同人誌印刷の加工の種類と特徴
同人誌を印刷するには色々な方法があります。
それこそ単純な所では自分で書いたオリジナル原稿をコピーで量産しホッチキスで止めるという方法もあるでしょう。
ただ、しっかりとしたイベントに自分が書いた同人誌を持っていきたいという場合には、出版社に持って行って印刷と加工をしてもらった方が良いものです。
加工と印刷の具体的な種類についてこれから述べていきます。
もくじ
代表的な同人誌加工法の一つ角丸について
角丸とは簡単に言うと、本の四隅がどことなく丸っぽくなるように切ってもらう事です。
分類上は製本加工になります。
子供向けの玩具のメモ帳やキャラ商品で角が丸っぽいものを見た記憶がある人もいるのではないでしょうか。
絵本コーナーなどで同じようになっているものを探せたりもしますが、そういった同人誌の印刷加工法があります。
これをやってもらう場合の注意点は、角を丸く切られる事を前提に原稿を書く事です。
例えばキャラがカッコよく武器を振りかぶったのを書いたとします。
その体の一部が角丸加工処理の部分に上手い事嵌ってしまいバッサリ切れてしまう様な事が生じる可能性もあるのです。
他にも小説で文章の一部が同じように切れてしまったという声も時々耳にする事があります。
特徴的な表現や、2ページ使って、大きい絵を描く表現があるなどそういう事をやりたい時には注意した方が良いでしょう。
カラーでやった時には気にならなかったが、モノクロの場合に気になるという事もありますので出来るだけ完成図を想定しておくと良いでしょう。
表紙や背表紙などでも同じ様な問題が出てくる事がありますので、どうしても気になる場合は印刷会社に見積もりの段階で相談してみる事をお勧めします。
背表紙だけ角丸にしたい等の注文がしたくなる事も出てくるでしょう。
ちなみにこの時に、使う紙質や部数によって仕上がりに差が出るかどうかなども聞いておくと確実さが増します。
代表的な方法の二つ目、箔押しについて
箔押しとは、箔・型抜きの分類になる印刷法です。
子供の絵本や、魔法使いもののコレクターズアイテム等で表紙に魔法の文字風のものが指でなぞれる凹凸のようになって発売される事等があります。
ジャングルが中に広がっているイメージなどで刻まれていたりする様な事もありますが、そういったなぞれる金箔の様な形の加工をしてもらう事です。
これは上手くできるととても重厚な様子の同人誌に出来上がります。
ただ難度がちょっと高いです。
例えばデザインや用紙との相性でギザギザが出来てしまう事もあります。
他にも細かな抜きがあった為に、本来箔を押してほしくない部分に箔材がくっ付いてしまうといったパターンや埃が入り込んでしまって、とても目立つ形で残ってしまう失敗もあります。
この辺のリスクは作りやすい原稿を仕上げる事で一定以上避ける事は出来ます。
ですが、デザイン上不可避である場合も少なくありません。
その辺は事前に織り込み済みにしておいた方が良いです。
ちなみに割高になってきますが、高精密度でやってくれる業者さんもありますので、どうしてもコダワリがある場合等にはその辺に注目して探しておくのが良いでしょう。
代表的な方法の三つ目、トムソン法について
表紙の真ん中に穴を開ける方法です。
抜型で紙をくり抜くのです。
絵本で動物の形に表紙が抜かれていて、中から動物が覗いている形のものなど見たことがある人もいるのではないでしょうか。
くり抜かれた表紙部分で『中を見るなよ』と穴から見えるキャラが告げ、表紙を捲ると何故捲ってほしくなかったのかオチが分かるという二段構えの表現法にする人なども多く見かけるものです。
抜型については印刷会社の方でテンプレのものがあり、他の物は出来ないという場合も中にはあります。
ちなみに同人誌関係の場合、大抵相談に乗ってくれますのでまずは聞いてしまった方が良いです。
ただ、型抜きの性質上、抜くと本の形にならないなど、位置的に難しいという様な事で不可能な場合もあります。
