同人誌の印刷を頼んだらどのくらいの日数で納品される?
昨今、同人誌と言うものを耳にしたり目にしたなんて人も少なくはないはずです。
それを自分で作ってみたいと思う人のために印刷に関して今回は説明させていただきます。
もくじ
時期や印刷内容に拘らないならとにかく早い
第一に、率直な話をしてしまうと「時期的な繁忙期でないこと」やその「印刷内容が単純なモノ」という話であれば印刷所に依頼を掛けてから納品までの期間はとにかく早いです。
部数にもよりますが数日程度でたいていはやってくれるとは思います。
ただ、最初に言いました通りこの同人誌と言うものが関わるのはイベントという言葉が付いて回ります。
そのイベント期に重なれば印刷所も相当な大手でない限り、依頼が殺到している状況でそのクオリティや完成度を保証して素早くすべてをこなすのも当然難しく、あくまでも「数日で納品できる」というのには大きな制限がありますし、仮にそれでもいいという事で頼むにしても普段の料金よりかなり割増しになることはあらかじめ覚えて置かないと「折角作ったのに販売しても大赤字」なんてことになってしまいますので、それは最初に覚えておくことをお勧めします。
主にこの「同人誌即売会」と言われるイベントは日本でも有名なのは有明で行われるコミックマーケットで、お盆の前後と年末に行われています。
この時期に依頼を出そうとする場合には、印刷所も駆け込み入稿をする人が居るのを承知してプランを作っている会社も多いのでそれをチェックすれば大体の最速納品日数がわかります。
時間ぎりぎりまで作り込める方がいいか
ほぼ日数が迫って居ても大丈夫だから、それでは自分の作品をトコトン煮詰めたら良いかというとそういう事ばかりではありません。
同人誌を作る上で重要なことがいくつかあります。
その一つに当然内容の完成度や技術的な面、内容の面白さというものがあり、それは漫画や雑誌を制作側で関わっている方ならある程度理解していることですがいくら時間があっても足りないというか、時間を置いて見直せば見直すほどに、限られたページ数で良いものを作ることができます。
ただ仮に「有名な作家」が描いたという誰でもが知っているくらいの知名度があれば話は違いますが、同人誌を作るのは大抵がアマチュアの作家志望の方や趣味として作っている方で、ましてや初めて作る方となるとこんな効果はまずありません。
つまるところ即売会で手に取ってもらうためにはある程度その見た目が人の目に留まらないと、結果的に買い手がつかずに「いいものを作っても思うように売れなかった」という事はよくあることです。
そういうことを考慮すると見た目をある程度派手に仕上げる必要があり「フルカラー」などをはじめとした、目立つ表紙の加工を加えると成ると日数は一気に数週間くらいの余裕を見たほうが良くなります。
制作クオリティや期間と費用面の問題
同人を作るうえでもう一つ関わってくるのは、制作コストと販売コストの問題です。
印刷を頼むとなると結構なお値段もかかりますし「雑誌などは一冊300円くらいだから」とあのくらいで印刷コストが間に合うかというとそんなことはありません。
一般に売られている企業系の雑誌は、それこそ全国販売ですし部数が物凄い数で有り、なおかつ定期販売している物なら印刷所との契約がありますので、安価で大量に作ることができますが、個人で作ろうとなると前述の通り「見栄え」という意味で上質な紙を使うことも考慮しなくてはなりませんし、絶対的発行部数が少なく販売場所もかなり限定的です。
そんな条件の上で「数日で作ってくれる超特急コースでもいいや」なんて安易に考えていると、数割の印刷コストが最終的に自分の同人誌の販売コストを圧迫して、結果的に大赤字になってしまう状況へと追い込まれてしまいます。
特に印刷所も大きなイベントの前には「早期予約プラン」などで印刷依頼を請け負っているのでこちらを利用しようと考えると今度は一気にひと月前後の時間を見ておく必要が出て来ます。
部数をどの程度にするかという問題も
前述の通り、同人は個人単位で作るモノです。
企業単位で有ればその流通経路はまた違ったものに成りますが、当然普通の本屋で取り扱ってくれるような商品に成ることはまずありえませんし、基本的に同人の中でも人気が出て一部に企業がそれを目に留めて、仲介に入って一般商業誌などと同じ形で販売された実例は有りますが、同人という単位を個人で作る時にはどのくらいの需要を見込めるかという問題が出て来ます。
発行部数は多ければ多いほど単価は結果的に安くなりますが、何度も触れた通り即売会等の「個人的に発売する範囲」は限られたものです。
「コストが見合わないから数回の別な即売会で売り込もう」と思って一気に大量にするなんてことを考えれば、当然それに見合っただけの時間と初期コストがかかり、なおかつ自分の部屋など「在庫管理」という問題がついてきます。
そういう意味では納品までの時間が短くなるという意味でも少量の発行をまずは考えるのが無難です。
ただその場合にも大抵の印刷所は「100以上」など最小数でも数十部からの依頼でないと受け付けて貰えませんので、納品までの時間と合わせて自分の望む部数を刷ってくれるプランがあるかを確認しておくとよいです。
どの程度の日数が必要かのまとめ
大手や地方など印刷所の大小や地域、また即売会会場への納品をお願いする場合など多少の誤差は有りますが、大まかにですがまとめておきますと「表紙等が単色で加工をしない」「費用的には数割以上の割増料金が掛かる」「場合によっては部数に制限が掛かる」「乱丁や落丁などの保証が無くなる」などの制約があってもいいなら数日程度、逆に「表紙や内容に凝った細工を施してもらう」「早期プランでなるべく安く仕上げてもらう」「納品タイミングや場所などを指定して出してもらう」などのいろいろなサービスを受ける場合には最低でもひと月以上前には全部仕上がっている必要があると言った感じになります。
地域によってはもちろんサイトを出している会社ばかりではないのでもっと違う方法が見つかるかもしれませんが大体このくらいです。
ちなみに、少し余談にはなりますが「フルカラー表紙」などの場合に白黒の内容と違って表紙だけが時間が掛かるのでカラー原稿部分だけを先に入稿しておくというシステムがあります。
これはそのままフルカラーの表紙分だけひと月とかふた月とか先に出して仕上げてもらう予定を立てて置き、白黒の内容原稿を出来るだけ時間をかけて後に入れるという方法です。
必要ならこういったシステムを利用するのも依頼を出す上でのコツとなるでしょう。
同人誌を作るつもりならとにかく時間
ここまで印刷の面に重点を置いてお話をしてきましたが、同人誌を作る上では莫大な時間がかかります。
特に自分で内容の検討や仕上がった後の編集、多人数で作る場合にはそれぞれのページ数の割り振りや間に合わなかった場合にどうやってページを合わせるかや、それぞれに書く内容次第ではその掲載順番にも配慮しないといけない部分もあります。
その上で販売する場所の設定やイベント参加の申し込みと場合によってはそのイベントへの参加枠が取れるのかの確認なども出て来ますし、いざ参加が決まったなら今度はその開催日時に合わせた入稿や納品の依頼を出さないと行けません。
漫画を描くと成ればそのクオリティは何度考察してもどこまでも良くできる気がして時間はいくらあっても足りませんので単純に「納品までは最悪数日でいいから」という考えでスタートを切るとまず間違いなく時間に追われて、結果的に「あれも出来なかった」「これもやりたかった」と作った後で悔いが残ります。
それも経験として蓄積はされますが、どうせ作るなら初めての物は出来るだけ気持ちよく仕上げたいものですから、数か月、出来るなら年単位で先を見据えて同人誌制作に取り掛かる事を強くお勧めいたします。