同人誌の仕様にこだわることの重要性とは?用紙の種類ごとの特徴を確認!
同人誌を作成する際、仕様にこだわることは大切です。仕様にこだわらないと、実際に印刷してから「こんなはずじゃなかった」と後悔する原因になります。そこで今回の記事では、印刷後に悔やまないために、同人誌の仕様にこだわる重要性について解説します。用紙の種類ごとの特徴もお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
同人誌の仕様にこだわることの重要性
同人誌をより素晴らしいものにするには、仕様が重要です。せっかく熱心に原稿を描いても、「仕様の選択を間違えたせいで、思いどおりにならなかった」という事態は数多く存在します。印刷所は、「作家さんの頭にある理想」を形にする場所ではありません。
理想の同人誌を作るには、「カラー表紙はこの発色で」「本文はこの紙で」というように、印刷所に仕様を伝えなければならないのです。作家さんの希望通りに印刷をするのが、印刷所です。そのため同人誌を出す時は、必ず仕様にこだわってください。ここでは、仕様へのこだわりがいかに大切かについて解説します。
■本文に使用する紙で絵の印象が変わる
同人誌を作る時は、本文に使用する紙にこだわりましょう。これだけでも、本の印象はまったく違ったものになります。同人誌の本文に使用される紙は、上質紙もしくはコミック紙。印刷所の中には、独自にオリジナルの紙を取り入れているところもあります。ここまで種類が揃っているのは、「本文に使用する紙の質が、それだけ大切だから」に他なりません。
・本文の紙が薄いと裏のページが透けて見え、本が薄くなる
・本文の紙が厚すぎても、ページがめくりにくくかさばる
・ベタをくっきり見せたい時は上質紙
・逆に、ベタを柔らかく見せたいときはコミック紙
というように、どの紙を使用するかによって、イラストの印象は大きく変わります。作家さん本人の好みも加味したうえで、本文の紙を選びましょう。
■本文の紙の厚さで本の厚さも変わる
もう一つ気を付けたいのは、「本文にどんな紙を使用するかで、同人誌の厚さが違ってくる」ということです。同じ40ページでも、上質紙70を選ぶか110を選ぶかによって、本の厚さは格段に変わります。上質紙70なら薄く、110なら分厚くなります。「ページ数が少なくても、本に厚みを出したい」という時は、厚めの紙を選択するとよいでしょう。逆に薄くしたいときは、薄めの紙を選ぶことをおすすめします。分厚い同人誌に憧れる作家さんは多いですが、厚ければ厚いほど重くなるため、搬入や持ち運びが大変というデメリットもあります。ページ数と重さ・厚みの調整は重要です。
■本文の紙やインクの色を変えることも可能
同人誌の本文は白、もしくはコミック紙であることが多いですが、紙の色を変えることも可能です。インクの色も変えられるので、よりオリジナル感を出したい場合や、仕様にこだわりたいときに利用するとよいでしょう。紙やインクの色を変えると、本を開いたときの印象がまた違います。可愛らしく見せたり、クールにみせたり、自分のこだわりを形にしましょう。紙とインクを変えるだけでも、本の印象がぐっと変わりますよ。
同人誌に選ばれる代表的な紙の種類
では、同人誌に使用される紙の種類には、どんなものがあるのでしょう。基本的な紙の種類・特徴をまとめてみました。
■コート紙
表紙によく用いられる紙の代表格。いちばん見る機会が多いかもしれません。表面がつるつるしていて、光沢があるのが特徴です。カラーがよく映えるため、カラー表紙の同人誌でよく見られます。厚さは70kg、90kg、110kg、135kgと豊富ですが、表紙にするなら135kgをおすすめします。135kgは、電車や新幹線の切符程度の厚み。110kgはそれより薄いので、表紙にするには心許ないです。アニメ調の塗りなど、パキッとしたカラーを表現したい時にぴったり。フルカラー本文にも使用される紙です。
■マットコート紙
コート紙のツヤツヤ感を抑えたもの。やはり表紙に使用されることが多く、しっとりした手触りがあります。マット紙を使用すると、本の印象に落ち着きが出ます。インクが深く入り込みすぎないため、本文をカラーにしたいときにもオススメ。表紙として使用する場合は、コート紙と同じく135kgからがよいでしょう。
■アートポスト紙
主に表紙に使用される紙で、PP加工・マット加工をしたい時によく用いられます。180kgなので、けっこうな厚みもあります。180kgは、はがき程度の厚みだと考えてください。印刷所のフルカラー表紙セットでもお馴染み。PP加工を簡単にいうと、ラミネート加工です。表紙をラミネート加工のように、ツルツルツヤツヤに仕上げたい時におすすめです。マット加工は、PP加工とは逆に表面を艶消ししたもの。趣があり、優しい雰囲気に仕上がりますよ。
