同人誌印刷でよくある原稿不備
同人誌作成は大きく印刷所に依頼する人と、自分でコピーで頑張る人に別れます。作成方法がかなり違うように感じる人もいるかもしれませんが、実は根本的な原稿の作り方は一緒です。それは、印刷の際によく見られる原稿不備にも同じことが言えます。では、原稿を作成する際にはどのような不備に気をつければ良いのでしょうか。
用紙のサイズに注意する
最近ではデジタル入稿が増えていますが、その際には原稿を原寸大で作成する必要があります。同人誌にはA5やB5などいろいろなサイズがあるのですが、デジタルで作成するときは最終的に作りたい同人誌のサイズにします。アナログ入稿したいときは、専門店で販売されている原稿用紙のサイズに合わせてください。
一般的に、同人誌用と雑誌などに投稿する漫画家向けのサイズが販売されています。どちらで作成しても大丈夫ですが、例えば10ページなら10ページ全て同じサイズで作成するようにしましょう。それがバラバラだと、不備として扱われる可能性が高いでしょう。大きめに作って、縮小してもらうことも可能です。
逆もできますが、拡大するとイラストや文字がぼやけるなどして見栄えが悪くなるので注意してください。縮小するときは、線の太さに注意する必要があります。あまりに細い線は縮小した時に擦れてしまう可能性があるので、一度試しにプリントアウトして確認することをおすすめします。慣れていないうちは、不備を避けるためにアナログやデジタルに関係なくなるべく原寸大で作った方が安心です。
本文は黒い墨かインクでしっかりと
小説やマンガなど、同人誌にはいろいろな種類があります。その人によって、自分の得意で好きな方法で作成していきます。小説の場合はワープロソフトなどを使い、マンガなら手書きかイラスト系のソフトを使うのが一般的です。本文は、フルカラーにしない限りは黒い墨かインクで作成してください。
本文をモノクロで印刷する人はもちろん、単色インクにする場合も原稿は黒い墨かインクです。小説なら、文字の色を黒に設定しておけば安心です。
一方、マンガはソフトで必ず黒を指定するようにしてください。手書きの時は特に注意が必要で、ボールペンやシャープペンを使わないようにすることが重要です。ボールペンは時に、黒いインクだから安心と考える初心者が少なくありません。
しかし、実際には墨に比べると色が薄く印刷した時に線がかすれてしまうことがあります。せっかくきれいなイラストでも、線画かすれてしまったら不備と感じるでしょう。薄すぎると、印刷にうつらないという不備も起こります。きれいな同人誌を作成したいなら、黒い墨かインクでしっかり描くことが大切です。
どこまで印刷されるか把握する
原稿の端に書いたセリフやイラストが削れてしまったという不備は、初心者なら時に気をつけたいことです。同人誌を印刷所に依頼すると、大きめの紙に印刷してのりやホッチキスで製本した後に断ち切りという処理を行います。この断ち切りをすることで、断面がきれいな商業誌のような本が出来上がります。
端を切り落とすため、時にはイラストの一部がカットされてしまうので注意が必要です。そうした不備が起こらないように同人誌の原稿を作る時には、必ずトンボと余白に注意しなくてはいけません。アナログとデジタルのどちらで作成する場合でも、A5やB5に関係なくひとまわり大きな原稿を用意します。
そこにトンボをかき入れて、見切れて欲しくないイラストや文章はトンボより内側に書くようにします。ページの端までイラストや模様が欲しい時は、トンボの外側まで書くようにしてください。慣れないうちは、自分で無理に作成しないで専用に販売されている用紙やテンプレートを利用すると安心です。もしくは、試しにプリンターなどを利用して1冊だけ作ってみるというのも失敗しないための一つの手です。
表紙を作るときは背表紙の厚さを計算
一般的な商業誌もそうですが、同人誌には背表紙があるタイプとホッチキスで作られた中綴じ本というものがあります。ページ数が少ない場合は、中綴じ本で作成する人も珍しくありません。コピー本の時は、この中綴じ本にする人が比較的多いです。
ページ数が多い時は、ホッチキスでうまく閉じることができないので背表紙があるタイプの方がおすすめです。この同人誌で表紙を作る時は、背表紙がどれくらいの厚さになるのか計算しておく必要があります。ここで注意したいのが、その厚さは本文に使う用紙の種類によって変わってしまうことです。背表紙の幅が足りないと、全体に影響してくるので注意が必要です。
まず、作成する前にどの用紙にするのか決めておく必要があります。50ページ以下なら、若干の差なので心配しすぎなくても大丈夫です。ただし、100ページ超えの厚い同人誌の場合は用紙によって幅が変わってくるので注意してください。慣れないうちは、ページ数が少ないもので挑戦した方が安心と言っても過言ではありません。不備をなくすために、背表紙作成には注意が必要です。
カラーで表紙を描くならCMYK
モノクロや単色カラーに比べると、フルカラーは一般的に値段が高くなります。とはいえ、フルカラーの表紙は目立つだけでなく見た目もとてもきれいです。憧れる人も少なくないですし、何よりも販売部数を左右することだって珍しくありません。そのため、初心者でもフルカラーに挑戦する人はたくさんいます。
初心者でよくあるのが、データで作成したイラストの色合いにならないという不備です。一般的にパソコンの画面はRGBで再現されているのに対し、印刷はCMYKが一般的です。CMYKで特に気を付けて欲しいのが、人物を描く際の肌の色でしょう。
画面上できれいに見えていても、肌の部分にシアンが少しでも入っていると印刷した時にくすんでしまう可能性が高いです。必ず、パソコンでデータを作った時は最後にシアン抜きという作業が必要になってきます。あとは、使っているパソコンの画面の色調整を確認しておくことが大切です。不安な時は、一度プリンターなどで出力したものを見本として印刷所に持っていくことをお勧めします。
ページ番号を必ず入れておく
同人誌の本文を作成していく中で、意外と忘れがちなのがページ番号です。得にマンガの場合は、1ページごとにデータを作成している人も多いので忘れることが珍しくありません。逆にワードソフトなどで作成する小説の場合は、入れ忘れる人が少ない傾向があります。
ページ番号を入れなくてはいけない理由の一つは、作成した時に順番がバラバラにならないようにするためです。入稿する際に、一部のデータを送信し忘れてもページ数が書かれていれば不備がありますよと印刷所から教えてもらえるでしょう。
また、原稿の上下が分かるようにページ番号を入れることも大切です。マンガの場合、小説に比べると上下が分かりにくいことがあるので注意してください。印刷所に依頼する時はもちろん、自分でコピー本を作る時も順番や上下が分かるようにしておくと安心です。
特に両面コピーする際は、ページを間違えたり裏表で上下を間違えることが珍しくありません。商業誌でも、一部が抜け落ちてしまうということがあります。必ず、不備が起こらないように順番と上下が確認できるようにすることが大切です。
印刷所に依頼する、コピーで作るに関係なく同人誌を作成する際には注意点がたくさんあります。原稿の大きさやトンボ、背表紙の計算やページ番号など不備が起こりやすい点はいくつもあります。印刷前に、必ずチェックシートなどで確認するようにしてください。特にイベント前などで、締め切りを焦って作成する時は不備が起こりやすいです。