同人誌のページ数はどうやって数える?
同人誌の印刷を業者へ依頼する場合、ページの数え方はどうなっているのかということに疑問を持つ人も多いかもしれません。ここでは、注文をするときのページ数などについての基本的な知識を分かりやすく紹介します。
印刷業界におけるページの数え方とは
「本のページをめくる」というと、1枚の紙を指でめくるという動作をイメージしてしまう人も多いでしょうし、1枚の紙が1ページというふうに考えてしまう人もいるかもしれません。こうした慣用句では、ページの定義が曖昧になってしまうこともあるのですが、印刷業界では「ページ」というものにハッキリとした定義があります。
それはどんなものかというと1ページというのは「紙の片面だけ」を指すということです。そのため、1枚の紙は1ページではなく、紙の表裏を合わせて2ページというカウントをおこなうことになっています。
このことは、片面にだけ絵や文字などが刷られている場合でも同じであり、裏面が白紙の場合でも、1枚の紙であれば2ページと数えられます。一般の人は何かが刷られている面だけがページだと考えてしまうかもしれませんが、業界ではそうではない白紙のページも1ページとして数えるということです。
以上が、1枚の紙に対するページの数え方の基本なのですが、同人誌のような冊子を作る場合は、表紙などがページとしてカウントされるのかどうかということも気になります。冊子や本は、いきなり本文が刷られている紙から始まるのではなく、本文を挟むようにして表紙や裏表紙が付いているのが普通でしょう。
そして一般の人のイメージでは、絵や文章が刷られている本文の部分だけがページで、表紙や裏表紙は別物と考えている人も多いかもしれません。しかしこの業界では、本文の部分だけでなく、表紙や裏表紙もページとしてカウントする場合があるのです。
そのため表紙と裏表紙をカウントする場合であれば、それぞれの紙が2ページ分になるので、その4ページと本文ページの合計が全体のページの数になります。例えば、本文の部分が100ページの冊子であれば、表紙と裏表紙の4ページを合計した104ページが全体数になるということです。
しかし業者によっては、表紙と裏表紙のページを含まない、本文の部分だけをページとしてカウントするというケースもあるのです。さらに冊子や本では、表紙や裏表紙と本文の部分の間に「扉」「見返し」「遊び」などと呼ばれる装飾的な紙を挟むことがあります。こうした装飾的な紙の扱いについても、ページとしてカウントしたりしなかったりといった対応が業者によって違う場合があります。
ですので、例えば表紙と裏表紙、そして装飾的な紙(2枚4ページ)もページとしてカウントされるのであれば、本文が100ページだった場合は合計で108ページになるということです。そのため、こうした装飾的な紙を入れる場合は、それがページとして含まれるのかどうかも一緒に確認しておく必要があるでしょう。
注文時のページ数とノンブルのページ番号は違う
印刷業界におけるページの数え方は先ほど説明した通りですが、これは言ってみれば物理的なページの数え方であり、冊子や本の内容についてのページの数え方ではありません。
本や冊子の本文には、それぞれのページの端っこにページ番号(小さな数字)が付けられていますが、この数字は「ノンブル」と呼ばれており、いわば冊子の内容の位置を示すものだと言えます。
目次がある冊子なら、何ページにどんな内容のものが掲載されているのかが分かるようになっていますし、目的のページをめくれば即座にそのページへ移動できるので便利です。そのためノンブルというのは、冊子の内容についてのページだと言えるのですが、気を付けておきたいのは注文をする際のページの数とノンブルのページ番号は基本的に別だということです。
なぜそうなってしまうのかというと、ノンブルの1ページ目をどこにするかによって違いが出てくるからという理由がまず挙げられます。例えば、本文の部分を表紙と裏表紙で挟んでいる冊子(装飾的な紙はなし)の場合を考えてみましょう。この場合、表紙の表をノンブルの1ページ目とするなら、本文の最初のページは3ページ目ということになります。
しかし表紙を無視するのであれば、本文の最初のページがノンブルの1ページ目になります。そのため、後者の場合であれば、注文時のページの数とノンブルのページの数が必然的にずれてしまうことになるのです。
そしてノンブルのページ番号というのは、本文だけに付けられるものであり、表紙や裏表紙に付けられることは普通ありません。そのため、表紙の表部分をノンブルの1ページ目にする場合でも、本文の最初のページには「3」というページ番号から始まることになりますし、裏表紙のページを含まないページ番号で終わることになります。
そのため、例えば注文をするときのページ数が、表紙と裏表紙を含めた104ページだった場合でも、ノンブルのページ番号の最後が100ページ(表紙を含まない)や102ページ(表紙を含む)になることがあります。
ですので、ノンブルのページ番号が100で終わっているからといって、注文時のページを100ページにしてしまうと、ページの数が足りなくなってしまうということです。
こうしたノンブルのページ番号の付け方には決まりはなく、冊子の構成やデザインによって変わってきます。そのため、ノンブルの付け方については自分で把握しておくしかありませんし、注文時のページ数と混同しないようにする必要があります。
ページに関する注文ミスを防ぐためには
冊子や本のページの数え方は、先ほどから説明しているようにとても複雑なので、頭が混乱してしまう人もいるでしょう。実際に、本来は50ページの冊子を25ページで注文してしまったというケースをあるようですし、表紙を含むのかどうかといった確認をしないまま注文することもあり得ます。
こうした注文ミスは、原稿データの量と照らし合わせることで、業者側が注文ミスだと判断できることも多いと言えます。ですがその場合でも、利用者に確認の連絡を取ったり、改めて再注文をしてもらったりといった手間がかかるので、当初予定していた納期が大幅に遅れてしまうこともあるでしょう。
期間に余裕を持って注文した場合であればそれでも間に合うかもしれませんが、ギリギリのタイミングで注文した場合はイベントなどに間に合わなくなってしまうこともあります。ですので、業者側が示しているページの数え方をしっかりと確認したうえで注文をするということがまず重要になるでしょう。
そしてその他にも、ページ数に関する注文ミスを防ぐ方法としては「台割り表」を作るという方法が挙げられます。台割り表というのは、どのページにどんな内容のものを入れるかということをページごとに記した一覧表であり、冊子を作るときの設計図のようなものです。
こうした台割り表を作っておくと、全体の構成を把握するのに便利ですし、ページ数を間違ってしまうのを防ぐことにも役立てることができます。
印刷業界のページの数え方(注文時)は、紙の片面が1ページであり、紙1枚なら2ページになるのが基本です。しかし表紙や裏表紙などの本文以外の紙をページに含めるかどうかは業者によって違うため確認が必要です。
そして紙に印刷されているページ番号を意味するノンブルは、注文時のページ数とは別なので混同しないようにする必要があります。ページの注文ミスを防ぐ方法としては、冊子の設計図とも言える台割り表を作っておくという方法があると言えます。