印刷業者に同人誌のカバーを印刷してもらうことはできるの?
書店に流通している本、とくに文庫本サイズのコミックや小説には表紙の上にブックカバーがかけられていることがほとんどです。対して同人誌の場合は、カバーがかけられている本は多くありません。しかし、実は同人誌でもカバーの印刷を取り扱っている業者に依頼すれば簡単に作れるのです。今回は、同人誌のカバーについて詳しく解説します。
業者に印刷を頼むときの方法
カバー印刷をオプションとして用意していたり、セット内容に含んでいたりする同人誌専門の印刷業者は多いです。オプションやセットで注文する際のメリットは、紙を冊子にかけるところまで一括で業者がやってくれるところです。
100冊や200冊といった大ロットの注文の場合は特に、一冊一冊に自分でかけていくことは大変な労力がかかります。一緒に注文すればあらかじめかけられた状態で納品してもらえます。手間暇を省くことができます。
また、慣れていない人が自分でカバーをかけると折り目などを失敗してしまうことがありますが、そんな心配もありません。冊子とは別にカバーのみで注文できる業者もあります。この場合のメリットは、セットで注文するよりも低コストで注文できるところです。「本文は活字のみだから印刷はオンデマンドで安価にしたいが、外装は美しくこだわりたいのでオフセットにしたい」といった場合にも活用できます。
また、オプションやセットの場合よりも紙の種類や特殊加工の幅が広く、こだわったデザインにすることが可能な業者もあります。紙をかける作業は自分で行わなければなりませんが、折り筋はあらかじめ付けてくれているため、作業に慣れていなくても安心して作業をおこなえます。
カバーをかける冊子とかけない冊子を作りたい場合にも便利です。もっとコストを抑えたい場合には、カバー専用ではない印刷サービスを利用する方法もあります。その場合、フライヤーやポスター印刷の変形加工を選択します。一回り大きいサイズを選択して、変形で必要な形に加工します。このとき、背幅や折り込む袖部分の長さも忘れずに加算します。
また、裁ち落としの際の誤差を調節するため、上下左右に3ミリ以上の余白を塗り足しておきます。この場合は折り筋がつかないので、失敗することも考慮して少し枚数を多めに注文するといいです。すべての作業を自分でやらなければならないのは大変ですが、小ロットの場合や、予算を最低限に抑えたい場合には向いています。予算やこだわりに合わせて最適な方法を選択しましょう。
同人誌にカバーをかけるメリットは傷からの保護だけじゃない
同人誌にカバーをかけることで得られるメリットは多くあります。商業出版されている本はカバーがかけられていることが多いため、カバーがかけられていない裸の状態だと一目見て同人誌とわかってしまいますし、安っぽさが出てしまいます。
表紙のデザインを工夫することでいくらでも挽回できる点ではありますが、紙をかけるだけで書店に流通している本に引けをとらない見栄えにできることも事実です。買う側から見ても、日ごろ購入している本と同じ仕様なので違和感なく手に取ることができます。
また、傷や汚れから本体を守る役割もあります。読者の手に届く前に汚してしまった場合でも、カバーだけを取り換えれば本そのものは売れる場合があります。傷がついた状態で返品がされた場合でも同様です。価格などの変動する可能性のある情報は外装だけに印刷しておけば、いざ変わったときには本体すべてを取り替えたり訂正の紙を入れたりする必要がなくなります。
また、実用的な面だけではなく、作品をより楽しむための仕掛けに使うこともできます。本体の表紙と上にかぶせる外装とで載せるデザインを変えることが可能なので、表紙として楽しめるポイントが倍に増えることになります。マンガの場合は本編に対するおまけ絵を描いて、外してみて初めて存在を知るといったプチサプライズを設定する活用法もあります。
派手な装丁でも中の表紙はワンカラーで落ち着かせれば大人っぽい魅力を出せますし、中と外とでまったく違うイラストを載せればお得感が増します。また、冊子のように綴じられていないので、特殊な素材で作ることが可能です。
通常の表紙には使えないような種類の紙、布やプラスチックと言った紙以外の素材を選ぶこともできます。特殊な仕様にすることで、より個性を出せることで人目にも付きやすく、手に取ってもらいやすくなります。表紙の上にさらに外装をするからこそ得られるメリットを活用して、こだわりの一冊を作りましょう。
同人誌の入稿は初心者でもできる
本の入稿というと、「難しそう」とハードルが高く感じる人も多いでしょう。しかし「同人誌は出版社や印刷業者との取引に慣れたプロだけが作る物ではない」ことを業者側はわかっています。そのため、同人誌の入稿サービスを取り扱う会社は、初心者にもわかるように説明を載せてくれているところが多いです。
奥付などの同人誌に絶対に載せなければならない情報について、ジャンルに適した用紙の選択、具体的な入稿方法まで、多くの印刷会社の公式サイトで詳しく明記しています。素人にはよくわからない紙の種類や質感、よく使用されるジャンルなど写真付きで説明しているところであれば、初心者にとってもわかりやすいですね。
「表紙カラー・本文モノクロ」「表紙カラー・本文カラー」「表紙モノクロ・本文モノクロ」など、わかりやすいセット商品が用意されているので、自分が作りたい冊子の内容に合わせて選択ができます。カバー付き・なしを選択できるかどうかも見ればすぐにわかります。
同人誌に特化した業者の場合、大きな即売会に合わせたサービスがあるので、即売会合わせで本を作るのにも最適です。希望の場合はそのまま会場に発送してくれるところもあります。割引フェアなども多くあるので、うまく活用すれば通常の料金よりもコストを抑えて制作ができます。
また、過去の注文についての履歴が残っているので、増刷したい際には同じ業者に頼むのが手軽です。繰り返し使うことでポイントが貯まりどんどんお得に使える制度の業者もあります。入稿もインターネットから手軽におこなうことができます。入稿用のテンプレートが用意されている場合は、それに合わせて制作し、指定の場所からアップロードすれば完了です。
また、本を作るとき、特にカバーを作りたいときに重要となるのが背幅のサイズです。自分で背幅を計算することは難しいですが、同人誌の印刷会社では、背幅の計算方法を載せてくれています。また、紙の種類と枚数を入力することによって、自動で計算してくれるシステムのところもあります。はじめて同人誌を作るときは緊張しますが、まずは落ち着いてサイトを見ながら作業を進めるのが大切です。
同人誌のカバーについておさらいすると、予算を気にせず手間暇を省いて制作したい場合にはオプションやセット注文が適しています。冊子と別々の仕様で作りたい場合にはカバーのみの注文という選択があります。さらに、「コストを最小限に抑えたい」というときにはポスター・フライヤー印刷の変形加工を利用するとよいでしょう。
手間はかかりますがお安く済みます。同人誌のカバーのメリットは、傷や汚れからの保護という実用面だけではありません。市販の本と変わらない見栄えにしたり、個性を発揮したりするのにも一役買います。
同人誌の入稿方法は業者のホームページに詳しく説明があり、初心者でもわかりやすいです。また、同人誌に特化した業者の場合、即売会に合わせたサービスが多く用意されています。注文方法やメリットを理解して、興味のある人はぜひトライしてみましょう。