小説本の同人誌の印刷依頼をするときの注意点
小説本や漫画などの同人誌を印刷しようと思ったとき、もちろん自宅で印刷するのも一つの方法ですが、業者に依頼した方が仕上がりよく、安価でできる可能性があります。初めて依頼するときにどうしたらよいかわからないという方のために、入稿前に確認しておいてほしい注意点をいくつか紹介していきます。
もくじ
業者探しの前に製本方法を考える
印刷した方が安いかもしれないということなら、小説本の同人誌の印刷を依頼しようと思われた方も多いかもしれませんが、実は一言で印刷といっても製本方法にはいくつか種類があります。
まずコミックや文庫本などでよく使われている背表紙がのりでとじられている方法は、無線綴じといわれます。厚みのある本を作りたいときやしっかりとした背表紙をつけたいという方におすすめです。
次に週刊詩やパンフレットで使われている中綴じという方法です。背の部分をホッチキスのような針金でとじる方法で、比較的薄めのものを製本するのに適しています。絵本や辞典など、厚めの表紙で覆われているものは、糸かがり綴じと呼ばれています。表紙や裏表紙がしっかりとしているので耐久性に優れており、高級感のある仕上がりとなります。
それぞれの製本方法に特徴があり、メリットやデメリットはもちろん値段もさまざまなので、自分の希望に合わせたものをまず選ぶことで、業者探しやデータ作成がスムーズにできるようになります。最初にどんな本にするか考えて、製本方法から考えるようにすることをおすすめします。
ポイントをおさえて業者を選ぶのも大切
同人誌の印刷を行ってくれる業者をネット検索すると、たくさんの業者がヒットするのではないでしょうか。今ではインターネットで気軽に依頼できるところがたくさんあるので、製本方法を選んで絞ったとしても、いくつかまだ候補の業者が出てくるため決めきれないという方も多いと思います。
そんな方に選び方のポイントの一つにしてほしいのが印刷数と値段です。1冊だけでよいのか、数万冊ほしいのかなど、冊数によって変わります。1冊からでも依頼できる業者ももちろんありますし、たくさん頼めば1冊当たりの値段が大幅に安くなるという業者もあります。
仕上がりがきれいであるかということはもちろんのこと、自分の希望する量だけを印刷してもらえるのか、値段は安いのかなども業者を選ぶのに大切なポイントとなります。たくさん候補があってその中から選べないという方は、数量と値段を軸にしてさらに絞ってみると、より選びやすくなるかもしれません。ポイントをおさえてより自分の要望に合った業者を選べるようにしていきましょう。
中綴じの倍合計のページ数は基本的に4の倍数にする
家で印刷をしたい場合はあまり気にしたことがないかもしれませんが、中綴じの場合ほとんどの業者が表2面裏2面の合計4ページで1枚という換算方法をします。中には偶数にしておけばよいと思っている方も多いかもしれませんが、実は4の倍数でないと入稿ができないということもあるので、その点にはまず注意が必要です。
4の倍数になっていないというときは、ページを増やしたり減らしたりして入稿することでトラブルなく作業を進めることができるでしょう。どうしてもページ数が4の倍数にならないという方は、製本の方法を見直してみるというのも一つの方法かもしれません。
中綴じではなく、無線綴じで作成をするという場合は、糊でくっつけることで制本をするので制約はとくにありません。さらに業者によっては、中綴じであっても見開きで入稿をするのか、各ページで入稿をするのかなど方法が異なる場合があります。データを作成するまえに入稿方法まで詳しく確認しておくと、データが完成したのにまた修正しなくてはならないという事態を避けることができます。
モノクロにするのかカラーにするのかを決める
業者や製本の種類を決めてデータを作成したら、いよいよ業者に入稿することになります。そのときにもう一つポイントとなるのが、モノクロにするのかカラーにするのかという点です。小説の同人誌ならモノクロでもよいという方も多いと思いますし、中には巻頭カラーで絵をかきたいという方も多いと思います。
もちろんモノクロの方が費用は抑えられますし、逆にカラーにすれば満足のいく作品に印刷ができるので、その点も自分の要望に合わせて選ぶのがおすすめです。でも実はカラーといっても、大きく分けて2種類があります。
まずオフセット印刷で使われるCMYKといわれる基本の4色で構成されるカラーです。もう一つがRGBとよばれる、赤と緑と青の光の三原色を使って作るカラーです。どちらも見た目にはほとんど変わりありませんが、RGBには黒が含まれていないため、黒がきれいに再現できません。基本的に入稿するときはCMYKに変換しての入稿となる場合が多いので、RGBでデータを作成している場合には注意が必要です。
サイズと余白のチェックも忘れずに
入稿前の最終段階で確認してほしいのが、データのサイズと余白です。まずデータのサイズですが、印刷はA4でしてもらいたいのに、入稿のサイズが違っていたということになれば、差し戻しとなってしまいます。キレイにデータを修正したのに最後の最後でまた1からやり直すことになったということがないよう、サイズの確認は最終段階でもう一度しっかりと行うことをおすすめします。また余白の確認も同様に大切なポイントとなります。
入稿データには塗り足しというものが必要で、その部分がないと切れてはいけないところで裁断されてしまう可能性があります。裁断というものはぴったりとその位置にいかないことも多いので、指定された余白を確保しておくことで、間違いなく思い通りの仕上がりにすることが可能です。
業者や製本方法によって、塗り足しのサイズも変わってきます。データ作成のときにはもちろん注意しながら、その他にもここまでたくさん確認したので大丈夫と思い込むことなく、入稿前にはもう一度くまなく確認をするようにしましょう。
搬入までのスケジュールをしっかりと確認する
しっかりとしたデータで入稿をしたとしても、そもそも納期に間に合わなかったら元も子もありません。印刷を依頼しようと決めた後は、入稿してから実際にそれが手元に届くまでどのくらいの時間がかかるのかというのを確認して作業に入るようにしましょう。最初に確認しておくことで、間に合うかということだけでなく、いつまでに何を終わらせたらよいのかというスケジュールも立てやすくなります。
同人誌の即売会までは何かとやることが多く、印刷だけの時間をかけられないという方も多いと思います。限られた時間の中でどれだけ避けるのかというのを見極めるためにも、納品までのスケジュールを把握しておくことはとても大切となります。スケジュールを確認して実際に入稿するときは、搬入場所にも注意が必要です。
会場に直接搬入するのか、自宅と分けて配送するのかなど選べる業者もあるので、よりスムーズな手続きができるほうを選べるようにしましょう。もちろんこのときに住所などの基本情報に間違いがないかを確認するというのも、大切なポイントとなります。
一言で業者に小説本の同人誌の印刷を依頼するといっても、さまざまな注意点があります。丁寧にしっかりとおさえることでより安く、そして自分の要望に合わせた小説本ができ上がるようになるので、初めて利用するという方はとくに注意点をよく確認しておきましょう。それでもよくわからないという方は、選んだ業者の方に質問してみることをおすすめします。