同人誌の薄い色と濃い色はどれくらい再現される?
カラーの同人誌の印刷を業者に依頼するときにはどのくらい色が再現されるのかが気になってしまうでしょう。
パソコンなどの画面で見ているのとはかなり違う色合いになることは珍しくありません。
実際に依頼するとどのくらいの問題が生じる可能性があるのでしょうか。
また、高い完成度に仕上げるためにはどうしたら良いかを理解しておきましょう。
色合いの変化の起こり方は業者によって違う
フルカラーでも二色刷りでも色の濃淡を使った表現はよく用いられています。濃い色をアクセントにしたり、薄い色で雰囲気を作り上げたりといった形で、色の濃さに応じてそれぞれのシーンのイメージを自在に変化させることができるのは確かです。その色合いが少し違ってしまうだけで、想定していたようなシーンを描写できず、こんなつもりはなかったのにと後悔してしまうかもしれません。
ただ、パソコンの画面で見ているのと紙の上で見るのとではまるで色合いが違うようになってしまうことはよくあります。濃い色が変化してしまうか、薄い色が再現されなくなってしまうかはケースバイケースで、業者によって異なると理解しておいたほうが良いでしょう。
色合いの違いが生じてしまう原因はかなりたくさんあります。ディスプレイに表示されている色はどのディスプレイに組み込まれている液晶の品質によって多かれ少なかれ異なることは否めません。
試しにあるイラストをパソコンとスマホとタブレットで見比べてみると、微妙な違いがあるのに気づくでしょう。特にコーティングされていて美しく見えるようにしてあるディスプレイと、そうでないものを比べてみれば違いは明らかになります。
一方、プリントされる色はプリンターに使われているインクの品質や色合いによって変わるのは想像に難くないでしょう。同じプリンターでも正規品のインクを使うか、汎用品やリサイクル品などを使用するかによって少しずつ違いが生じます。また、同じインクであってもプリンターが違うとインクの量の制御機構やインクを紙にプリントするときのタッチが異なっていることがあり、やはりできばえには差ができてしまうのが一般的です。
このようにデータは同じであったとしても、ディスプレイとプリンターのそれぞれが色を変えてしまう要素を持っているので、なかなか思っていたように色を再現することができないのです。さらに、同じインクを使っていたとしてもどんな用紙を使うかによって色合いが変わってしまいます。
このように複雑にいくつもの要素が絡み合っているので、プロでも再現性を高めるのにとても苦労するのが一般的です。業者によって使っているパソコンもプリンターも違い、使用する紙すらも異なることがあります。そのため、同じデータを使ったとしても業者ごとに色合いが変化してしまうことは否めません。ただ、対策を立てることはできるのでどうしたら良いのかを確認しておきましょう。
サンプルを手に入れて修正しよう
原稿を入稿してから手直しをしたいと言えば応じてくれる業者はたくさんあります。色合いの違いを確認したいからサンプルが欲しいと言うと試し刷りをした結果を提供してもらうことが可能です。それを見てどう修正したら良いかを考え、適宜色を変更した原稿を作って印刷を依頼すれば問題を解決できるでしょう。
サンプルを見て、濃い色が思っていたよりも薄くなってしまっているとわかったら、全体的に色合いを濃くすれば良いでしょう。逆に濃くなりすぎてしまっている場合には薄くすれば良いという形で、サンプルの様子を確認すれば適切な対処をすることが可能です。ただ、単純に濃淡だけで考えてはならず、プリンターのインクの色がどうなっているかも念頭に置いて考えるのが大切です。
RGBの三色の組み合わせになっている場合には、そのどれか一つは濃く出やすい、あるいは薄くなるといった傾向が見られることがあります。赤が濃いめで緑は薄めといった風に組み合わせになっている場合もあるので注意しましょう。美麗でカラフルなものをプリントするのに長けている業者の場合には六色や七色もインクを組み合わせていることもあります。それぞれが濃く出るか薄くなるかをよく確認して、それに合わせて調節すれば美しい仕上がりにすることが可能です。
サンプルを何度も出してくれるかは業者によって違いますが、基本的には納得するまで何度でもサンプルを作ってくれます。全体を印刷してもらうことはできない場合が多いので、気になるページを決めておいてサンプルとして提供してもらうのが良い方法です。サンプルの印刷費用がかかることもあることは念頭に置いておき、必ず費用面を確認してから依頼するのも重要でしょう。
理想的な原稿を提出してしまおう
もう一つの対策として考えられるのが同人誌を作っているメンバーの誰かがプリントアウトしておき、印刷を依頼するときに持参する方法です。そのプリントアウトされた原稿の色合いが最も良いなら、このような状態になるようにして欲しいと伝えてみましょう。
基本的には同人誌の電子データの提出を求められますが、希望する色合いでプリントできるように調整をしてくれます。あまり慣れていない人の場合には自分で何とかしようとするよりもプロに任せてしまうのが手っ取り早いのは明らかです。
業者の中にはプロがいることが多いので、相談してみれば試しにプリントして原稿と比較することにより的確な修正を施してくれるでしょう。ただ、どうしてもディスプレイで見ているのとプリントアウトしたものとでは色合いが違ってしまっていて、理想的な原稿を紙媒体として持っていくのも難しいというケースもあります。
その場合にはパソコンやディスプレイを業者まで持っていくことができれば同じように対応してもらうことが可能です。大型で持ち運びが大変な場合にはこの方法は諦めざるを得ませんが、たまたま業者が同じディスプレイを持っている可能性もあるので型番はメモしてから訪れたほうが良いでしょう。表示する際に使うOSなどによっても色調が変わることもあるので、パソコンの環境についても情報を持っていくのが肝心です。
最終手段は業者と相談しながら理想的な原稿を作り上げる方法です。業者にデータを渡してパソコンの画面に表示してもらい、そこで色合いを変えていってこの状態が理想だと伝えれば良いのです。そのイメージを基にして、どのように色合いを変えればプリントしたときに同じになるかを考えてくれます。店頭で対応してくれる業者でなければできない方法ですが、確実に希望している色を出せるという点で大きな魅力があるでしょう。
同人誌を印刷してもらうときには濃い色が再現しない、薄い色が再現しないといった問題がよく生じます。データが同じなのに色合いが違ってしまう原因は、ディスプレイの品質やプリンターとインクが異なっていることに加え、紙質によっても色調が変化するからです。
サンプルを作ってもらい、インクの種類ごとに濃く出るか薄くなるかを確認して微調整をすると改善できます。理想的な色合いのものをプリントアウトして業者に持っていき、それに合わせて修正してもらうのも良い方法です。
自分では理想的な色合いの原稿をプリントできないという場合には、業者に行ってパソコン上に理想の姿を出しましょう。それに合わせて色調を調整してもらったうえで印刷を依頼すれば完成度の高い同人誌ができあがります。