同人誌印刷の際に背表紙も印刷してもらえるの?
同人誌を制作するときには、表紙や裏表紙だけでなく背表紙も準備しなければなりません。しかし業者に依頼して作成するときには背表紙まで印刷してもらえるのでしょうか。一般的な対応を紹介したうえで、実際の作り方について簡単に説明します。中身だけ完成した時点で満足せず、作品としてしっかりと体裁を作り上げられるようになりましょう。
背表紙の印刷にも対応してくれるのが一般的
業者に同人誌を印刷してもらうときには、すべての原稿を入稿し用紙やオプションサービスなどを選択すれば、後はできあがって納品してくれるのを待つだけです。しかし、入稿したものに不足や不備があって問い合わせが来てしまうこともあります。
よくあるケースとしては「表紙と裏表紙と原稿はあるけれど、背表紙がなかったから空白でよいのか」というものです。一般的に冊子や書籍の印刷を依頼するときには、表紙と裏表紙だけでなく背表紙についても対応してくれます。
ただ、当然のことながら原稿がなければ対応できないので問い合わせが来てしまうのです。この対応については業者によっては有料オプションになっていることもあり、その場合には入稿してなかったからといって確認連絡を入れてくれることはありません。
しかし、通常は標準サービスになっているか、申し込みの時点でオプションに追加するかどうかを聞いてくれるかのどちらかです。オンラインでの申し込んだ場合には、見落としているかもしれないので注意しましょう。入稿方法もほとんどの業者で同じ仕組みになっています。
原稿を使ってどのようにして同人誌を作成しているかを想像してみるとわかりやすいでしょう。本の中身は1ページずつ両面にプリントしていくことによってできあがります。そこで表紙と裏表紙もそれぞれプリントすることによってできあがると考えてしまうかもしれません。しかし、実際に完成した冊子を見てみるとわかりますが、表紙と裏表紙は本の背を通してつながっています。
つまり、表紙から裏表紙にかけて一枚の紙にプリントしたものを使用して冊子が作り上げられているのです。このため、入稿するときにはこの三つの面を一枚の原稿にして提出するのが基本になります。それぞれ別々に作成して入稿しても適切に並べて対応してくれる業者もありますが、追加料金を請求されてしまうこともあるので注意しなければならない点です。
最後にならないと背表紙は作成するのが難しい
表紙や裏表紙は同人誌を手に取ってくれるかどうかを大きく左右する部分なので、中身を制作している段階から何度も書き直しながら作り上げていることがよくあります。本の背の部分は平置きにしてしまうとほとんど目に付かない部分です。手に取ってくれた人も裏返して裏表紙を見ることはあっても、タイトルだけが書かれている背までは見ない場合がほとんどです。
そのため作成するのを後回しにする傾向がありますが、実は最後にならないと作成するのが難しいので合理的とも言えます。A5サイズの冊子にしようと考えたら、表紙や裏表紙の大きさはA5だと決まるのでいつでも作ることが可能です。
しかし、本の厚さはページ数によって変化するので、ほぼ最後の段階まで進まないとどのくらいのスペースがあるかがわからないのです。あらかじめ何ページにするかの予定が立っていたとしても、フルカラーのイラストを何枚か挿入しようという話が出てくるかもしれません。遊びのページを少し入れたり、章と章の間にイラストやスタッフのコメントを入れたりする場合もあるでしょう。
制作が終盤になってくると、前書きや後書きを入れたくなることもよくあることです。100ページあるところで1ページだけ増減したところで大きな違いはありませんが、5ページや10ページも増えてしまうと厚さが変わるため誤差範囲を超えてしまいます。
そのため、最終的にこれでページ数がもう変わることがないと決まった時点で背幅がいくつになるかを計算し、デザインを作成するという流れで同人誌の制作を進めることが必要です。本の背の部分にはタイトルや制作者の名前を記載するのが一般的です。これは、背幅がどれくらいでも拡大縮小をすれば簡単にプリントできるからでもあります。
ただ、タイトルや制作者にこだわる必要はなく、表紙から背を通して裏表紙に至るまで一つのイラストを描いても構いません。その場合にも本が厚くなるほど背に載ってしまう部分が広くなって、表紙や裏表紙の端に余白ができてしまいやすくなりますが、数ミリメートルの差なのでそれほど気にならない場合が多いでしょう。
気を付けなければならないのは背にぴったりのサイズのデザインを施したいときで、この場合には本当に背幅が決まってからでないとデザインを完成させられません。
背幅がどのくらいになるのかを見積もろう
中身はほぼ完成した段階でどのくらいの背幅になるのかを見積もってみましょう。この計算をするために必要なのはページ数だけではありません。表紙と中身にどんな用紙を使うのかによって厚さが変わります。安くて薄い用紙を使用すればそれだけ厚さがなくなって背幅が狭くなり、厚くてしっかりとした用紙を使用するとその分だけ背幅が広くなるのです。
もし本文にフルカラーのイラストを挿入し、そのページだけは違う用紙にするといった場合には計算するときに注意しましょう。基本的には用紙の枚数と用紙の厚さをかけたものの総和が背幅になります。中身の用紙の厚さだけでなく、表紙の用紙の分も厚さを足すことが必要です。
デザインの都合上「背幅がもう少し欲しい」「もう少し薄くしたい」というときもあるでしょう。どちらの場合にも対応方法があるので、基本的なやり方を覚えておくのが大切です。
まず、最も単純なのは用紙の厚さを変更する方法で、中身だけ薄くしたり厚くしたりすることも、表紙の用紙だけ厚さを変えることもできます。微妙にもう少しだけ厚くしたいというのなら表紙を分厚くしてしまってしっかりとした書籍に仕上げるのも一興です。薄くしたいときには全体的に用紙を変更してやや薄い用紙にするのが合理的でしょう。
一方、厚くするときには遊びのページを数枚入れるだけで調整することが可能です。メモなどとして入れておいても、巻末に空白のまま入れておいても問題はありません。サインをするページとしても使えるので1ページくらいは入れておくとよいでしょう。あらかじめ遊びのページを数枚入れてあった場合には、背幅を狭くするために何ページか減らすという選択肢もあります。このように微調整ができることは頭に置いておきましょう。
同人誌の作成を業者に依頼するときには、中身だけでなく表紙や裏表紙と一体化した「背表紙」も用意することが必要です。厚さが中身のページ数によって左右されるため、こだわったデザインをする場合には他がすべてほぼ完成してページ数が変わらない状況にならないとデザインを完成させられないので注意しましょう。その点で同人誌のタイトルや制作者の名前を書くだけにするのは拡大縮小のみで対応できるので簡単です。
背幅は用紙の厚さによる影響も受けるので、どのくらいの厚さになるかを見積もるためには用紙も決めなければなりません。最終的には背幅は用紙の選び方や遊びのページの増減で微調整できるため、制作段階で気にしすぎなくても大丈夫です。背表紙までしっかりこだわり、満足のいく同人誌を作ってみてください。