背の部分に近かったりする部分などが代表的です。
強引に行ってしまうと、折れや破れの原因になってしまうのです。
前後左右一ミリ前後のズレが出来てしまう事も織り込み済みにしておかないといけません。
ですので、一定のズレがあったとしても内容が成立する様にオリジナルのものを作成する必要があります。
代表的な方法の四つ目、厚盛りニス法について
厚盛りニス法とは、マット貼りの上から部分的に艶出し加工をしていく事です。
例えば瓶の中に小さなキャラ達が入っているのを大きいキャラが外から見ている様な絵があったとします。
その瓶の部分が少し盛り上がり立体的に出る様にニスを盛っていくのです。
水滴や果物のみずみずしい感じをリアルに立体感を持った感じで出したいという時等にはこの方法を使うと良い事が多いです。
表紙を飛び出し、こっちにまで何かが飛んできているという様なイメージで水関係表現に良いともいえるかもしれません。
他にもミステリアスな雰囲気を出したい時や、この方法を使う人も結構おられます。
ただ、性質上クリアPP貼の上にはこの方法は使えません。
他にもあまりに精密な注文などは難しい事も考慮の必要がありますし、表紙の半分を超える範囲でやりたいなどという時には別料金になる事が多いです。
大抵の場合は表紙に使う事が多いですが、具体的に使う場所を大きく一つ二つに絞っておくのが安定した使い方になってくるかと。
断ち切りや折り目に近い部分にこれが来てしまうとひび割れが出て来てしまうリスクも認識しておいた方が良いです。
代表的な方法の五つ目、畜光印刷法について
暗い所で光る印刷法です。
星座系の表現や、怪異譚系の同人誌などを作りたいという時にこの方法を使うと良い演出になります。
暗闇で光る様にしておく事と本編の内容を上手く結んで置いて、秘密の古文書で暗い場所に持っていったときに正体が分かるという事で蓄光法を使うなど多くの方法論を考えることが出来ます。
暗くなってから、初めて星座が見える様な方法などもよくあります。
ちなみに注意しなければならない点もあります。
例えば蓄光インキは明るい場所では薄く黄色みがかった塗料です。
ですので、暗い場所の事ばかり考えていると明るい場所で考えていた雰囲気と違ってガッカリしてしまうケースもあります。
(背景に印刷がある場合は、ほとんどの場合目立ちません)
他にも発光するといっても出力を調整できるわけではありません。
背景の色によっては全く目立たない発光でしかなくなってしまう事や、暗い所の発光についても思っていたものと違う事になってしまったなどの話も時折あります。
そういった事情などもありますので、ある程度使い方に慣れるまでは何度か実験してみた方が安定します。
代表的な方法の三つ目、ホログラムPP法について
少女漫画や、子供向け漫画などでよくありますが七色のホログラムが出る様に表紙を加工する方法です。
夜空の表現や、何か不思議な出来事が起きた時の表現として見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。
子供向けの絵本などで、謎の世界に入っていく様な場面などで何ページかに渡り、このホログラムPP法を使っているものなどを見ることが出来ます。
ここぞという場面で強調した演出がしたいという様な時に使う表現であると考えておくと良いかと思われます。
ただ、欠点もあります。
例えば用紙の反りが強くなってしまうという欠点がありますので表紙には使う事が出来ません。
他にもPP法でしたら通常の加工部分での使用にも耐えましたが、ホログラム法での使用は難しくなっています。
そういった使用が難しい状況がある事も確認しておく必要があります。
パターン模様の継ぎ目に当たる部分にはスジが出来てしまう事等も考えておかないといけない部分です。
原稿の中で分かりやすい部分に多少のズレやスジが出来てしまうという事は前提条件にしておいた方が良いというわけです。