同人誌を作成しようと思ったときに最初に決めるべきこと
「同人誌を作成しよう」と思った場合には、実際に作りはじめる前に決めておかなければいけないことが多くあります。設定や構成を早めに決めておけば作成時に役立つことが多いですが、今回は最初に決めておくべき事項をひととおり紹介します。
作成する同人誌のジャンルや具体的な内容
同人誌を作成しようと思ったら、最初に決めたいのは「どのような内容の作品を書くのか」ということです。どのような内容でも自分で好きなように書けるのが同人誌ならではの楽しさですが、まず決めておいたほうが良いのが「作品のジャンル」です。
一般的に同人誌は漫画の割合が多くなりますが、小説を執筆して販売する方もいます。自分で絵が描けない人でも自由に話を作ることができるのが、小説の楽しさです。
また、物語以外にもさまざまなジャンルの内容を書くことができ、評論やエッセイなども書こうと思えば書けます。ジャンルを問わず好きなものを書いて印刷できるため、漫画と小説を同じ本の中にまとめて印刷することもできます。漫画と小説を同じ本に掲載することで、買ってくれた読書にとっても読みごたえのある本になるでしょう。
作成する同人誌のジャンルを決定したら、次に決めておかなければいけないのは「物語の具体的な内容」です。どのような内容の話にするのかを大まかに決める必要がありますが、早めに決めておいたほうが良いのが「物語の時代設定」です。現代を舞台にした物語なのか、過去を舞台にした物語かでも話の内容が大きく変わってしまうため、自分の書きたい話に合わせて時代設定も決めたほうが作成を進めやすくなります。
物語の時代設定と大まかな話の内容を決めたら、次に決めなければいけないのは、話に出てくる「登場人物」です。物語を進めていくことで欠かすことができない登場人物は、主人公の設定を最初に決めるとよいでしょう。性別や年齢、外見、性格、思考パターン、口癖など、思いつく限りの情報を細かく設定しておくと、あとで話を作る際に役立ちます。
漫画を描く場合には主人公の髪型や服装なども重要な要素です。一目で主人公だとわかるような外見にすることで、読者にも理解してもらいやすくなります。ストーリーを作る際には脇役の登場人物の設定も重要な要素で、脇役が魅力的であるほど物語もより面白くなります。
ページ数が限られている同人誌の場合には、あまり多くのキャラクターを登場させるよりも、キャラクターの数をある程度しぼったほうが、話が書きやすくなります。
印刷する本のページ数とスケジュール
本全体のページ数も、同人誌を作成する際に決めておかなければなりません。どのような内容の作品を作る場合でも、ページ数を最初に決めておかないと、実際に作りはじめたときに、ページ数が足りなくなってしまったり、逆にページが余ってしまったり…といった場合があります。
ページが余ってしまった場合には、ページ数を減らすことで対処できる場合もありますが、問題になるのはページ数が足りなくなってしまった場合です。予算があるならば、当初の予定よりもページ数を増やして印刷することも可能ですが、予算が限られていて、当初決めたページ数でしか製作ができないような場合には、話の内容を変更して、なんとか予定していたページ内でおさめられるように調整が必要です。そのために、初めに何ページの本を作るのかしっかりと決めておくのは非常に重要なのです。
ページ数を決定したら、具体的なスケジュールを決めておきましょう。期限が決まっていない本の場合には、好きなときに書いて好きなときに印刷することができます。しかし、特定の日までに印刷をしなければいけない場合には、それに合わせてスケジュールを組んでおかなければなりません。
同人誌を販売するイベントに参加するために制作する場合には、イベントに間に合うよう本を完成させる必要があり、最初に予定したページ数が多すぎると、イベント当日までに完成できない場合もあります。締め切りに間に合わないことを避けるためには、余裕を持って少なめのページ数に設定し、ゆったり作成しても間に合うスケジュールとすることをおすすめします。
学生や社会人で作品を書いている人の場合には、学校や会社の都合で書くことに時間が割けなくなる場合もあるため、特にページ数には注意しましょう。イベントに参加する場合には、作品を完成させるまでのスケジュールも最初に決めておいたほうが安心です。
「下絵をいつまでに終わらせて、ペン入れをいつまで終わらせる」など、具体的な計画を立て、ペースを守りながら書いていくことで、スムーズに制作作業を進行できます。スケジュールが遅れ気味になったら早めに計画の変更をすることで、それ以降のスケジュールを調整しやすくなります。
同人誌を販売するためのイベントと印刷所を決める
自分で制作した同人誌を販売したい場合には、どのような方法で販売するのかも最初に決めておく必要があります。販売の方法として一般的におこなわれているのが、専門のイベントで販売する方法です。同人誌だけを専門に販売しているようなイベントも日本では多く開催されています。何万人もの規模の人が集まる大規模なものから、数百人規模のものまで、大小さまざまなイベントがあります。
どのようなイベントに参加するかによって、印刷する本の数を変えることもできます。多くの人が来場するようなイベントならば、多数の販売を見越して、普段よりも多めに印刷することも可能です。参加するイベントによって、部数を変えることで、売れ残りを最小限におさえることができます。どのイベントに参加するのかを決めることは、売上にも大きな影響が出るためあらかじめ決めておきましょう。
また、イベントは事前に申し込みが必要な場合が多く、申込期間が限られています。「参加するつもりだったのに申し込み期限が過ぎてしまった」といった残念な思いをしないよう、参加するイベントはできるだけ早めに決めておくことをおすすめします。
イベントによっては申し込みをしても抽選で参加できないような場合もあるため、外れたときの販売方法も最初に考えておいたほうが、作ったものが無駄になりません。「別のイベントに参加して販売する」「抽選に当たりやすいイベントにも申し込んでおく」といった代替プランをもっておくことで、大きなイベントに申し込んで外れた場合でも本を販売できます。また、イベント以外にはインターネットの通販で販売することも可能です。
もう一点、同人誌を印刷するお店も早めに決めておきたいところです。どこのお店で印刷するかによって、サービスの内容に大きな違いがあります。印刷に必要な料金もお店によって異なり、一冊あたりの単価がもともと安いお店もあれば、大量の部数を印刷することで一冊あたりの単価が安くなるお店もあります。
カラー印刷は通常の白黒印刷よりも一枚あたりの料金が高くなりますが、お店によっては白黒とそれほど変わらない値段で印刷できる場合もあります。
同人誌を作成する場合には、「内容・ジャンル・人物設定など作品の土台部分」「ページ数とスケジュール」「販売方法と印刷所」の3つの項目を最初に決めておきましょう。
素晴らしい作品を作っても、このうちのどれかが欠けてしまえば満足のいかない結果となってしまう可能性があります。同人誌は自分の好きなものを詰め込むことが可能なため、楽しんで作れるよう、今回ご紹介した「最初に決めておきたいこと」をしっかり確認・決定しておきましょう。