同人誌印刷の入稿方法:CLIPSTUDIOPAINTのサイズ・色・書き出し設定
CLIPSTUDIOPAINTを利用して同人誌を作成した場合、同ツールを使って入稿のための設定を行う必要があります。CLIPSTUDIOPAINTでの同人誌制作に不慣れだった場合、少し設定が分かりづらい人もいると思います。そこでCLIPSTUDIOPAINTを利用して同人誌を印刷する場合の設定方法を紹介しましょう。同人誌をこれから入稿する方は参考にしてください。
初期設定が重要になる
CLIPSTUDIOPAINTを使用して同人誌作成をするときには、コミックを選択して新規作成をクリックしましょう。その際マンガ原稿の調整を間違ってしまうと、予想通りの印刷をすることができないので注意が必要です。例えば裁ち落とし幅ですが焼く5mmにしておくのが良いです。
なお3mmでも問題有りません。 解像度に関してはモノクロ原稿だと600dpiが理想です。カラー原稿の場合だと350dpiにしておくと良いです。基本線数ですが60までにしておきます。もし60を超えてしまうとトーンが潰れてしまう可能性があるので注意が必要です。作成する冊子のサイズですが基本はB5にしておきます。文庫サイズでの印刷を希望しているのならA6判がおすすめです。
ちなみに隠しノンブルにチェックをした場合は冊子の綴じ側にノンブルが付く仕様です。ノンブルのない現行だと乱丁や落丁などのトラブルが起こりやすいため注意しておきましょう。以上の設定をしておけば問題なく、同人誌の原稿を作成することができます。
環境設定と書き出し設定について
CLIPSTUDIOPAINTでは漫画の制作をするときに環境設定ができます。ファイルの環境設定はファイルから「環境設定」を選択すれば操作を行う事が可能です。さらにカラー変換と呼ばれる項目をクリックして、CMYKプロファイルという項目をJapanColor2001Coated(CMYK)にしておきます。一般的に多色使いの原稿は、上記の方法での書き出しを行う必要があります。
次にファイルの書き出しですが、入稿可能な形式はほとんどの印刷業者だと「tif」「psd」形式を使うのが一般的です。bmp形式にしてしまうとファイルサイズが大きくなってしまうのでおすすめはできません。
ちなみに漫画の書き出しをするときには、メニューバーの「ファイル」から「画像を統合して書き出し」をクリックすると良いです。
または「複数ページ書き出し」を選びましょう。 本ツールには「同人誌印刷用データ出力」というものが備わっています。注意点としてカラー原稿がCMYKで書き出せない場合があるので、なるべく使わないほうが安全です。
1ページ毎に書き出しを調整しよう
CLIPSTUDIOPAINTでは1ページ毎に書き出しをするとき、設定をする必要があります。例えばフォトショップファイルの部分は「背景として出力する」をオンにしておくと良いです。出力イメージですが、下描きと基本枠のチェックは外しておきましょう。他にもトンボにチェックを入れます。
ただし出力範囲を「トンボ裁ち落としまで」にした場合はチェックを外しても良いです。テキストもチェックを入れておかなければ、フキダシ内のセリフ抜けが発生するので注意が必要です。またノンブルについてもオンにしておきます。
カラーに関してはモノクロ原稿だとグレースケールを選びましょう。グレーを使用していない場合はモノクロ2階調を選択して書き出しを行います。カラー原稿の場合はCMYKカラーを選び、ICCプロファイルの埋め込みを選びます。出力サイズは元データから拡散率を100%にしておけばモアレが起こる心配もないです。 拡大縮小時の処理ですが高速、もしくは品質優先どちらを選んでも品質に問題ありません。
一括書き出しをするときの調整方法
CLIPSTUDIOPAINTのEX版では一括書き出しを行うことができます。一括書き出しをするときには独自の調整をする必要があります。例えばファイル形式はpsd形式にしておくと良いです。また場合によってはTIFFでも問題ありません。ちなみにレイヤーを統合させている必要があります。
もしレイヤーを統合させていないと必要なレイヤーの欠損が発生するので注意が必要です。色味が変化してしまうなどのトラブルも起こります。ページ範囲の設定ですが、表紙をフルカラー・本文がモノクロなら、表紙のみや本文のみを使い分けないといけません。表紙や本文をフルカラーにするときは、「すべて」を使用して一括書き出しをしましょう。
次に見開き部分を分けて書き出すにチェックを入れます。無線綴じや中綴じなどに関係なく基本的にすべての単ページに対してチェックを入れておきます。左右のページに繋がっているイラストがある場合は、見開き部分だけに分けてページの書き出しを行うと良いです。以上を理解して同人誌の書き出しを行いましょう。
裁ち落としの注意点
CLIPSTUDIOPAINTで入稿を行うときに注意しておきたいのが裁ち落としです。裁ち落としというのは、写真が絵柄などのページの仕上がりを全体にレイアウトして余白をなくす作業です。基本的に絵柄ギリギリでのレイアウトをすると、裁断時の誤差で白地が発生することもあるので注意しておきましょう。この問題を解決するためには、絵柄の3mm程度ははみ出させて画像などを作る必要があります。
重要なイラストやセリフなどは基本枠内に収めるようにするのが良いです。また画面をはみ出せたい時は、イラストの一番外側の線まで描くのがおすすめです。よくあるミスとして裁ち落としと文字がかぶってしまうというトラブルもあります。すると文字の上部が切り取られてしまい、見えづらくなってしまうので注意が必要です。
さらにイラストや吹き出しが断ち切りまで足りてないときは、途中で切り取られたようになってしまいます。そこで漫画を描いたら、細かい部分まで確認をするのが良いです。解像度などが適切なのかチェックしておけばミスもなくせます。意外と経験がある人でもミスする内容なので、同人誌印刷が初めての方はもちろんのこと、まだ経験が浅い方はとくに注意する必要があります。
トーンジャンプの設定をしておく
トーンジャンプとはグラデーションをかけた部分がなだらかにならず、段差のようなものができる現象のことです。トーンジャンプが発生すると見栄えも悪くなってしまうので注意しておきましょう。そこでCLIPSTUDIOPAINTではトーンジャンプをある程度減らすことが可能です。
具体的な方法ですが、グラデーションツールを選択した状態で、ウインドウメニューにあるサブツール詳細を開きます。左側にグラデーションというカテゴリがあるので、選択してディザリングにチェックを入れます。するとトーンジャンプをある程度軽減できるのでおすすめです。
すでに効果を使っている部分は設定を変更しても変化はないので注意が必要です。そのため漫画を制作する前にディザリングにチェックを入れておきます。もしディザリングをしないまま効果を使ってしまうと、もう一度効果をかけ直さないといけないため二度手間です。 同人誌の見栄えを良くするためにも、ディザリングを使用してなるべく絵が劣化しないように工夫をするのが大事です。
CLIPSTUDIOPAINTでは同人誌の入稿をするときに適切な調整を行う必要があります。もし間違ってしまうと漫画の一部分が切り取られてしまう、文字が抜けてしまうので注意が必要です。またトーンジャンプといった問題も起こるため気をつけましょう。これらの問題が発生してしまうと、より完成するまでに時間がかかってしまいます。そのため、少しでもスムーズに作業を行えるように、注意できる点はしっかりと確認するべきです。本記事で紹介した方法を利用すれば、安全に同人誌の入稿が出来ます。ぜひ参考にしてください。