同人誌を作るときに覚えておきたい!本の各パーツや部位の名称を紹介
同人誌を作ろうと決めたとき、初めて執筆する方はどのように本として仕上げるか、よく分からないと思います。同人誌はほとんどの場合、非公式で原作があるうえの創作物ですが、立派な本のひとつです。この記事では、執筆を決めた方に向けて同人誌を作るときに覚えておきたい、本の各パーツや部位の名称を詳しくご紹介します。
本の名称【初級】
同人誌の印刷を業者に頼む際、本の部位の基本的な名前が分からないと、やり取りがスムーズにいかないことがあります。ページ確認のときに必須となる用語はもちろん、同人誌という本を作るなら知っておきたい、パーツや部位の名称を紹介します。もちろん、本が好きで気になるという方もぜひ参考にしてください。では、初級編から見ていきましょう。
︎表紙
表紙は誰もが聞いたことがあり、すぐに思い浮かべられるものだと思います。表紙の役割のひとつは、本の中身を守ることです。書籍によって、表紙のタイプはさまざまですが、一般的に3つの表紙があります。
1つ目は、基本的にタイトルが記されている、読みはじめる側の表表紙。2つ目は、反対側の最後に閉じる裏表紙。
そして3つ目は、表表紙と裏表紙の間にある背表紙です。ちなみに背表紙は、本の厚みや閉じ方によって、ないものもあります。ここで少し、同人誌においての、基本的な表紙の使われ方を紹介します。
表紙はいうまでもなく、読者の興味を引き、本の最初の印象が付く、大事な部分です。商業用に限らず、同人誌も表紙はカラー印刷のものがたくさんあります。表紙は、本の包装紙といっても過言ではありません。
商業用の場合、表紙を替えることで、売り上げが伸びたという話もよくあります。表紙の重要性は、同人誌も同じです。しかし、同人誌の場合、購入してくれる読者はそもそもその同人作家や同人サークルのファンであり、絵柄や構成など、なにかしら好きである可能性が高いと考えられます。
その場合、下手に表紙に工夫を凝らし、いつもとは違う雰囲気にするより、自分のそのままの絵を出して、ファンの方に手に取ってもらう方が作家さんとしてもいいかもしれません。
また、同人誌に限らずのことですが、表紙の絵柄や雰囲気を中身に反映させることも大事です。まれに、表紙詐欺と話題になる作品もありますが、基本的には、表紙と中身に大きな相違を生まないことがマナーといえます。しかし、表紙も作者の個性なので、表や裏表紙で面白い仕掛けをするのも、おすすめ手法のひとつです。
︎カバー・ジャケット
本体を傷や汚れから守る、カバー・ジャケットもよく聞く言葉のひとつです。カバーの役割は主に、本体を守ることと、カバーデザインでの宣伝になります。
上記で紹介した表紙が本の一部であるのに対し、カバーまたはジャケットは、本の上から被せるものです。小説や漫画では一般的ですが、同人誌の場合、カバーがなく、表紙に凝ったデザインやイラストが描かれているものが主流といえます。
︎帯
本の表紙に巻きつけ、キャッチコピーや推薦文などで宣伝するものを、帯または袴、腰巻きといいます。帯で、有名人がおすすめしているのを見て、つい買ってしまったという方もいるのではないでしょうか。書籍を売るのにとても重要な帯ですが、同人誌では、カバーと同じく、付けられることは少ないです。
本の名称【中級】
ここからは、本好きなら分かるかもしれない本の名称、中級編を紹介します。普段、本を読むだけでは、なかなか聞きなれない言葉ですが、作る側となると、しっかり把握しておくべき名称です。
︎そで
そでとは、本のカバーや帯を内側に向けた際に、表紙の中側に面する部分のことです。一般的に、著者のプロフィールやこれまでの作品、キャンペーンの募集などが記されています。
同人誌では、カバーをあまり付けないことから、あまり馴染みのない部分ではあります。しかし、カバー有りとするなら、ぜひ有効的に使ってほしい部分です。
︎のど
のどとは、本を綴じる部分で、見開きの中央にあたります。どんな本にもある部分ですが、漫画や雑誌など絵がある本だと、見にくくなるため配慮が必要です。本を作る作家さんなら、知っておきたい言葉なので、ぜひ覚えておいてください。
︎天・地・小口
天はページ上部、地はページ下部、小口はページのサイド部分です。この3か所は日焼けしやすい部分でもあり、古本屋さんなどでは研磨するところもあります。ほとんどの本は、上下から見ても白いページですが、染料で染めたり金箔をつけたりする作家さんもいます。
また、3か所をあえて揃えない、アンカットという本もあります。日本では天部分のみ裁断しない、天アンカットがアンカットでは多いです。アンカットの本も、味があり好きな人がいるので、機会があれば挑戦してみてください。
本の名称【上級】
では最後に本の名称、上級編を紹介します。普段は使う場面もない言葉かもしれませんが、作家として知っておくと、役に立つことがあるかもしれません。
︎奥付
奥付とは、本の最後にある、作者名や出版社などが記載されているページのことです。一般的な小説や漫画の場合、出版社、編集者名や発行人名などが細かく記載されています。また、印刷回数などを見ることで、何回目に刷られた本なのかも確認可能です。
同人誌の場合はというと、作者名・サークル名、印刷所名や発行年月日など、同じように記載されているものもあります。しかし、同人誌によっては、作者名とあとがき程度のものもあるので、自分の好みでカスタマイズしてよいでしょう。
︎見返し
小説の単行本などでよく見る、最初のページのことで、なにも書かれていないのが一般的です。表紙の紙と本文をつなげる役割があり、文庫本や漫画にはないこともあります。ちなみに、表紙に貼り付いている方を効き紙、貼り付いていない方は遊び紙と呼びます。
また、本のはじめにある方が前ペラ、最後にある方が後ペラです。見返しはページ数には含まれず、紙質も本文とは違うものが使用されることが多いです。
役割としてはなくても問題ない部分ですが、本の装丁としてあると上品で丁寧な作りの印象を与えられます。同人誌でも取り入れられることは多いですが、作家さんが意識してというより、印刷所のデフォルトとしてセットになっているのが一般的です。不要な方は事前に伝えておきましょう。
︎平
タイトルが書かれている平らな部分のことを、平(ひら)と呼びます。平積みという言葉は聞いたことあるかもしれませんが、平が見えるように並べるという意味なのです。平積みされたときに目立つような、手に取ってもらえるようなデザインにすることも大切になります。
︎ノンブル
ノンブルは聞き慣れないかもしれませんが、本のページ数表記のことです。Nと呼ばれることもあります。小説の場合は、単行本・文庫本にかかわらず、各ページに表記されているものが多いですが、漫画ではないこともあります。
まとめ
この記事では、同人誌を作るときに覚えておきたい、本の各パーツや部位の名称をご紹介しました。基本的な用語は印刷所に依頼する場合など、やり取りで使うことがよくあるので頭に入れておくとよいでしょう。しかし、聞き慣れない言葉も多いと思うので、意味が分からないときは遠慮せず確認してください。でき上がってから、イメージと違う装丁だったと気付いても、修正が難しいです。悔いのない本にできるよう、今回ご紹介した言葉を参考に、ぜひ頑張ってください。