知っておきたい同人用語!カップリングにおける受け・攻めとは?
同じ趣味を持った人たちが集まって、創作、製作したものを冊子にした同人誌。漫画よりも表現の自由度が高いため、同人誌を作りたいと思っている方も多いでしょう。同人誌には、さまざまな専門用語があります。同人活動をスムーズに進めるためには、同人誌の専門用語の理解は必須です。ここでは、知っておきたい同人用語を解説します。
カップリングにおける受け・攻め
同人誌のカップリングでは「受け」と「攻め」という同人用語があります。そもそも、カップリングとは、同人誌で出てくる登場人物同士の恋愛関係を表す言葉です。どの登場人物同士をカップリングするかによって、作品の方向性が変わります。
同人誌では、カップリングした2人の登場人物名を「○○×◇◇」のように表現するのが特徴です。そしてカップリングした2人は、受けと攻めに分けられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
受けはカップルの女性側
カップリングにおける受けとは、カップルの女性側の立ち位置の登場人物を指します。異性のカップルなら男性側か女性側か分かりやすいですが、実は同人誌は同性同士の恋愛模様が多く描かれるのです。
男性同士、女性同士だと、どちらがカップルでいう男性側と女性側なのか分かりません。そのため同人誌では、カップルの女性側の立ち位置にいる登場人物を「受け」としているのです。カップリングの表現では、○○×◇◇の「◇◇」のほうに受け側の登場人物名が入ります。
攻めはカップルの男性側
攻めは、カップルの男性側の立ち位置にいる登場人物です。カップリングの表現では○○×◇◇の「○○」のほうに攻め側の登場人物名が入ります。
カップリングにおける総受け・総攻め
同人誌では、受けや攻めと似た用語で「総受け」や「総攻め」といった用語があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
すべての登場人物の受け手になる「総受け」
総受けとは、作品の中のすべての登場人物の受け手になることを指します。総受けの設定になる登場人物は、作品の中での愛されキャラともいえるでしょう。しかしこの総受け、同人誌の中では2つに分類されます。
一つ目は、同じ作品内の同じ時間軸、世界線で攻め手となる複数の登場人物に総受けになるものです。
そして二つ目は、固定1人の受け手に対して、複数の攻め手が異なる作品や時間軸、世界線で入れ替わるものです。総受けがこの2つに分類されたのは、同じ作品、時間軸、世界線で総受けになってしまうと、総受けの登場人物に「チャラい」というイメージが根付くからです。
登場人物にチャラいイメージをつけたくないという作者の場合、二つ目の攻め手が作品や時間軸、世界線で入れ替わる設定にすることがあります。
すべての登場人物の攻め手になる「総攻め」
総攻めとは、すべての登場人物の攻め手になることです。逆に、総攻めの登場人物以外はすべて受け手ということになります。そんな総攻めですが、実は定番のカップリングスタイルはありません。というのも、同人誌の業界では、作者が好きな登場人物を受け手に設定することが多いのです。
総攻めの登場人物を作るということは、受け手が何人も必要であり、その中に作者の好きな登場人物も入ることになります。それを「好きな登場人物が複数の受け手の中に埋もれるのは嫌だ」と考える作者もいるのです。そのため総攻めの登場人物が作品に登場するのは少数派ともいわれています。
カップリングにおける誘い受け
誘い受けとは、受け手から攻め手を誘惑することです。カップリングにおける「受け」と「攻め」は、肉体的なものと精神的なものの2つに分けられます。誘い受けは、肉体的には受け手の登場人物が、精神的に攻め手になるイメージです。
実はこの誘い受け、同人誌ではよく使われるカップリングとされています。肉体的にも精神的にも受け手や攻め手の登場人物が登場するより、誘い受けのように、普段は攻め手なのに肉体関係になると受け手になるという登場人物のほうが、ストーリーに意外性が生まれるからです。そのため、受け手や攻め手と合わせて覚えておきましょう。
カップリングにおけるリバーシブル
リバーシブルとは、カップリングした登場人物が、それぞれ受け手にも攻め手にもなれるような状態です。受けと攻めどちらもOKといった関係や登場人物の性格のことも、リバーシブルといいます。
同人誌でリバーシブルのカップリングや登場人物を描くとき、受けと攻めが変わる瞬間や、その理由を描くところがポイントです。読者も、そこをおもしろく感じるでしょう。また、リバーシブルの対義語は「固定」で、受けと攻めがずっと変わらないことを指します。
パロディ作品のリバーシブルは要注意!
もともとある作品のパロディとなる作品を同人誌で描く場合、リバーシブルに関しては注意が必要です。たとえば、もともとある作品の登場人物が「受け」で、その登場人物が好きな読者がいたとします。
しかし、同人誌のパロディ作品では、もともとの作品の登場人物を完全に無視し、リバーシブルで攻め手にもなる登場人物になっていたらどうでしょう。作品の読者は「この登場人物が攻め手になるなんて許せない!」と思う人が出てくるのです。
その登場人物のイメージや固定概念は読者や作者によってそれぞれですが、あまりにももともとの作品の登場人物設定を無視してしまうと、よく思わない読者や作者が多くなるので、注意してください。どうしても自分の趣味嗜好でリバーシブルの登場人物にしたい場合は、読者からの批判を覚悟しておいたほうがよいでしょう。
そのほかに知っておきたい同人用語
カップリングにおけるさまざまな同人用語を解説しました。しかし同人用語はまだまだあります。ここからは、そのほかに知っておきたい同人用語をいくつか見ていきましょう。
ノンケ
ノンケとは、異性愛者のことを指します。男性同士や女性同士の同性愛を描くことが多い同人誌で、よく使われる言葉です。同人誌では、もともとノンケだった登場人物が、同性愛に目覚めていくというストーリーが多く描かれています。同人誌の読者にとっては、そんなストーリーが魅力的だったりするのです。
オヤジ受け
オヤジ受けとは、中年の男性が受け手になることです。若い男性に攻められた中年男性が同性愛のとりこになってしまったり、今まで異性愛者だったのに、中年になってから同性が好きになってしまったり。オヤジ受けが詰まったストーリーは意外に引き出しが多く、人気も高いです。
ヘタレ攻め
ヘタレ攻めとは、普段は気が弱いヘタレキャラの登場人物が、肉体関係になると攻めになることです。誘い受けとは反対で、普段は受け手の相手を頼ってばかりなのに、ベッドの中では攻め手になります。このギャップが魅力的だという読者は多いものです。
まとめ
同人用語の中でも知っておくべき、カップリングにおける受けと攻めについて解説しました。同人誌において、カップリングは単純に受けと攻めの二択ではありません。すべての登場人物に対して受けや攻めになったり、途中で受けや攻めが変わったりと、受けと攻めのカップリングは奥が深いです。どんな設定のカップリングにするかで、物語の方向性は大きく変わります。それが、同人誌において読者も作者もおもしろいところです。これから同人誌で作品を制作したいという方、ぜひカップリングにおける同人用語は覚えておきましょう。