同人誌を小口染めでちょっとおしゃれに!疑似小口染めとの違いとは?
同人誌をつくるにあたり、冊子のデザインも表現のひとつであり、販売する際のポイントです。人びとの目にとまり、手に取りたくなる印象をつくれます。そこで、おすすめは冊子の側面を色付けする『小口染め』です。横からみると、さりげなくデザイン性があるので、個性を発揮します。ここでは、ひと手間かけた小口染めの魅力を紹介します。
小口染めとは
小口染めとは、冊子の側面を着色したものです。エッジカラーやエッジプリントとも呼ばれ、名刺の印刷などにも使われています。印刷会社に冊子を依頼すると、好みのデザインでつくることができます。主張しすぎず、さりげなくインパクトがあり、おしゃれな印象です。ここでは小口染めの特徴やメリットを解説します。
見開いた状態はシンプル
冊子の厚み部分、紙の側面に着色をしているので、冊子をひらいた状態は色の影響がありません。漫画やイラストであれば、作品の邪魔にならないことがメリットです。また、小説であれば、長時間読んでも目が疲れる心配はありません。
積んだ状態のインパクト
冊子を積んだ状態で、横から見ると色合いで目を引く効果があります。即売会などで、つい手にとりたくなり、覚えてもらうきっかけになるでしょう。作者のイメージカラーにすることや、作品の世界観を演出するなど、表現の幅がひろがります。
手作業のぬくもり
印刷会社に冊子を依頼すると、インクの塗布は職人による手作業になります。そのため、若干の色ムラやインクの浸透にバラつきがあります。しかし、そこが味わいある雰囲気となり、さらに個性を表現できるでしょう。特別な1冊にしたいときにオススメです。
小口染めの同人誌を作るときのポイント
印刷会社には、さまざまなニーズで依頼することが可能です。そこで、イメージ通りに小口染めをするためのポイントを解説します。
紙の厚み
紙の側面に色をのせるので、基本的には厚みのある紙が向いています。自身の作品にあって、なおかつ厚みのある紙を選びましょう。印刷会社に紙のサンプルがあれば、実際のにじみ具合や発色に注目するとイメージがわきます。作品の内容にもよりますが、おすすめの紙は次の4種類になります。
1つめは『特Aクッション』で、1ミリと0.8ミリもありますが、名刺やコースターなどに使う厚みなので、0.6ミリが良いでしょう。肌触りがよく高級感も演出できるので、とてもおしゃれな印象になります。
2つめの『スノーブル-FS 』は、真っ白で雪のような美しさと、ふわりとした優しい質感が特徴です。ページをめくる感触にまで、こだわりたいときに良いでしょう。
3つめは『グムンドコットン ホワイト』です。コットン100%の素材なので、強度と柔軟性どちらもかねています。美しい状態で保管しやすいので、作品を大事にできます。
4つめは『ワイルド-FS 0.6ミリ』で、コットンが35%はいっており、表面にさりげなく凹凸がある紙です。厚みがあり、質感の個性もあるので、かなりインパクトがでます。以上4つの紙を基準に、作品との相性を考えてみましょう。また、小説などの場合、薄い紙である必要があるので、適度なものを印刷会社に相談してみましょう。
色のバリエーション
印刷会社それぞれ、バラエティー豊かに、インクが用意されています。ゴールドやシルバー、蛍光カラーなど個性的な色もよいでしょう。色選びのコツとしては、表紙の色と統一すると、かなりなインパクトになります。作品のこだわりを最後まで表現する場所なので、色選びは重要です。即売会で、遠目から目立つ存在になるでしょう。
冊子自体の厚み
紙にこだわっても、ある程度のページ数がなければ、インクを塗布する面積が少なくなります。狙ったイメージを表現できない可能性もあるので、全体の厚みには気をつけましょう。厚みがあるほどインクは塗布しやすく、インパクトも大きくなります。
表紙の加工
