単色刷りや多色刷りの同人誌は売れにくい?理由を解説!
同人誌を作る際「お金がないから印刷費の安い単色刷りにしよう」「個性を出すために多色刷りにしよう」と考えている人もいるかもしれません。しかし、同人誌の売れ行きを左右する表紙はフルカラー印刷にすることをおすすめします。今回は表紙の重要性やフルカラー以外の表紙が売れにくい理由について解説するので、ぜひ参考にしてください。
同人誌の表紙はフルカラーがおすすめ
同人誌を作成する際、とくにはじめての一冊なら表紙はフルカラー印刷がおすすめです。今回はその理由について詳しく解説しますが、まずは表紙のもつ役割やカラー印刷の種類について把握しておきましょう。
フルカラーとは
フルカラー印刷とは、CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)の4色のインクを掛け合わせた一般的なカラー印刷です。イラストや写真もきれいに表現できる印刷方法で、一般的にカラー印刷といわれるものは通常この4色印刷のことを指しています。
CMYKのなかの1色のみを用いた印刷を単色刷り、CMYKのうち2色以上用いたものを多色刷りといいます。本の表紙にはPP加工と呼ばれるラミネート加工が施されている場合が多く、PP加工をすると表紙の表面を保護し、見栄えをよくできます。
とくにはじめての同人誌はフルカラーがおすすめ
表紙は同人誌の売れ行きを左右する重要な役割を担っています。だからこそフルカラー印刷とPP加工をおすすめします。
詳しくはのちほど説明しますが、イベントや書店でほかの同人誌と並んだ際に、単色刷りや多色刷りの表紙では見劣りしてしまい、手に取ってもらえない可能性が高くなります。
せっかく作った同人誌が表紙で判断されて手にも取ってもらえなかったら、評価してもらえる土俵にすら上がれないことになります。一生懸命努力して作った同人誌が評価してもらえないのは、やはり悲しいものです。
とくに初めての作品なら、今後活動を続けていくモチベーションにも大きく関わってくるでしょう。できるだけ自分の作品を認知してもらうためにも、まずは手に取ってもらいやすいように表紙から整えていく必要があるのです。
フルカラー以外の同人誌が売れない理由
フルカラーの表紙をおすすめするのは、フルカラー以外の単色刷りや多色刷りでは売れない可能性が高いからです。ここでは、フルカラー以外の同人誌が売れにくい3つの理由について解説します。
フルカラーの表紙が並ぶ中で見劣りしてしまう
イベントや書店で並ぶ同人誌の表紙は、ほとんどがフルカラーです。こうした状況のなかでは、単色刷りや多色刷りの表紙はどうしても見劣りしてしまい、手にとってもらえる可能性が限りなく低くなります。
たとえるなら、婚活パーティーで華やかに着飾りきれいにメイクをした女性たちのなかで、地味な服にすっぴんの女性が選ばれる可能性が低いのと同じです。「人は見た目が9割」とはよく言ったものですが、第一印象が重要なのは本の場合でも同様なのです。
高いデザイン力がない限り安っぽくなってしまう
フルカラー印刷と比較すると、単色刷りや多色刷りの表紙には高いデザイン力が求められます。
単色刷り・多色刷りには、デザイン知識や経験のない人が使うとなんだか古臭く安っぽく見えてしまうという難点があります。
紙とインクの組み合わせや質感の違い、イメージに合う印刷方式などを詳しく勉強し、経験を重ねながらデザイン力を磨いていかなければいけないほど、単色・多色刷りは奥深い領域なのです。
とくに初めて同人誌を作成するような経験の乏しい人は単色・多色刷りでおしゃれな表紙を作ることは難しく、フルカラー印刷の表紙が無難でしょう。
自己満足の装丁には魅力を感じられない
逆にオプションをつけすぎた豪華な表紙も売れない原因となります。箔押しや特殊紙の表紙にすると見た目は華やかになりますが、その分、追加費用がかかり同人誌の販売価格も高くなってしまいます。
型押しや特殊紙で表現したい世界観があるというよりは、単なる自己満足に近いケースも多いのではないでしょうか。価格が高いだけ手に取ってもらえる可能性が低くなるので、客観的に見て意味を感じられないオプションも控えたほうがよいでしょう。
表紙にお金をかけたほうがよいケース
初めての同人誌が好評だった場合、2冊目以降は装丁にこだわってみたいという人もいるかもしれません。以下のように見込める利益が大きい場合は、印刷にコストをかけても問題ないケースがあります。
ページ数が多い場合
同人誌の印刷にかかる費用の割合は表紙のほうが高く、本文はページ数が多くなるほど単価が低くなる傾向にあります。
また、ページ数が多いほど販売単価も高く設定できるため、ページ数が多い同人誌ほど利益が大きく、装丁にかけられるコストに余裕が生まれるのです。
部数が多い場合
どんなものにもいえることですが、印刷にも大量生産だと単価が下がるボリュームディスカウントが適用されます。
なぜなら、大量に受注することで紙やインクなどの材料を安く仕入れられたり、1枚あたりの単価にのせる固定費が安くなったりするからです。印刷部数が多ければ多いほど利益が大きくなるため、装丁にお金をかけても問題ないという計算になります。
購入者がどのように買うかを考慮しよう
なるべく読者の手に取ってもらいやすくするために、同人誌の表紙はフルカラー印刷が望ましいということを説明しました。
表紙の作成に迷うことがあったら、自分が同人誌を買うときのことをイメージしながら、購入者の立場に立って考えてみるとよいでしょう。同人誌の購入は、おそらく次の2つのパターンに当てはまることが多いのではないでしょうか。
好きな作家の本を購入する
すでに知っている好みの作家の本を購入する場合、TwitterやPixivにアップされる表紙や本文のサンプルを見て、自分の好みの内容か、ほかの本と比べてより魅力的かどうかなどを確認することでしょう。
TwitterやPixivにアップされるサンプルは、入稿データをもとに作成されているので装丁は反映されていないのが一般的です。そのため装丁は購入の判断基準となるわけではなく、内容がよければ表紙が普通でも購入にいたるというわけです。
知らない作家の好きなジャンルの本を購入する
一方、好きなジャンルでも知らない作家の本を購入する場合は、表紙が重要な判断要素になるのではないでしょうか。イベントや書店で並んだ本を探す際、表紙の絵柄が好みだったり魅力的なデザインだったりした場合は購買意欲も高まります。
反対に表紙に魅力を感じられなければ、実際に本を手に取り本文を確認するという行為にはいたらないでしょう。
どんなに中身が素晴らしくても、手に取ってもらえなければ購入につながることはないのです。表紙を作成する際は、購入する人の立場に立って、どのような表紙なら手に取りたくなるかを考えながら進めるとよいでしょう。
まとめ
同人誌の表紙にはフルカラーがおすすめとされる理由について解説しました。フルカラー以外の表紙は売れにくいケースが多いため、自分の作品を広く評価してもらうためにはフルカラーの表紙が必須といえるでしょう。
とくにはじめての同人誌は、その売れ行きが今後の活動に対するモチベーションに大きく関わってくるため、表紙にはフルカラーを選択することが大切です。
フルカラー印刷は費用に不安があるかもしれませんが、少しでも費用を抑えたい場合は複数の印刷会社に見積もりを依頼してみるとよいでしょう。