印刷・製本に入る前に色校正を行うべき?色校正の必要性を解説!
せっかく本や同人誌を作るなら、自分の理想通りに仕上げたいもの。とくに表紙は本の顔ですから、できるだけ綺麗に印刷したいものです。でも実は、「印刷してみたら理想と違った」というトラブルは付き物です。本を理想通りに仕上げられる方法・色校正を知っていますか?色校正があるかないかで、本の仕上がりへの安心感が違います!
色校正とは?
色校正とは、簡単にいうと「試し刷り」です。主にカラーの原稿で行われ、イラスト集やカラー表紙で色校正が行われます。では、どうしてこの色校正が必要になるのでしょうか。
■印刷した時にどうなるか?を確認する色校正
色校正を行う理由は、パソコンのモニターで見る色と、実際に印刷した時の色を確認するためです。初心者が間違いやすいポイントですが、パソコンモニターで見る色と、実際に印刷した時の色には違いがあります。むしろ、モニター通りに印刷が仕上がることは珍しいほどです。
つまり、「モニターを見ながら着色した原稿を入稿したら、まったく異なる発色で刷り上がった」というトラブルは山ほどあります。せっかく綺麗に色を塗ったのに、思っていた仕上がりと違ったらショックを受けるでしょう。
そこで、「色校正」を行います。色校正とは、製作過程の中で実際に印刷をしてみて、モニターの色と印刷議の色を擦り合わせていく作業のこと。この作業を行うことで、「印刷してみたら、モニターと色が違う」というトラブルがなくなります。初めて本を作る人は、必ず色校正で仕上がりの色を確認し、納得の上で印刷しましょう。
■紙によっても印刷の色は違ってくる
使用する紙によっても色の再現度は異なります。色の発色が綺麗なのは「コート紙」といわれる紙で、表面がツヤツヤしています。インクの乗りがよく、とくに写真映えのよさは抜群です。イラストや文字を落ち着いた印象に仕上げたい時は、「マット紙」がオススメ。
マット紙は光沢がなく、しっとりした手触りの紙です。文字も読みやすく、発色もよいので、イラスト集を作りたい時に最適の紙です。カラーではなくモノクロ印刷にしたい時は、上質紙を検討してみましょう。
上質紙とは、簡単にいえばコピー用紙のことです。上質紙は発色こそあまりよくありませんが、文字が多い文書を印刷する時は、この上質紙がベストです。
このように、「どんな印刷を目指すのか」によっても、選ぶ用紙は違ってきます。モニターと印刷後の発色の違いも大事ですが、「紙による発色の違い」もまた印刷に影響することを覚えておきましょう。
色校正の種類
色校正には、大きく分けて3つの種類があります。種類ごとにメリット&デメリットがありますので、自分に合う色校正を選びましょう。
■簡易校正
簡易校正は、低価格で色校正を行いたい人向け。簡易校正用の印刷機を使い、やはり専用の紙とインクを使って刷り上げます。実際に印刷をする時の印刷機・紙&インクではありませんが、大体の色の雰囲気を確かめることができます。「本番とは違う仕上がりなら、校正の意味はないのでは」と考える方もいるでしょう。
でも、現在は印刷機の性能も向上し、本番に近い色校正ができるものもあります。何よりお安い価格で試せるので、出版初心者にはオススメ。少部数の印刷なら、この簡易校正でも充分です。
■本機校正
簡易校正とは違い、本番と同じ印刷機を使う色校正が「本機校正」です。紙もインクも本番と同じものを使用し、まったく同じ仕上がりを確認できます。「どうしても本番の仕上がりを見てみたい」という場合は、本機校正がよいでしょう。ただし、本機校正はお値段がお高め。その原稿のために版を作り、印刷機を稼働するため、色校正はどうしても高くなります。
本番で使用する印刷機は、「たくさん印刷してこそ元がとれるもの」なので、色校正のために動かすのは効率が悪いのです。印刷所によって可能な色校正は異なります。印刷所を選ぶ時に、どんな色校正ができるのかを調べておきましょう。色校正オプションが付けられる事もあるので、そのようなサービスがある所を選んでみてはいかがでしょうか。
■色校正は有料・回数上限が決まっています
とくに「初めて同人誌を印刷する」という方の場合、印刷に入る前に色校正を行うことは、失敗を防ぐ重要な手掛かりになります。印刷所の方でも、トラブルを防ぐために色校正のサービスを取り入れ、気軽に利用できる体制を作っています。
しかし気を付けたいのは、色校正は無料のサービスではない事。有料でお願いするか、オプションで色校正のサービスを付けることになります。また、回数に上限がある事も多いので、「色を塗る段階で、発色に気を付ける事」が重要となります。回数の範囲内でベストの発色を実現できる様にしましょう。
色校正を行うタイミング
色校正を行うタイミングは、原稿が完成して印刷所に送る時です。そこで色校正を行い、「このまま印刷にかけていいか」を決めます。色校正は本のように仕上がるのではなく、1枚の紙にカラー部分のみ印刷される形となります。ここで修正箇所をしっかり確認しましょう。
そこで修正が終われば、いよいよ印刷。色校正の段階で、いかに修正できるかが仕上がりの鍵です。実際に色校正をしてみると、空の青が重すぎたり、肌の色が濃すぎたり、さまざまな問題点に気づきます。理想通りの仕上がりにするためにも、妥協せず修正をしましょう。
■色校正の納期を確認しておきましょう
色校正にも納期があり、印刷所が決めた締め切りまでに入稿を済ませる必要があります。色校正を入れる分、締め切りは早くなりますので、その日までに原稿を仕上げられる様にスケジュールを立てましょう。
色校正を行うメリット
色校正を行うことで、「いざ刷ってみたらイメージと違った」というトラブルを防げます。簡単な様で、この失敗を防げるのは大切な事です。とくに「初めて同人誌を作る」という方にとって、最初の1冊は特別なものとなるでしょう。その1冊が、色調調整の失敗で上手くいかなかったらどうでしょう?
本当に落ち込む結果になってしまいます。そのようなトラブルを避けるためにも、色校正はとても大切なものです。また、色校正を一度でも試してみると、「どのくらいの色調で原稿を制作すればよいか」が判断できる様になります。色にこだわりがある方ならとくに、色校正を行ってみることをオススメします。
初めて同人誌を作る時&自費出版を行う時は、未知の事がたくさんあります。製作過程の中で、解らない事を1つずつ解決していくことが、理想の本を仕上げるための鍵となるでしょう。中でもカラー印刷は、初心者が躓きやすいミスの1つです。
「パソコンモニターではすごく綺麗だったのに、印刷してみたら違った」というトラブルは、本当によく聞く話。色校正を利用することで、「色が思う様に出ない→刷り直し」というリスクも回避する事もできます。刷り直すとなると、多大な損害を被る事になります。二重のショックを避けるためにも、色校正は大きな活躍をしてくれるでしょう。
これから同人誌を作ろうと考えている方には、色校正をしてくれる印刷所探しをオススメします。「仕上がり具合を一度チェックできる」というのは、非常に大きなメリットであり、製作において心の支えにもなるでしょう。印刷所を探す時に、色校正を請け負ってくれるかどうか?オプションサービスがないかどうか?を確認し、より頼りがいがある印刷所にお願いしてみてください。