自分のための同人誌の印刷を依頼することは可能?
同人誌の作成は非常にシンプルです。そのため、自分へのちょっとしたご褒美として自分専用の同人誌を作成依頼するのもよいでしょう。事実、自分のための同人誌の印刷を請け負う業者も存在します。しかし、自分用の同人誌を依頼する際には気をつけておきたいこともあります。たとえば、少部数印刷に対応している業者を見つける必要がある点です。
もくじ
自分専用の同人誌を作成する際のポイント
個人専用の同人誌を作成する場合、何よりその部数がネックになってきます。個人向けだと数部あればよいですが、通常、同人誌は大量発注が一般的です。そのため、あまりにも発注部数が少ないと依頼できない可能性もあります。「数部数程度の印刷はウチでも元が取れないからダメ」と率直に断られてしまうこともあるのです。
また、依頼できたとしても、依頼費用が高くなりがちなのが少部数の難点です。大量発注すれば一部ごとの単価を下げられますが、どうしても数部数程度しか作成を依頼できない場合にはコストも倍増してきます。
一部からでも作成してくれるような業者さんを見つけておくことが大事でしょう。このような業者は通常の印刷方法ではなく、プリンターなどを用いた方法で遥かに費用を安く印刷してもらえます。少部数対応可能な業者はネットで検索すればすぐに見つかるため、もしも自分専用の同人誌を作りたい場合には探してみることもおすすめです。コストについても相談してみるとよいでしょう。
その他の留意点についても知っておく
コストをさらに下げたいなら、大量発注して余剰分を売るのがおすすめです。コストが下がるどころか、同人を売ったことで利益が得られることもあります。「他の誰にも販売したくない」「世界に一つだけの本が作りたい」といった場合には、このような節約方法も実践しにくいため注意してください。
また、本当に1部程度でよいならば、自分で作成してしまうのもよいでしょう。プリンターを用いて専用紙面に印刷すれば、それなりの同人誌が格安でできあがります。「他の人に同人誌の内容を知られたくない」という場合にもこの方法は効果的です。しかし、自分で印刷すると仕上がりもよくありませんし、紙面がガサつくといったようなトラブルを引き起こすことにもなりがちです。
同人仲間がいるならば、一緒に印刷業者に依頼するのもおすすめです。他の人の印刷時に自分の同人も混ぜてもらうことで、より費用も下がってくるためです。ただし、こうした対応をしていない業者もいるので注意しましょう。
自分だけの同人を作るメリットは実は大きい
個人用途の作品を作るメリットは大きいものです。まず、盗作される可能性がゼロになることが最大の利点です。作品の世界は著作権の問題が非常に多く、どうしても会場等で本を流通すると盗作されたり勝手にネットにアップロードされたりします。
そのことを警察に通報しても、基本的には何もしてくれません。だからこそ、本当に盗作されないような同人誌があるならば、自分や友人だけに配布する用途で作成することがおすすめです。プライバシー情報管理に長けた業者を利用してすると、さらに盗作の可能性などを減らせます。
他にも、個人用途の同人誌を作成することで自分の腕を上げられます。実際に書いた後に紙面に再現すれば、「本にするとこういった仕上がりになるのか」といったようによいフィードバックも得られます。これも個人で利用する同人誌を作るメリットです。個人用途の同人誌を作成しておけば、後で「あの頃はこんな同人誌を作っていたのか」と思い返しやすくもなります。
個人用途の同人ならではの難点もある
個人用途の同人誌制作には思わぬデメリットも潜んでいます。何より、コストが高くつくことです。たとえば、1,000部作成すると、1部だけ作成する場合と比べて半額以上も一部辺りのコストが下がります。同人誌は大量発注してコストを削減して売り出すのが基本ですから、少数部数印刷は採算が取れないといった問題が発生しがちです。
また、同人誌を個人用途で作成するとよいフィードバックなども得られません。作成した同人誌は他の人にみてもらって評価してもらうことが肝心です。
客観的に評価してもらうことで、次の同人誌作成にも役立つ意見などが得られます。逆に、自分の殻に閉じこもってしまって自分の作品を世に出さないと、フィードバックも得られず技術も上達しにくいでしょう。世の中に作品を出して評価してもらいながら上達していく、というのが一般的な同人誌作家のあり方です。
いずれにせよ、思わぬデメリットもあるものですから、せっかく作った作品は世に出すように検討することも大事になってきます。
他の人の同人誌を印刷業者に依頼する
ここで気をつけておきたいのが、他の人の同人誌を印刷業者に依頼して増刷してもらうことです。このようなケースは一般化されているように思われがちですが、問題になることも多いのです。
たとえば、「少部数しか発行されていない同人誌を印刷依頼して転売してみたい」「自分の持っている同人誌は古くなったから、増刷してもらいたい」といった依頼もありますが、これは著作権違反にもなる行動です。とくに無断で増刷依頼して転売する行為は絶対に止めましょう。
営利目的の悪質な行為は警察が取り締まる対象でもあり、懲役刑の判決を下されることにもなりかねません。印刷業者に通報されることもあります。そのため、もしも自分の作品ではない同人誌を業者に印刷するよう依頼する場合は、必ず作者の了解を得ておくべきです。
作者さんの対応はケース・バイ・ケースですが、もう販売されていないような作品だと、既存品の希少性を弱めることになるため拒否される可能性も高いようです。断られたからといって勝手におこなうと、問題になることがあるので絶対に辞めておきましょう。
業者選びもかなり大事になってくる
同人誌の仕上がりを大きく左右するのが業者選びです。業者も数多くあるため悩むものですが、選ぶ際にはレビューなどを見て、じっくりと比較検討するとよいでしょう。とくに少部数印刷の場合には単価も大きく異なることがあります。そもそも少部数印刷に対応していない業者もいるので、最初に少部数でも発注可能かどうかは確認してください。逆に少部数専用の業者もあります。
実際に依頼する前には明確な見積もりを出してもらうことも大事です。見積もり書をもらうことで、どのような費用がかかるのか明確にできます。見積もりは最低でも数社に出してもらうと、さらに比較検討しやすいでしょう。こうすることで価格交渉などもしやすくなってきます。
依頼後は作品の点検も大事です。場合によっては紙面がガサついているなどして、再依頼が必要なこともあります。いずれにせよ業者選びをしっかりとしておけば、同人誌印刷の成功もほぼ間違いないので、時間がかかっても最初にじっくりと選んでおくことをおすすめします。
自分向けの同人誌も作成することは可能です。しかし、紹介したような少部数ならではの注意点には気をつけてください。また、他の人の同人誌を印刷することも厳禁です。こうした注意点を守れば満足のいく同人誌ができ上がることでしょう。業者は実に多いので、価格などを比較検討して一生依頼できるようなよい業者を見つけるべきです。