■上質紙
上質紙は、同人誌の本文に使用される紙のこと。最もベーシックな存在であり、多くの同人誌に使用されています。コピー用紙を想像してもらうと、質感が伝わりやすいでしょうか。特徴は、モノクロがハッキリと印刷できること。真っ白な紙なので、墨がキレイに映えます。上質紙にも厚みの種類があり、70kg・90kg・110kgなどがあります。70kgはコピー用紙と同じ厚さと考えてください。同人誌で使用する場合、90kgが一般的。70kg・90kgは、印刷所のセットに含まれていることが多いので、漫画の場合はとくに90kgをおすすめします。
■コミック誌
週刊誌やコミックの本文に使用されている紙。こちらも上質紙同様。非常に人気がある紙です。表面がざらざらとしていて、インクや墨のテカリが出ないのが特徴。とくにベタがキレイに出ます。印刷すると、温かみのある印象に仕上がるため、作家からの支持も厚いです。厚みの割に重量が軽いため、本の搬入や持ち運びにも強い味方になってくれます。
同人誌の仕様を選ぶ際に意識するべき点
同人誌の仕様を選ぶ時に、意識した方がよい点を紹介します。仕様は本の売れ行きに影響することもあります。これから本を作る方は、参考にしてみてくださいね。
■漫画同人誌はB5サイズがおすすめ
仕様を選ぶ時に重要なのが、同人誌のサイズです。同人誌のサイズは一般的に、B5もしくはA5が多いです。B5は普通ノートと同じサイズ、A5はそれより2回りほど小さいサイズだと考えてください。
同人業界では、「B5とA5、どちらのサイズが人気か」という議論が頻繁に起きています。そのくらい、どちらにもメリットがあります。ただし、漫画を同人誌にするのであれば、B5サイズをおすすめしたいところ。初めて同人誌を作る方なら、尚更B5がよいでしょう。なぜB5がよいかというと、メリットのひとつは「読み手の読みやすさ」です。
また、もうひとつのメリットは、漫画で活躍する同人作家さんたちが、B5で本を出すことが多いためです。買い手さんの立場だと、本はみんな同じサイズの方が収納しやすいです。買い手さんは案外、「収納の問題」を気にします。ほかにも「同人誌即売会で本を売る時は、B5の方が目立つ」という点もメリットです。
サイズが大きい方が、机に並べたときに表紙がよく見えて、見栄えがします。ポスターや看板で目立つ方法もありますが、目に留まるポイントはひとつでも多い方がよいです。同人誌を初めて作る方だと、スペースに並ぶ本は新刊のみですよね。それなら尚更、一冊を目立つようにした方がよいです。以上の理由から、B5をおすすめします。
■セット割やキャンペーンを賢く利用する
同人誌はサイズが大きければ大きいほど、ページ数が増えれば増えるほど印刷費が高くなります。表紙の紙や色彩も、よい紙を使ったり色をキレイに出したりすれば、値段は高くなります。大手で「高い印刷費でも出せるよ!」という方以外は、仕様と印刷費の狭間で悩むこともしばしば。「よい仕様にしたい、できれば費用を抑えたい」というのは、多くの作家さんに共通する願いでしょう。
少しでも印刷費用を抑えたい場合は、印刷所のセット割やキャンペーンの利用を考えてみてください。セットやキャンペーンは、印刷費用の設定が安め。賢く利用すれば、同人誌制作の強い味方になってくれます。印刷所の比較サイトを利用すると、「どの印刷所からどんなキャンペーンが出ているのか」をチェックできます。ぜひ利用してみてください。
■試せるものは全部試す
同人誌を刷った後に、「こうすればよかった」「理想と違った」と後悔しても、取り戻しようがありません。印刷費は決して安い金額ではないので、仕様の確認は印刷前にしっかりと行う必要があります。確認する項目としては、以下のものなどが挙げられます。
・試し刷りをする
・紙見本を取り寄せて印刷前に触れる
確かめられることは事前に全部確かめてみましょう。
まとめ
同人誌の仕様選びは本当に重要です。同人作家さんは、誰しも努力を積み上げて作品を描き、世に送り出すでしょう。でも、多くの同人誌が世に出る中で、自分の作品を手に取ってもらうのは難しいこと。「多くの人の読んでほしい、見てほしい」を叶えるには、読者の目に留まる仕様が必要です。また、紙選びや表紙の加工選びなど、仕様を考えるのは楽しいもの。モノづくりをされる方にとって、この上ない喜びを味わえる瞬間です。印刷所のキャンペーンやセット割を利用しつつ、仕様にもこだわってみてくださいね。