同人誌をボールペンで書いたときの印刷への影響について
職場や学校でよく使っているボールペンですが、実は漫画の原稿を描く際にはかなり注意が必要です。ペンの中には、一見黒く見えても色が若干薄かったり細すぎたりするものが少なくありません。そうしたものを使うと、印刷した際にきちんと線が再現されず綺麗なイラストに仕上がらないので注意しましょう。
もくじ
専用の用紙と黒のペンを用意しましょう
好きな漫画や映画の二次創作として、ネット上に作品を上げている人はたくさんいます。さらに、作品を自費で書籍化して即売会と呼ばれるイベント等で販売する人たちもいます。自費で書籍化した本は一般的に同人誌と呼ばれており、その表現方法は小説や漫画などさまざまです。いろいろある同人誌の表現方法で、とくに多いといっていいのが漫画でしょう。
漫画を描く際には、まずはデジタルとアナログのどちらかの方法を選びます。プロやアマチュアを問わず、下描きからすべてパソコンを使ったデジタルで作成する人も珍しくありません。デジタルの場合は、専用のソフトやタブレットが必要になります。
一方、アナログの場合はパソコンを持っていなくても描くことはできます。ただし、アマチュアとはいえきちんとした原稿用紙とペンを用意しないと綺麗な作品はできません。
まずは、漫画を描くための専用の用紙を用意するようにしてください。用紙は、ケント紙と呼ばれているものか、漫画用の原稿用紙として販売されているものを使います。ペンは基本的に、墨もしくは黒を選ぶようにしてください。下描きは鉛筆やシャープペンなど、消しゴムで消せるものを選びます。黒以外だと、印刷をした時に線が消えてしまうことがよくあるので注意が必要です。
濃い黒いインクで書く理由があります
同人誌を印刷所に依頼して作成する場合、黒いインクで原稿を作成することが求められます。というのも、印刷所ではまず原稿をもとに版を作成していきます。その際に、黒がはっきりしていないと原稿通りに版が作れなくなってしまうので注意が必要なのです。グレーなど薄い色で描いたものは、印刷されないか途中で途切れたような線になることもあります。
これは、オンデマンド方式でも同じ現象が起きるので注意が必要です。たとえば、薄い鉛筆で描いた原稿をコンビニのコピー機で複製した場合を想定してください。出力の濃度を濃くしないと、鉛筆の線が消えてしまうことがあります。一般的なペンでも、少しでも薄いと同じ現象が起こるので注意してください。
漫画の原稿は、まずは真っ黒なインクを使って描くようにします。ベタ塗り塗りにする部分も同様で、薄墨などは絶対に使わないようにしましょう。理想的なのは漫画用のインクや墨汁を使うことです。プロの漫画家もこうしたインクを使う人が多く、中には製図用のペンを何種類か用意して使っている人たちもいます。
ボールペンは漫画には向きません
ペンと聞くと、細い線を綺麗に書けるボールペンを思い浮かべる人もいるでしょう。最近では、学校や職場で正式な書類を書く場合やサインをする時にもボールペンが用いられています。公式な書類でも使用が認められているボールペンですが、実は漫画の原稿を作成するのには不向きなので注意してください。
ボールペンが漫画の原稿作成に向かない理由の一つ目は、インクの色が若干薄いというところにあります。一見黒く見えても、よく見ると墨汁や漫画用のインクに比べると若干薄いことがほとんどです。とくに細い線は、印刷の際に消えてしまうことがあるので注意が必要です。
プロの漫画家や同人誌作成で慣れている人たちは、細いものを描く際にはマルペンか製図用のペンを用います。マルペンは、別売のインクをペン先につけて使用します。力の加減によって、線の太さを自由自在に変えることができるのが利点です。製図用のペンは、黒いだけでなく線の太さが選べるというメリットがあります。
ボールペンが不向きな理由のもう一つは、線が細すぎてしまう点です。細くてインクが薄いと、印刷した時にほとんど消えてしまいます。
どうしてもボールペンが使いたいとき
同人誌で漫画を作成するなら、上手に描きたいと思う人は少なくありません。しかし、実際にペンを使って描いてみると鉛筆やシャープペンで描いていたときより下手になってしまうという人はたくさんいます。とくに、プロも使っているGペンやカブラペンを使うと線の太さがまばらになり下手に見えてしまうことがあります。
というのも、Gペンやカブラペンは力のかけ方によって線の太さを自由に調整して使うペンだからです。慣れていると、芸術的な作品をどんどん生み出すことができるでしょう。これに近いのは万年筆ですが、普段からこのようなタイプを使っていない人にとっては扱いづらいペンには変わりません。そのような理由から、普段から使っているボールペンで描きたいと考える人はたくさんいます。
もし、どうしても使いたい時には、なるべく太い線が描けるものを選んでください。メーカーによって太さはさまざまなので、最初に何種類か試してみることをおすすめします。油性や水性など、同じ描くものでもだいぶ描き味も変わってきます。インクの濃さも異なるので、太くて濃い黒が描けるものを探すことが大切です。
ボールペンで描いた原稿の処理方法
すでにボールペンで原稿を描いてしまった場合は、印刷所に依頼する前にあることをすると問題を解決できることがあります。そのあることとは、スキャナーでパソコンに取り込んで画質を修正する事です。アナログで原稿を作成しても、最後のセリフやトーンを貼るためにパソコンに取り込む人は少なくありません。
スキャナーで取り込んだ漫画は、まずコントラストや色の調整を行います。調整を行って、完全な白と黒のみの原稿にすることが大切です。ボールペンや鉛筆で描いた薄い線も、パソコン上で調整すれば真っ黒な線に変換できます。
ただし、調整を間違えると白い何も描いていない部分がグレーになってしまうので注意してください。スキャナーで取り込めば問題は解決しますが、慣れていないと処理には時間がかかってしまいます。可能なら、取り込む前に黒インクで修正を加えることをおすすめします。取り込みして編集した原稿は、デジタルデータとして入稿することが可能です。
また、プリントアウトしてアナログ原稿にする際は、モノクロでケント紙に印刷することをおすすめします。一般的な印刷用紙だと、印刷所に送るには薄すぎることがあります。
カラー原稿でもボールペン以外を使います
同人誌の表紙を、フルカラーや2色や3色のインクを使ったデザインにする人は珍しくありません。フルカラーの場合は、専用のインクペンやパソコン上で色を付けていきます。カラーボールペンだと、色にムラが出てしまうことがあるので注意が必要です。フルカラーの場合、写真と同じように描いた原稿が再現される率は比較的高くなります。
一方、意外と難しい作業になるのが2色や3色のインクを使ったデザインです。この場合は、最初にカラーでイラストを描くのではなく、黒で原稿を描くことになります。版画と同じ原理で、色別に原稿を作成するので、イラスト同士を合わせるのにテクニックが必要です。
ここで作成する原稿は、本文の漫画と同じ方法で描いてください。もちろん、印刷の際に黒以外を使う場合も同じようにします。最終的に使うインクの色に関係なく、専用の真っ黒な墨や墨汁を使って描くことが、綺麗な同人誌を作成するコツです。表紙はとくに、最初に目につくところなので、なるべく濃い真っ黒なインクを使って描くことをおすすめします。
ボールペンで描いた線は、印刷すると綺麗に再現されないという問題があります。これは使われているインクが若干薄かったり、線が細すぎたりするからです。そのため可能であれば、専用のインクや製図用のペンを使って描くことをおすすめします。もし、作成した原稿の黒が薄いときには、スキャナーでパソコンに取り込んで色調整する必要があります。