小口染めの加工時、表紙にインクがかかる可能性があります。最終チェックで、表紙をふきとる作業がありますが、紙の質感によっては色が残ってしまいます。そこで、表紙にクリアPPというラミネートコーティングをすると、綺麗にふきとることが可能です。クリアPPは冊子自体の強度も増すので、ぜひ取り入れてみましょう。
漫画表現の原稿範囲
漫画作品の場合、原稿の端まで描いて表現したいときもあるでしょう。しかし、その場合、冊子側面に印刷インクの色が見えてしまいます。小口染めの色味がにごった印象になることや、にじみの原因になるので、出来る限り側面は真っ白な状態で創作しましょう。
もし、端まで描いた表現がしたい場合は、漫画の印刷インクと小口染めの色を同系色にすると、違和感が緩和します。印刷インクは黒が一般的ですが、ストーリーにあった雰囲気を選ぶのも個性があり素敵です。
疑似小口染めとの違い
一見小口染めに見える冊子でも、実は疑似小口染めの場合があります。ここでは、小口染めと疑似小口染めの違いを解説します。
見開きの印象
冊子を見開いたときに、縁取りによって着色をしているのが疑似小口染めです。しかし、閉じた状態は、小口染めとほぼ変わりません。縁取りこみで、作品の個性を表現したい場合に最適です。
また、縁取りの太さでも印象がかわるので、遊び心としてつかえます。好みによりますが、見開いた状態をシンプルにしたいときは、側面着色の小口染めがおすすめです。
色の持ち具合
小口染めは、インクを吹きかけて加工をしているので、色がうつりやすい傾向があります。運ぶときの衝撃で、一緒にいれているものが汚れてしまう可能性があるので、気をつけましょう。手間になりますが、1つ1つ梱包をすると安心です。
しかし、疑似小口染めはカラー印刷された紙が、重なって色を表現しているので、色うつりの心配がありません。即売会出品の場合は、運びやすく、購入してくださる方への配慮もできるので、疑似小口染めがおすすめです。
データ化の有無
冊子そのものを印刷会社に渡すことで小口染めは完成します。しかし、疑似小口染めは、データを自身でつくり、印刷会社に送る作業が必要です。縁の太さをこだわり、好みの雰囲気をデザインできますが、とても手間がかかります。しかし、時間に余裕があるとき、個性や特別感をだしたいときにはオススメです。
疑似小口染めの同人誌を作るときのポイント
疑似小口染めのデータをつくる際、いくつか注意が必要なのでポイントをおさえましょう。ここではwordのデータ作成について解説します。
wordの注意1
通常wordにて、A5サイズの本にしたい場合、A5指定の画面で作成をします。しかし、縁部分のスペースを想定することが必要です。余裕をもったサイズ指定をしましょう。また、適度な余白があると読みやすいデザインになるので、フォントサイズや文字数へのこだわりも重要です。
wordの注意2
縁取りはページ罫線が使えますが、パソコンによって、縁取りの太さが選べない場合があるので注意が必要です。印刷会社は側面を裁断して製本するので、最低6ミリは縁取りをつくりましょう。
6ミリ以下だと、うまく側面に色がでない可能性があります。6ミリ以上を選択できない場合は、ヘッダー・フッターにデザインをいれてみましょう。そして、奇数・偶数とそれぞれのページに設定すると、イメージ通りに仕上がります。
まとめ
創作活動をするにあたり、同人誌としてかたちにすることは、とても想い入れのある行為です。また、見た目にこだわること自体も、創作の一環として個性を発揮します。世界観を大事にしながらも、おしゃれになるので、作品のクオリティーがさらに高まるでしょう。たくさんの人に手にしてもらうために、ひと手間加えてみてはいかがでしょうか。印刷会社によって、価格やサービスが異なるので、ぜひ相性のよいものを探してみましょう。創作を楽しみにまってくれる、ファンが増えるきっかけになるかもしれません。