同人誌を単色刷り印刷する際の色選びと注意点
同人誌は今では、原作と同等かそれ以上の人気を誇る作品も存在しています。基本的には作家自身が自費出版をする形となり、その制作費用は売り上げから賄うことになるものです。ここでは、同人誌の作り方から印刷をする際の単色刷りの色選びや注意点について詳しく見ていきましょう。これから作品作りをなさる方の参考になれば幸いです。
もくじ
同人誌とはどのようなものか
同人誌といっても、基本的には漫画作品であるものです。この作品の場合は元となる原作があり、作中に登場するキャラクターはその原作に基づいているのが特徴です。外見はもちろんのこと、話し方や趣向もすべて同じでないといけません。
同人とは同じ作品のファンという意味を持つ言葉で、ファンの間で見たいと思っているシーンやキャラの特性を描いているものが一般的です。二次創作漫画とも言われており、本来であれば原作者は、自身が生み出したキャラクターや物語を第三者に取り扱われるのは拒絶をなさるものでしょう。
ところが漫画業界では同人作品に対しては、非常に寛容な態度を示す傾向にあります。それはファン同士の交流を助けるツールの役割を担っており、またこの漫画を通して新たなファンの獲得もできるからです。そのため、原作者や出版社も半ば承諾をしているものと言っても過言ではありません。おもにイベント会場で販売されていて、人気作品であれば即完売をするほどの支持を受けているものさえあるほどになっています。
制作するには2つの方法がある!
漫画が好きで、これから自身でも同人作品を作ってみたいという方は大勢いらっしゃることでしょう。同人誌も漫画を制作するという基本スタイルとなるため、紙とペンで描いていくことが可能です。これがもっともポピュラーな方法ですが、それ以外にパソコンを使用するということもできます。
パソコンにはイラストを描くソフトをインストールすることができ、実際にペンで細かい描写を再現できるガジェットも販売されています。昨今の制作現場ではこのパソコンを用いたデジタル描写が普及しており、アマチュアはもちろんのこと、プロも愛用されているほどです。
実際に同人誌を描いている方の体験談を目にすると、後者のデジタル描写の方か扱いやすいと評価を下されていることがわかります。その理由として挙げられていることは、色の変更をしやすくて細かい線や背景の色彩も短時間で再現できることを挙げられていました。また、インクを購入する必要がなく、制作コストを大幅に下げられるという点も人気で多くの方が利用しているツールです。
パソコンで同人誌を制作するのに用意するもの
パソコンを利用した制作をする際は、ハイスペックのパソコン・21型以上のモニター・ペンタブレットの3つを用意しましょう。パソコンと一言にいっても多種多様な機種が販売されています。4万円程度のマシンの場合は事務作業に特化しているもので、イラストを描くのには不向きです。
最低でも8GBのメモリとグラフィックボードを搭載しているものを購入して、緻密な描写を描ける環境を用意しましょう。モニターの大きさは作業効率に大きく影響を与えます。モニターが小さすぎると全体像を目にすることが難しく、各キャラクターと背景のバランスを均一にするのが難しいです。デスクトップサイズのものが理想的で、ノートPCの場合は外付けの画面を購入すると良いです。
ペンタブレットとは漫画を描くのには必須のガジェットです。マウスと同じように使用をしますが、指に持って直線から曲線を自在に描くことができます。このガジェットがないとイラストの作成が困難なので、必ず買い揃えるようにします。家電量販店やネット通販サイトで販売されています。
実際に本にするには印刷サービスを利用する
原作に基づいた同人誌を描き終わったあとは、製本にして販売する準備に取り掛かります。1部から10部程度の少数であれば自宅に設置をしているプリンターや、コンビニにあるコピー機を使用して各ページを増版し、製本にすることも可能です。
ところが50から100部以上もの冊数になると、個人で制作するのには大変な時間と労力を有することでしょう。この場合は専門の印刷サービスを頼るのが吉です。一昔前であれば街中にある印刷会社に依頼をして原稿を持ち込み、印刷をおこなってもらうのが一般的でした。
しかし、昨今ではオンラインサービスを実施している会社が多く、依頼から打ち合わせ・原稿の提出まですべて、ネットで完結させることが可能です。特にパソコンを使用して描いた作品であれば、JPEGまたはPEG拡張子のデータを各サービスサイトでアップロードすることもできます。わざわざ来店をしたり、郵送で送る必要もないので利用しやすいことでしょう。個人客向けの小ロットにも対応しているので、気軽に依頼ができます。
コストを抑えるなら単色刷りをしよう
同人誌を作成するうえで考えたいのが、コストです。基本は自費出版となるので、大半の方がコストを如何にして削減するのかで頭を悩ませています。もっとも削減しやすい点が使用する色であり、同人誌に至っては2色刷りから1色刷りの単色刷りを選ばれる方が多い傾向です。単色刷りの場合は黒・青を採用されるのが良く、この場合だと1ページあたり約5円で印刷をすることができます。
先述した黒・青だけでなく、赤や緑を選ぶこと可能ですが、ここで注意をしたい点が作品とカラーがマッチしているのかという点です。使用する色によって作品の印象は大きく異なるので、じっくりと時間を掛けて吟味するのが良いでしょう。
たとえば恋愛作品であれば、全体的に淡い色彩が好まれるので青の1色刷りにすると見栄えがします。反対にアクション作品となると陰影をくっきりと表現させて視覚効果を強調したいので、黒色を採用するのがベストです。印刷に掛かるコストも然ることながら、読者にとって見やすいカラーを採用することにも注意を向けましょう。
体験者から見る1色刷りの良さを確認
同人誌は今では非常に大きな市場を抱えるコンテンツとなり、毎年開催されているイベントでは約30万人もの方々が全国各地から集って、お気に入りの作品を購入されています。実際に作品を発行されている方々の体験談をSNS等で目にすることもできますが、大半の方が1色刷りの作品を発行されてることがわかります。
この単色刷りの良さを語られている方もおり、その一部を抜粋していきましょう。「低コストで制作ができる」「納期が早い」「作画で勝負ができる」というものでした。1色刷りの場合は1ページあたり5円前後となっているので、少ない費用でも制作することが可能です。この点を1色刷りの良さだと挙げてる方が多くいました。
また、多色とは異なるので印刷作業が1回で終わるのも特徴です。これにより印刷会社からの納期が短くて良いということを語られている方もいます。1色という一見すると地味な作品になりがちですが、その分作画の力量が問われます。作者にとっては腕の見せ所となっているのも事実で、実力を発揮しやすいのも単色刷りの特徴です。
以上、同人誌の制作の概要や単色刷りのポイント等について見ていきました。同人誌には原作とは違った別の可能性を無限に秘めたファンの作品です。今までは読者であった方でも、自身で作成したいと思うこともあるでしょう。その際まず、コストを削減できる単色刷りを採用すると良いです。この単色刷りは各作品の特徴に合わせた色を選べば、見栄えを高めることもできます。