを知っておこう
同人誌の印刷をするときには、オンデマンド印刷とオフセット印刷のどちらが適しているのでしょうか。たとえば同人誌を少量印刷したいときにはオンデマンド印刷が適しています。
オンデマンドは100部や200部くらいの印刷ならオフセットよりも安価なので使い勝手が良いです。あまり同人誌を刷らなくても良いというときに活用できます。
オフセットは大量生産に向いているものなので、たくさん同人誌を作りたいときに便利です。ただ少量の生産には向いていないので注意が必要です。コストはかかりますが、印刷の質が非常に高く鮮明な写真をプリントできます。
多少コストが掛かってもきれいな印刷をしたいときにもオフセットは便利です。たとえばフルカラーの同人誌を作るときに利用すると満足度が高いでしょう。なるべくコストを削減して印刷をしたいなら印刷業者のサービスに注目をしましょう。
印刷業者ではキャンペーンを行っているところも多く、「初回利用者限定で印刷価格を割引」や「ポイントアップ期間」などを利用できるとお得です。頻繁に印刷物を作る方場合にお得なリピーター割引などを用意しているところもあります。
また、オフセットを利用するのなら納期調整をしてみましょう。余裕をもった日数で納品日を指定することで、料金が安くなる場合があります。逆に納期を早くしてしまうと料金が上がるので注意が必要です。
同人誌を印刷するときにはオフセットとオンデマンドという印刷手法が利用可能です。オンデマンドは主に少量生産向き、オフセットは大量生産に向きなので使い分けが肝心です。
ちなみにオンデマンドはデータを直接機器に送信して、そのまま印刷を行います。版の制作が必要ないので少量の生産でも安く済ますことができます。オフセットは平版を作って印刷をする技術で、原型を辿ると100年近くの歴史があります。高鮮明な画像を印刷することができる印刷方法なので、ビジュアル重視の印刷物を作るときに便利です。
コスト削減をしてオフセット印刷をしたいときには、印刷業者のおこなっているキャンペーンやポイント制度を使いましょう。