同人誌の印刷部数の決め方
マンガや小説などの同人誌を作って、イベントや通販で販売している人は少なくありません。初めて挑戦する時、まず困るのが部数の決め方です。イベント会場では、数百から数千冊を販売しているサークルもあります。しかし、最初から数が売れるわけではないので注意が必要です。まずは小部数から挑戦し、様子をみて増やしていきましょう。
もくじ
初めてなら小部数で様子をみる
買い手側となってイベントに参加したことがあったとしても、売り手が初めてならサークル活動初心者です。どんなに大きなイベントでお客が沢山きたときも、その多くは有名で人気のあるサークルで同人誌を購入します。初参加のサークルは、無名で買い手からすれば面白いか分からない本です。
最初は、他の同人誌を買うついでに見てくれる人がお客になる可能性が高いです。人気のあるところには購入するための列ができますが、初めて参加する際はそれも望めません。なので、数はなるべく少なめに設定しておくことが重要です。
沢山作れば一冊あたりの単価は安くなりますが、在庫を抱えてしまうので注意が必要です。決め方は簡単で、まずは50冊以下、10冊単位で数を決めていきます。100を超えると単価も安くなりますが、売れ残った在庫を家に持ち帰るのが大変です。赤字になるのが不安な時は、コピー機を使って自作してみるのもお勧めです。どうしても印刷所に依頼したい時は、オンデマンドや単色カラーの表紙にしてみると単価を抑えることができます。
イベントに参加したら部数を増やす
初めてイベントに参加すると、大体自分の同人誌がどれくらい売れるのかが分かってきます。中には、すでにオンラインのSNSやホームページなどで作品を発表しているという人もいるでしょう。オンライン上で人気があり、読者がついているという人も少なくありません。
しかし、会場では同人誌を読むためにお金を払ってもらうことになります。無料でスマホやパソコンでどこからでもすぐに作品を閲覧できるオンラインとは、読者の数がイコールにならないので注意が必要です。例えば、毎日数千人の閲覧数があるホームページを運営していても、イベントでは100冊売れないというサークルも珍しくありません。
ホームページなどで読者がいる場合でも、初参加の時は印刷する数を少なめに設定しておきましょう。参加して売れる数が分かったら、印刷部数を増やしていくのが安全な決め方です。1回のイベントで売れた数を確認しておき、次はその数字より少しだけ多めに印刷します。不安な時は、売れた数かそれに一割程度増やしたくらいにしておくと安心です。
年間に参加するイベントの回数と部数の決め方
東京や大阪などの大きな都市では、年間に様々な同人誌即売会などのイベントが開かれています。地方でも開かれていますが、規模の大きさでいうと東京や大阪の方が圧倒的です。大きな即売会では、当然販売が見込める数も変わってきます。
逆に大型即売会で100部売れたからといって、地方の即売会でも同じ数だけ出るとは限りません。つまり、参加する即売会の規模によって部数を変える必要があります。また、年間に数回参加する人と1回のみの人では、販売できる部数の条件が全く異なります。参加回数が少ないなら、部数はなるべく在庫を抱えないように決めることが大切です。
もう一つ気をつけたいのが、新刊と既刊の売れ方に注意することです。初めて販売する時は、一般的な商業誌と一緒で一番部数が出ます。小さなイベントで出した新刊の場合、次の大型イベントで売れることもあります。通常は、参加するごとに既刊は売れなくなると考えた方が安全です。参加回数は、部数を決める際に重要なので注意するようにしてください。参加する回数と規模は、決め方の重要なポイントとなります。
通販で販売することも検討する
同人誌即売会では、場合によってはかなりの部数を販売できる可能性があります。しかし、一方では遠方でのイベントのため購入できないという人も一定数います。そのため、同じ即売会でも東京だけに参加している人と全国に参加する人では販売できる数がかなり変わってくるので注意が必要です。
といっても、遠方のイベントに参加するとなると交通費などもかかり大変です。泊まりがけになったり、時間的に難しいという人も少なくありません。もし、遠方の人にも購入してもらい部数を多くしたいと考えるなら、通販を利用する手があります。ホームページやSNSを利用して、自分で通販を受け付けているサークルもあります。
他には、同人誌の専門通販サイトや店舗に委託しているサークルも少なくありません。委託の場合は、手数料がかかってしまうのと審査がある可能性があるので注意が必要です。通販ができるなら、イベントで販売できる数に少し増やして印刷を依頼できるようになります。即売会以外でも販売する予定があるなら、その分増やしてみることをお勧めします。
売り切れたら増刷するという方法
急に人気が出るなどして、一気に読者が増えるというケースも珍しくありません。その場合は、用意していた同人誌がイベントの午前中に売り切れてしまうこともあります。中には即売会が開始してから、1時間以内に完売してしまうこともあるほどです。
もし、次のイベントや通販でも販売したい時は、追加で印刷を依頼するのが一般的です。印刷所に原稿を再度入稿することになりますが、料金は新規扱いになることが多いでしょう。そうなると、最初から数を増やしておけば良かったと思う人も多いはずです。しかし、急激に販売数が増えるのはごく稀なことです。作りすぎて在庫を自宅などに抱えるより、追加で増刷した方が困りません。
同人誌は段ボールに何冊も詰めると、とても重くなり場所も取るため自宅で邪魔になる可能性が高いからです。倉庫や印刷所で保管してもらう方法もありますが、それには手数料が必要になります。手数料がかかるなら、少なめに発注して足りない分を増刷した方が細かな調整ができて安心です。ただ、増刷すると赤字になるなら通販を諦めるという選択も大切です。
部数によって印刷のメニューを選んでみる
印刷所に依頼する場合、同じ同人誌でも表紙がフルカラーや単色カラーなど色々な種類があります。本文もブラック一色が一般的ですが、レッドやブルーなどのカラーインクで印刷することも珍しくありません。ただし、数が少ない時はフルカラー表紙やカラーインクを作った本文の印刷は単価が高くなることが多いので注意が必要です。
最初はシンプルなメニューで作成して、数が増えたらいろいろ試してみることをお勧めします。もし100冊以下なら、オンデマンドを利用すると代金が安くなると言われています。
逆に、1000冊単位になるとオンデマンドの方が割高になるのも注意したい点です。同じ仕様でも作る数によって、単価がかなり変わってくるので注意しましょう。自分で販売できそうな数を確定したら、どんな同人誌にするのかメニューを選ぶようにします。仕様と数を考えるのも、決め方のポイントとして重要です。凝った本を作りたいと思う人は少なくありませんが、最初は費用がかからず少なくても安心なシンプルなものから挑戦することをお勧めします。
同人誌を何冊作るか決める際には、イベントや通販など様々なことを考えなくてはいけません。もし、不安な時はなるべく少なめに印刷することをお勧めします。何冊も作っているうちに、同人誌の作り方にも慣れてきます。読者も自然と増えてくる可能性が高いので、少なめからスタートして増やしていくことを目指すのが安全です。