同人誌の印刷は複数の業者に依頼できる?
同人誌を制作できたというときに悩みになるのがどの業者に印刷してもらうかです。
業者によってクオリティーにも価格にも違いがあるはずだと考えると、多数の業者の中から最も良いところを選び出したいでしょう。
業者によって受けられるサービスにも違いがあるので、もしかすると複数の業者に任せたいということもあるかもしれません。
いくつの業者に依頼しても問題はなし
同人誌を印刷するときには基本的にはいくつの業者に依頼しても問題はありません。ルールとして別の業者に依頼してはならないと定められている可能性がないわけではありませんが、一般的な業者であれば独占権を主張されることがないのです。
小説や評論、随想や漫画などを制作して出版社と契約するといったケースでは印刷業者を指定されることがあります。このような場合にはその業者に独占権が与えられていることが多く、他の業者に依頼することはできません。しかし、自分で依頼して製本まで終わらせてしまい、完成物を販売するという形にすれば業者に独占権はありません。
販売方法についても自由があり、フリーマーケットやバザーなどのさまざまなイベントに参加して自分で販売することもできます。インターネットオークションやフリマアプリなどに出品して買い手を探すという選択肢もあるでしょう。
原稿のデータを変換してもらったり、用紙の調達や製本の作業をしてもらったりして、ほとんどの作業を業者に任せてしまったとしてもあくまで著作権は内容を作り上げた人たちにあります。そのため、ある業者に100部ほど作ってもらい、別の業者に500部の製本を依頼したとしても問題はないのです。
例外的に他の業者には依頼しないで欲しいと言われるケースとして挙げられるのが、内容に関して業者が手を加えた場合です。このページのレイアウトはこのほうが良い、見栄えを良くするにはこんなデザインをしたほうが良いといった形で業者から提案を受けることがあります。その提案を受けて手直しをしたうえで依頼したというときにはうちだけで独占させて欲しいと言われることもあるでしょう。このようなときには業者の提案した内容を盛り込んでいるので正当な主張だと考えることができるかもしれません。
ただ、その提案が全体の中でどれほど大きな影響を持っていたかによって状況は異なります。軽微な提案なら著作権を主張することは難しく、あくまで独占させて欲しいという交渉をされているだけです。今後の付き合いも考えて判断したほうが良いのは確かですが、他の業者に任せたいと思ったら断ってしまっても大丈夫な場合がほとんどでしょう。
複数の業者に依頼するメリットとは
複数の業者に依頼するメリットはやり方によってかなり違いがあります。本当に大量に製本してもらうのは一つに絞り込むけれど、より良い仕上がりになる業者を選びたいからいくつもの業者に依頼するというのがパターンの一つです。複数の業者に作ってもらって出来栄えを見てみると、鮮明さや色合いの違いがあるのに気づくことになります。
パソコンの画面で見ていたのとは違う仕上がりになっていて、これでは到底販売できないと思うこともあるでしょう。逆に紙媒体になったらもっと美しく仕上がったというケースもあります。業者によって仕上がりには大小の差があるので、比較検討してより良いところに依頼できるのがメリットになるのです。
一方、本格的に製本してもらうのも複数の業者というケースもあります。この場合には組み合わせ方次第でメリットが異なるので慎重に選ぶ必要があるでしょう。例えば、業者ごとの強みで仕上がりを変えられるのがメリットになります。ある業者では色に強みを持っていて、仕上がった作品の見た目の美しさでは最も良いと言えることがあります。それに対して別の業者では髪質にこだわりがあって、手に取った人にしっかりとした品質の同人誌だと感じてもらえる仕上がりになることもあるのです。このような違いを認識したうえで作品を販売すれば、買い手に応じて使い分けてより良い印象を与えることができるでしょう。
また、価格と品質のバランスを考えて二つの業者に依頼することも可能です。品質は今一つでも安い業者と、品質が高いけれど量産するには高い業者の両方に適切な数だけ依頼すれば上手に使い分けることができます。宣伝も兼ねて量販したいときには安いのを使い、コンテストなどに出すときには高いのを使えば良いのです。
もう一つのメリットとして納期や単価に関する問題を解決できることが挙げられます。最初に出版するときにも増刷するときにも、業者が混み合っていると納期がかなり長くなってしまうことは否めません。特に増刷のときには待っている人がいる場合もあり、一刻も早く増刷版を手に入れたいかもしれません。そのようなときに別の業者に依頼するとすぐに納品してもらえることも多いのです。
また、増刷するときに別の業者に依頼したほうが単価が下がることもあります。冊数が違うと単価も変わるのが一般的で、小ロットに強い業者もあれば大ロットなら大幅に安くできる業者もあるでしょう。思った以上に売れたから大量に増刷したい、もう売れないだろうけど需要があるから少しだけ増刷しようというときには別の業者を選んだほうがコストパフォーマンスが上がると期待できます。
マナーを守りつつ交渉をしておこう
ある業者に初版を印刷してもらって、二版からは別の業者に依頼するという場合にはマナーを守ることも忘れないようにしましょう。増刷をする前に他の業者に依頼すると伝えておくのがマナーです。他の業者のほうが安いから、早いからなどといった理由も添えておくのも忘れてはなりません。
これはただ業者から不信感を抱かれずに済む方法なだけでなく、うまくいくとさらにコストパフォーマンスを上げられる可能性があるのが魅力です。他の業者に依頼されてしまうくらいなら安く請け負うと言ってくれたり、他の仕事もあるけれど先に作ると決めてくれたりする場合があります。
他で作ったほうが安いなどといった理由があると交渉しやすいので見積もりを取ったら依頼を決定する前に交渉を試みてみましょう。たとえ交渉が決裂したとしても特に損をすることはありません。むしろ依頼する前に確認を取ってくれたことを感謝してもらえることすらあります。
複数の業者を使い分けるというときにも同様で、依頼する前に他の業者とも相談していることを伝えておくのが賢明です。複数の業者とやり取りをするのに比べると、一社に限定してしまったほうが簡単なのは確かでしょう。もしこのような交渉によって一社に絞り込むことができるならそれも良い方策なので、最終決定をする前に十分に各社と相談してみるのが重要です。
同人誌の印刷をしたいときには複数の業者に依頼しても問題はありません。価格や品質などに違いがあるのは確かなので、比較する目的で依頼するのも、コストパフォーマンスの違いに応じて使い分けをするのも自由です。増刷のときに他の業者に依頼するのも賢い方法で、初版と印刷部数が異なるときには高いコストパフォーマンスになる可能性があります。
ただし、他の業者に依頼するときには、前に依頼した業者に断りを入れておくのがマナーです。それが結果として交渉になり、今までよりも安く短期間で納品してくれることもあるのであらかじめ相談しておくようにしましょう。