同人誌におけるカップリングとは?ノマカプ・BL・GLって何?
同じ趣味を持った者同士で創作したものを印刷した同人誌。これから同人誌を作りたいと思っている方も多いでしょう。同人誌を作るにあたって大切なのは、カップリングです。そこで今回は、カップリングでよく聞く、ノマカプ・BL・GLについて解説します。同人誌制作でどんなカップリングにしようか迷っている方、ぜひ参考にしてみてください。
ノマカプとはノーマルカップリングのこと
カップリングとは、同人誌の制作において登場人物同士の恋愛関係を表す言葉です。その中でもノマカプとは、ノーマルカップリングのことを指します。ノーマルカップリングは、男女の組み合わせのカップリングです。
そこで「男女の組み合わせのカップリングが多いのでは?」と思う方もいるでしょう。実は同人誌では、女性同士や男性同士のカップリングが非常に多いのです。そのため、男女のカップリングをあえて「ノーマルカップリング」と呼んでいます。ノーマルカップリングは「男女カプ」や「NL」と呼ばれることも多いです。
「ノーマル」は侮辱的!?ヘテロカップリングと呼ばれることも
男女のカップリングを指すノーマルカップリングですが「ノーマル」という表現が侮辱的ではないかという声も上がっています。「ノーマル」は、直訳すると「普通」です。
そのため一部の人からは「男女のカップリングが普通なら、同性同士のカップリングは異常なの?」ととらえられてしまうのです。そこで最近は、男女のカップリングを「ヘテロカップリング」と呼ぶこともあります。「ヘテロ」とは「異なる、違う」という意味があるからです。
BLとはボーイズラブのこと
BLとは、ボーイズラブのことを指し、女性読者向けの男性同性愛の作品です。BLはその中でも年齢が低い男性の同性愛を指します。BL好きの女性を指す「腐女子」という言葉が生まれるほど、世の中に浸透しているBL。一体いつ頃から、男性同士の同性愛がBLと呼ばれるようになったのでしょうか?
BLと呼ばれるようになったのは90年代後半
男性同士の同性愛がBLと呼ばれるようになったのは、1990年代後半といわれています。きっかけは、1981年~1996年まで出版されていた雑誌「JUNE」です。JUNEでは、男性同士の同性愛が表現されていました。
BLという言葉は、JUNEの読者が派生した言葉とされています。また、男性同士の同性愛の作品は、同人界で「やおい」と呼ばれることも多いです。
GLとはガールズラブのこと
GLとはガールズラブのことで、女性同士の同性愛の作品を指します。レズビアンと呼ばれることも多いです。中でも、女性作家が描いた女性読者のためのレズビアン作品は「ビアン物」と呼ばれます。「レズ」という呼び方もありますが、この呼び方は男性読者向けのイメージです。
同人誌で純粋なGLは少ない!?
同人誌において、純粋なGLはノマカプやBLに比べると少ないようです。同人誌の中では、女性にはBLが好まれ、男性向けにはノマカプが好まれます。そのため、女性同士の同性愛をテーマとしてきちんと描いている作品は少数派になります。
薔薇や百合と表現することもある
同人誌でBLやGLは「薔薇」や「百合」と表現されることもあります。一体なぜそのように呼ばれるようになったのか、それぞれの語源や歴史を見てみましょう。
「薔薇」の語源は古代ギリシャ
BLが薔薇と呼ばれるようになった由来は、古代ギリシャにまでさかのぼります。実は古代ギリシャでは「男性同性愛者は薔薇の木の下で愛を確かめ合う」といわれていたのです。男性同性愛者を扱った雑誌「血と薔薇」や、映画「薔薇の葬列」に使われている「薔薇」という言葉は、古代ギリシャの由来から来ています。
これらの雑誌や映画が世に出たあと「薔薇族/THEBARAZOKU」というゲイ雑誌が登場しました。業界内だけでなく、世の中でもBLが「薔薇」と表現されるようになったのは、薔薇族の創刊からです。
薔薇の対義語として生まれた「百合」
百合は、GLことを指します。GLが百合と表現されるようになったのは、BLを薔薇と呼ぶようになってからです。前述した「薔薇族/THEBARAZOKU」の編集長が、薔薇の対義語として、女性同士の同性愛を「百合」としました。
同人誌業界の中で「百合」という言葉は浸透していますが、最初は女性同士の同性愛の隠語として使われていたのです。
その後「制服百合族」や「OL百合族19歳」といった女性同士の同性愛を描いた作品が大ヒットしました。これらの作品は雑誌やマスコミも多く取り上げ「百合」という言葉が女性同士の同性愛を指す言葉として世に浸透していったのです。
カップリングは好きに組み合わせてよい
ここまで、ノマカプ、BL、GLと、同人誌におけるカップリングの種類を紹介しました。カップリングの組み合わせはもちろん自由です。組み合わせによって、作品の方向性を大きく左右します。
そんなカップリングですが、実は同人誌ではカップリングの特定の表現方法があるのです。これから同人誌を制作したいという方は、カップリングの表現方法を把握しておきましょう。
カップリングは〇〇×◇◇で表す
基本的にカップリングは、登場人物名の頭文字2文字をとって「○○×◇◇」のように表します。また、カップリングした登場人物の2人は「攻め」と「受け」に役割分担されます。そして、カップリングを表現するときの○○に攻めの登場人物を、◇◇に受けの登場人物を持ってくるのが一般的です。
そのほかのカップリング表現方法
同人誌におけるカップリングの表現方法は「×」だけではありません。攻めや受けといった役割分担のない、仲良しコンビのようなカップリングの場合は「○○&◇◇」や「○○+◇◇」のように表現します。
また、作品の中でどちらか一方が片思いをしている関係の場合は「○○→◇◇」、場面で攻めと受けの立場が逆転する場合は「○○×◇◇×○○」とするのです。このように、同人誌では記号を使ってカップリングの表現をするのです。
作家同士でカップリングの方向性が合わないこともある
カップリングは、同人誌を制作する作家がもっとも楽しいところでもあります。カップリングの組み合わせ、攻めや受けの役割分担は、作家のこだわりや嗜好が表れる部分だからです。
しかし、同じ同人誌の作家同士でカップリングの理解ができないことがあります。とくに同人誌の中でも、原作がある作品のパロディとして作品を描いた場合に多くあるのです。同人誌でのパロディ作品は、原作の登場人物で作家が好きなようにカップリングします。そのため、人によっては「あの登場人物をこのカップリングにするなんて」と、思う人がいるのです。
すると、作家同士のカップリングの方向性が合わず、揉めてしまうことも少なくありません。同人誌を楽しく制作するには、作家それぞれの趣味嗜好や考え方があり、自分が考えるカップリングだけが正しいわけではないということを理解することがポイントともいえるでしょう。
まとめ
同人誌におけるカップリングについて解説しました。カップリングは、男女、男性同士、女性同士と、大きく分けて3パターンです。しかし同じカップリングでも、攻めと受けの役割が違ったり、関係性が違ったりと、作品によって大きく異なります。そのため、同じ種類のカップリングでも、作家の方向性によってまったく違った同人誌作品が生まれるのです。これから同人誌で作品を制作したいという方、まずは自分がどんなカップリングで作品を作りたいのかじっくり考えてみてください。カップリングで、作家の色と物語の方向性が大きく動くでしょう。