マット紙はどんな紙?マットコート紙とは違うの?同人誌に使うなら?
マット紙は、高品質で汎用性の高い紙です。多くの紙の種類がある中で、マット紙はどのようなものなのでしょうか。ここでは同人誌を作成する際に知っていると役立つ、マット紙とはどのようなものか、上質紙やコート紙などとの違いについて、マット紙が同人誌の表紙におすすめなのはなぜかを解説します。
マット紙とは
マット紙は、上質紙に薬剤を塗り、ローラーで圧力をかけて作ります。上質紙とは、化学パルプを100%使用した紙のことで、紙の等級では最上位の等級になります。印刷用紙のほか、コート紙、アート紙などの素材になる優良な紙です。
マット紙は、表面には光沢がなく、さらさらとした触り心地です。光沢がないことから、落ち着いた印象を相手に与え、独特の質感が高級感を演出します。それゆえ、マット紙はあらゆる業界、あらゆるシーンで大活躍する素材です。
「高級料亭のお品書きを書くうえで、料理の質に見合った高級感のある紙を使いたい」「茶道家元のご案内がしたいが、趣のある落ち着いた紙を使用したい」「会社の案内をするパンフレットを作りたいが、浮いた雰囲気は嫌だ。
厳格な雰囲気が出る素材はないか」「名刺を作成するにあたり、ほかの方とは一味違う存在感を示す事のできるものを使用したい」「冊子を作成するにあたり、インパクトも大事だが、落ち着いた雰囲気が伝わりやすい表紙にしたい」といったビジネスから個人利用まで高度な要求に見事に応えることができるのがマット紙の優秀なところです。
また、表面に光沢があると、物や人物などの対象がはっきり表現でき、色彩も豊かですが、目が疲れてしまいます。とくに文字が小さかったりすると目がチカチカして見づらいことがあります。光沢のあるコート紙と違い、文字をしっかりと浮き上がらせて見せることができるマット紙は、多くの小さな文字をきれいかつ自然に見せる効果があるのです。
それゆえ、文字のみの情報で自分をアピールする名刺や必要充分な文字や図の情報で最高の印象を与える必要がある会社案内などに使用することで、普通の紙とは違う印象を与えることができるのです。
限られた紙面と時間で相手に効果的で充分な情報を提供し、自身の商品やサービスを利用してもらうことで利益を生み出さなければならないため、ビジネスの場面では、このようなことは非常に重要です。マット紙は、限られたチャンスをものにすることを求められる方にとって心強いツールなのです。
また、マット紙はさまざまな厚みがあるので、それぞれに応じたものに使用できます。薄いものは折込ちらし、パンフレット、ポスター、会社案内、冊子の本体、カタログ、カレンダーなど、厚いものは名刺、病院の診察券、葉書、ショップカード、冊子の表紙などに使い分けることで利用されています。この汎用性の高さもマット紙の魅力の一つといえるでしょう。
このようなマット紙にもデメリットがあります。それは、マット紙の表面に薬剤を添付しているという構造に起因するものです。表面がコートされているということは、インクが染み込みづらいことになります。つまり、滲みや擦れが発生する可能性があるので扱いには注意を必要とし、乾きづらいことから乾燥時間を長く設ける必要があります。
また、プリンターが印刷する際に発する熱で表面のコート部分に泡が立ったような跡ができてしまうことがあります。こうなってしまっては、せっかく高品質な紙を使用しても意味がなくなってしまいます。それゆえ、作成の際は、家庭用プリンターなどの印刷機器を利用するよりも、技術、経験、設備に勝る印刷会社に依頼するのがおすすめです。
さらに、マット紙は上質紙と比べて価格が高いです。冊子に使用する場合、すべての紙面をマット紙にするのは理想的な選択ですが、コストの面から現実的ではない可能性があります。
表紙や商品、サービスの説明部分などをマット紙にし、それ以外を上質紙にするなどの工夫をすることで差が生まれ、メリハリのある紙面になることでしょう。そうすることで、よりマット紙の部分が際立ち、コストメリットに見合った働きをしてくれるはずです。
上質紙やコート紙などとの違いとは
紙には等級があります。等級は、化学パルプの配合率によって区分けされ、40%未満のものを更紙、40%以上のものを上更紙、70%以上のものを中質紙、100%のものを上質紙と言います。更紙はもっとも等級が低く「新聞紙」「引越しや梱包の際に使用する緩衝材」「学校や官公庁などの内部配布用のプリントなどに使用されるいわゆる藁半紙」などに活用されています。
上更紙は、更紙のような荒さが少し薄れ、滑らかさが増しています。比較的品質を要求されない漫画や雑誌などの本文部分などに利用されます。中質紙は、下級紙と比べるとだいぶ白さが目立ってきます。コストと品質のバランスがよく、カタログ、チラシ、書籍、簡単なペーパークラフトなどに利用されます。
上質紙は、化学パルプを100%使用しているので、ほぼ真っ白です。コピー用紙、パンフレット、カタログ、チラシ、書籍、販売促進のためのダイレクトメールにも活用されますが、コート紙やマット紙と比較して発色や文字などの明瞭性は劣りますので、使い分けが必要になります。また、上質紙はさまざまな表面加工を施した紙の元になるものです。
つまり、上質紙やコート紙の違いは、表面加工のコートをしているか否かというものになり「ミラーコート紙」「アート紙」などコートの種類によってさまざまな効果が得ることができます。
これらのコート紙は光沢があり、発色が豊かであるという共通の特徴を持ちますが、その強度や品質に差があります。アート紙より、ミラーコート紙の方がより光沢が強く、発色も鮮やかになりますが、当然価格も高くなります。
それぞれの特性、品質は、印刷会社が用意しているサンプルを確認するか、自身で試しに印刷して見比べてみることでわかるでしょう。ぜひともその違いを自身の目で確認してみてください。そうすることで、コストメリットも併せた最適な使用方法が選択できるようになるでしょう。
マット紙は同人誌の表紙におすすめ
先述の通り、マット紙は光沢のないサラサラした触り心地でさまざまなものに利用されています。
コート紙が光沢やツルツルした表面、鮮やかな色彩でインパクトを与えることができるのに対し、マット紙は光沢のない落ち着いた印象で文字や対象を際立たせます。同人誌に限らず、表紙は内容を見る前に必ず目にするもので、この部分が印象に残らなければ手に取ってもらうことすらできません。
書物の内容によって表紙の印象も千差万別であるのはいうまでもなく、マット紙とコート紙は使い分けることでその効果を最大に活かすことができるでしょう。大雑把にいえば、落ち着いた印象を与え、表題の文字など重視したい場合はマット紙、派手なインパクトを与え、書かれている物や人の色彩を重視したいならコート紙を選択するという具合です。
上記のことから表紙ついては、多少コストがかかっても内容に応じた最適な紙を使用して、人目を引くように工夫することをおすすめします。
まとめ
マット紙とはどのようなものか、上質紙やコート紙などとの違いについて、マット紙が同人誌の表紙におすすめの理由について解説しました。
マット紙はさまざまなものに利用され、多くのシーンで活躍していることがわかりましたね。メリット、デメリットを理解した上で使い分けることが有効です。上記を参考にマット紙をよりよい作品を作成するツールとして利用してみてください。