合同誌の同人誌の印刷を依頼するときの流れと注意点
イベントなどでは、複数のサークルが合同で記念に合同誌と呼ばれる同人誌を作成することがあります。一般的にアンソロジーと呼ばれているような本に近く、1冊の中に複数の人が書いた漫画や小説がいくつも収録されることになります。1人では作成できないような厚みのある同人誌で作成は楽しいものですが、印刷する際には注意点もあります。
もくじ
印刷所に依頼するときは原稿をまとめてください
合同誌を作成するときは、原稿を用意する人数に関係なく最終的には一つにまとめなくてはいけません。印刷所に入稿する際には、個人で原稿を上げるときと同じ状態のものにする必要があります。ここで気をつけたいのが、それぞれ同じサイズの原稿にすることです。
中には、プロが使う用紙を好む人もいれば同人誌作成向けの用紙を使っている人もいます。どちらもケント紙と呼ばれる白い紙ですが、大きさが違うので注意が必要です。印刷所には、必ず全ページ同じサイズの原稿にしたものを渡すことになります。そのため、合同誌を作成するときはそれぞれの作者に原稿用紙の大きさを伝える必要があります。
デジタルで入稿したいときは、アナログではなくデジタルで情報をもらうとまとめる作業もしやすいです。もし、アナログで作成する場合は最初に原稿用紙の大きさやメーカーを指定しておくと安心です。
最終的にでき上がる同人誌の大きさについても伝えておくと、各作者がイラストやコマ割りを考える際の参考になります。依頼する際には、最終的に代表者がまとめるということを念頭においてください。
全体のページ番号に注意してください
印刷所に同人誌の作成を依頼する場合、各ページに必ず通し番号を入れるように注意されます。これは、製本する際にミスが起こらないようにするためです。当然、合同誌でも同じように番号を書いていく必要があります。ただ、ここで必要なのは一人一人のページ数が決まらないと各ページの番号も決まらないという点です。基本的には、最初に各作者に依頼する原稿の枚数を決めて伝えておくことが大切です。
受け取った原稿を整理して、空いた部分に代表者がページの番号を入れていきます。各作者には、数字を入れるスペースをあけておいてもらえるように連絡しておきましょう。途中でメンバーを変えたりすると、番号の打ち直しになりミスの元になるので注意してください。もらったデータの管理をずさんにすると、ページがバラバラになることもあるので注意が必要です。
とくに自分が描いた原稿でないと、順番がわからなくなることがあります。可能であれば、最後に各作者に順番に間違いがないか確認してもらうと安心です。最初にすべて決めている場合は、数字は各メンバーにそれぞれ入れてもらうという手もあります。
余裕のあるスケジュールを伝えましょう
イベントで合同誌を発売したいという目的がある場合、納期が間に合うように注意しなくてはいけません。たとえば、納期が1週間の場合はさらに2日以上は余裕を持って入稿すると安心です。
締め切り間際だと、間に合わなくなってしまうこともあります。余裕を保つためには、各作者から原稿をさらに早い段階でもらっておく必要があります。受け取った後に、ページ番号を入れて全体をチェックする必要があるからです。
中には締め切り直前や過ぎてから渡してくる人もいないとはいい切れないので、内部の締め切りはかなり余裕を持って伝えるようにしてください。原稿を依頼する時点で、いつまでに仕上げて欲しいとあらかじめ伝えておきます。もし、難しそうな場合はページ数を減らすなど対処しておく必要があります。
スケジュールを伝えたら、あとは締め切り前に全体への連絡を忘れないようにしてください。定期的に進行状況を聞いておくと、お互いに安心です。直前になって、間に合わないということが起こらないようにスケジュールを立てることが重要です。
表紙は早めに依頼することが大切です
合同誌の場合、表紙は代表の誰かが担当することになります。中には、何人かに描いてもらったキャラクターを1枚のイラストに合成するというデザインもあります。代表の誰かに依頼する際は、余裕を持ったスケジュールで頼むことが必要です。
何人かにキャラクターを描いてもらう場合は、さらに早い締め切りを設定します。できれば、デジタルで作成し色調整を各自にしてもらうとまとめる際もきれいになります。
個人で同人誌を作成するときは、表と裏の表紙を続けて描くデザインにする人が少なくありません。その場合、背表紙の部分にもイラストの一部が印刷される形になります。人気のある手法ですが、実は合同誌の場合は採用する人が少ないです。というのも、合同誌では予定するページ数が途中で変わる可能性があるからです。
メンバーが抜けたり、追加されたり代表者の力ではどうにもならないことも起こりえます。ページ数が変わると、自動的に背表紙の幅も変わってきてしまいます。表と裏をつなげたイラストにしてしまうと、全体を修正しなくてはいけません。分けておけば、背表紙だけ作り直せばよいので安心です。ですから、依頼するときは表と裏を別々に作成してもらうように伝えます。
同人誌の仕様を決めていきましょう
同人誌を作成する場合、表紙の加工はもちろんですが本文の紙やインクの色なども決める必要があります。中には、ピンクやブルーの紙や赤や青のインクを使った個性的な同人誌を好む人もいます。ただ、合同誌の場合は個性的な仕様にしたい場合は事前にメンバーにきちんと伝えることが大切です。
その人の好みやイラストの雰囲気によっては、カラフルな紙やインクが合わないこともあります。もし、特殊な仕様にしたいのなら事前に伝えておくことが大切です。
事前に決める理由は、メンバーの好みや意見に合わせるためだけではありません。同人誌を印刷するのにかかってくる費用が、仕様によってかなり変わるからです。個人のサークルで刷るよりも、合同で刷る方が一般的に部数は多くなります。そのため、かかってくる印刷費用も高額になるので注意が必要です。
基本的に代表となる人が印刷代を出すことが多いので、代表者は自分で用意できる金額を把握しておくことも大切です。複数人で印刷代を出す場合は、イベントの後に売り上げからその分の代金を渡す必要があります。
納品先やイベントを決めておきましょう
イベントに合わせて合同誌を出す場合は、印刷会社から直接イベント会場に納品してもらうようにすると後の作業が楽になります。もし、通販も予定しているなら通販サービス会社や自宅にも分納するように依頼しておきます。合同誌の場合は、個人で出す同人誌よりも部数が多くなり場所も取るので注意が必要です。メンバーでよく話し合って、誰が在庫を保管するかなど事前に決めておくことが大切です。
各サークルで販売してもらう場合は、何冊ずつ分けるのかも相談してください。イベント会場にすべて納品してから仕分けるとなると、当日会場で他への迷惑となります。必ず、事前にすべて決めておくようにすることが大切です。イベントですべて売り切りたいと考えているのなら、作る部数もある程度抑えるようにしてください。
ただ、部数などは作者全員と話し合わなくてはいけないというわけではありません。ページ数を多く担当した人や費用を負担した人、まとめ役になった人など中心人物で決めれば大丈夫です。印刷所に依頼する際は、その中から1人代表を選んで対応するようにしてください。複数人で対応すると、印刷所とのやりとりに混乱が生じます。
合同誌は読む方だけでなく作るのも楽しいため、いろいろなイベントで見かけます。ただ、作成する場合は作者が多いほど作業が大変になるので注意が必要です。原稿作成から印刷所より納品されるまで、スケジュールをしっかり組んで取り組む必要があります。とはいえ、個人で作成するときでは味わえない楽しさが合同誌にはあります。