同人誌はいくらで売ればいい?値段設定の仕方についてご紹介!
自分の書いた同人誌をイベントなどで販売したいけど、価格設定がわからないと思っている人は多いのではないでしょうか。とくに初めて販売する場合には正しい相場を理解したうえで価格設定をしなければ、多くの人に読んでもらうのは難しいです。ここでは同人誌の価格の傾向、相場、価格を決めるときの注意点などについてご紹介します。
同人誌の値段は高め
同人誌は一般的な商業誌と比較すると高めに設定されています。同人活動は非営利で行うものとされており、この活動で得たお金は活動資金に充てられます。通常商品は生産量が増えれば増えることコストが下がるため1つ当たりの価格は安くなります。同人誌は、商業誌に比べると発行数が少ないため、1冊当たりの値段が高くなります。
また、値段を下げすぎても売れない傾向にあることも理由の一つです。イベントでしか買えないという希少価値のあるもので、買い手の趣味趣向で買ってもらえるかが決まり、安くしたからといって売れるものではないのです。価格を下げすぎてしまうと、同じジャンルで出店している他のサークルの迷惑になることもあります。
売れ行きがなかなか伸びない場合でも価格をさげすぎないようにすることをおすすめします。ただ、高すぎると、予算が少ない参加者が作品の内容を気に入ったとしても購入をあきらめてしまうことがあります。採算を度外視した価格設定は避けましょう。
同人誌の値段設定の相場
同人誌の値段の相場は発行部数やサイズ、仕様、内容によって変わりますが、一般的にはページ単価10円が多いです。よくあるパターンは、B5サイズで表裏表紙がカラー、中身がモノクロのもので、ページ数×10円+100~200円で販売されることが多いです。たとえば22ページの場合300~500円程度が相場です。全ページカラーの場合は、ページ数×20~30円+100~200円になることが多いので22ページだと、500~800円が相場となります。
同人誌は100円刻みで価格が設定されており、380円や560円のような値段のつけ方はほとんどしません。おつりがでないようにするためです。マンガの場合は絵の美しさを表現するために印刷の美しさが重要になるため、紙や装丁など高くなってもいいものを作りたいという人が多いです。
そのため、ページ数が少なくても相場は高くなる傾向にあります。ライトノベルや小説などは文字がメインのためページ数が多くなりがちです。ページ数が多くなればその分値段も高くなるはずなのですが、イラストが少ない小説はそれほど人目をひかないため高く値付けできないことがほとんどです。
SNSなどで他の販売者の値段設定を見て、自分と同じジャンルでページ数やサイズなどが同じものを参考にするのも、一つの方法です。B5サイズよりも小さい文庫本サイズにしたり、まとめて注文したりすることでコストを抑えることもできます。
同人誌の値段を決めるときのポイント
同人誌は個人が自由に値段をつけられますが、利益を追求しすぎるとなかなか売れないのが現実です。どのような点に気をつけて値段を決めるか見ていきましょう。
需要をリサーチ
自分の作品のジャンルが市場でどのくらいの需要があるのか、ネットやSNSなどを利用してあらかじめ確認しておきましょう。人気のあるジャンルであれば、多くの部数を売り切ることが期待できるため、需要を確認してから価格を決めることをおすすめします。
過去のイベントをチェック
過去に自ジャンルでイベントが開催されているのであれば、そのイベントでの価格を参考にします。SNSなどで検索して相場観をつかむことをおすすめします。そのジャンルでの初めてのオンリーイベントの場合で、参加する作家がわかっていれば作家さんで検索して、相場を確認しましょう。できるだけ自分の作品に近いものを作っている人を見つけられるといいですね。
在庫をさばききる
同人誌を発売する場合に重要なことは、作成した在庫をすべてさばききるということです。さばききれない場合、赤字になるだけでなく在庫の管理が必要となります。初めての出店の場合、完売は難しいことが多いので、在庫をなるべく減らすためにどのくらいの価格を設定すべきか考えて、値段をつけましょう。部数を少なくする場合は、オンデマンドで依頼すると、印刷するよりも安くなることがありますので、印刷方法を検討してみてもいいかもしれません。
原作に配慮する
もし二次創作を行っている場合は、原作に対する配慮を忘れてはいけません。二次創作は原作サイドが黙認してくれているからこそ成り立ちます。価格を高くしすぎるとトラブルの元になりますので、気をつけましょう。
端数を出さない
同人イベントでは参加者の多くができるだけたくさんのブースを回りたいと思って来場しています。お釣りのやり取りで無駄な時間を取らせないよう、端数の出ない100円単位で価格を設定するようにしましょう。
買う側の考えを知る
同人誌を買う人の多くは気になったものであれば、価格は気にせずに購入するパターンとページ当たりの単価が自分の基準を超えていると買わない、というパターンがありますので、どの層をターゲットにして販売するかを考えたうえで値段をつけましょう。
サークル内で合同誌
サークル内で同じジャンルの作品を制作している人がいて、お互いに出せる費用が少ない場合には、合同誌を作るのも一つの方法です。少ない費用でページ数のも多い作品を出店でき、関係者が購入してくれる確率も高くなります。
最終手段で当日発表
当日まで値段がどうしても決められない場合は、当日周りの様子を見てそのタイミングで値段を決めましょう。
同人誌の値段を決めるときに気をつけること
値段を決めるときにどのような点に気をつけるべきでしょうか。
利益よりも楽しみを重視
価格の決め方には明確なルールはなく、基本的には作家の裁量にゆだねられています。同人活動はそれ自体が楽しみです。イベントなどで直接読者と会い、会話することで日々の努力が報われますし、イベントに参加して目の前で自分の作品が購入される喜びを知ることで「今後も読者を楽しませたい」という原動力につながります。
活動を続けるためにはもちろん資金も必要ですが、長く楽しんで活動続けるために、作家とファンがお互い楽しめる価格を意識したうえで、設定することをおすすめします。利益を得たとしても、その利益は次の創作に投資して、作品として読者に返すという気持ちでイベントに臨みたいですね。
実費をもとに算出
入稿スケジュールや特殊加工を施す場合には、通常よりも製作費が高くなることもあります。相場だけを確認して価格を設定してしまうと、大赤字になりかねません。実費をもとに算出する場合には、制作した本の7~8割が売れれば収支ゼロになるよう価格設定します。イベントの相場を確認したうえで、無料配布の冊子代や輸送費などを印刷代に上乗せして算出しましょう。
自分が心を込めて作った大切な同人誌をできるだけ多くの人に認知してもらうためにも、価格の設定はとても重要です。イベントの規模や他の出店者の動向などもチェックしたうえで、適切な価格設定ができるといいですね。せっかく参加するのであれば、イベントを満喫できるよう無理のない価格設定をしましょう。相場を確認し、状況に応じた配慮を忘れずに行うことで、引き続き充実した創作活動を楽しく続けられる環境が維持できます。