PP貼り・PP加工とは何?特徴とは?
同人誌の印刷を初めてするとき「PP貼り」や「PP加工」という言葉を目にすることがありますが、どんな意味なのか分からないという人も多いでしょう。ここでは、この加工方法にはどんな特徴があるのかやその種類、そして注意点について紹介します。
PP加工とはそもそもどんなものなのか
「PP加工(PP貼り)」とは「ポリプロピレン(PolyPropylene)加工」の略語です。印刷された用紙をコーティングするというラミネート加工の1種であり、本の表紙やカバーなどに使われることが多い加工方法だと言えるでしょう。なぜこのような加工をおこなうのかというと、それは摩擦によって表面が傷ついたり色移りしたりするのを防ぐという、保護的な目的がまずあります。
例えば、表紙に濃い色を多く使ってカラフルなデザインにする場合は、何の加工もしないままだとインクが剥がれやすくなってしまいます。なので同人誌では、そうしたインク剥がれなどを防ぐことを目的にしてこの加工方法を施すケースが多いのです。
そして、用紙の表面を保護するということの他にも、加工をおこなうことによって美観をアップさせる目的もあると言えます。何の加工もしない見た目のほうが好みという場合もあるかもしれませんが、加工をおこなうことによって色を鮮やかに見せたり高級感を出したりすることができるのです。
では、実際の加工はどうやっているのかというと、用紙に絵柄などの印刷をした後に、PPフィルムと呼ばれるものを貼るという手順になるでしょう。このPPフィルムを貼る際は、フィルムに接着剤を塗って、用紙とフィルムを熱で圧着することで貼り合わせをおこないます。
これが基本的な加工手順なのですが、圧着をおこなうPPフィルムにはさまざまな種類がありますし、そのPPフィルムの種類によって見た目が変わってきます。特殊なものではホログラムPPと呼ばれるものがありますが、一般的に扱われているものは「グロスPP」と「マットPP」の2種類になると言えるでしょう。
グロスPPとマットPPの違いについて
一般的におこなわれているPP加工は「グロスPP」と「マットPP」の2種類になるため、同人誌を作ろうと考えている場合は、とりあえずこの2種類の特徴や違いについて知っておくとよいでしょう。
まず「グロスPP」のグロスとは、つやや光沢があるといった意味になるので、グロスPPは表面につやを出すことができる加工という意味になります。ただし業者によっては、つやPPやクリアPP、そして単にPPなどと呼んだりすることもあるため、その言い方が何を意味するのか分からない場合はしっかりと確認しておくようにしましょう。
このグロスPPには、クリアPPフィルム(またはPPフィルム)と呼ばれる素材が使われており、光沢のある仕上がりになるのが大きな特徴です。グロスPPが向いているのは、高彩度の色を使用した表紙やイラストを、より色鮮やかに見せたい場合だと言えます。
しかしこの加工は、表紙をよく目立たせることができる反面、比較的派手な印象になってしまう場合もあります。そのため、シリアスな内容だったりクラシックなテイストを重視したいものよりも、ポップでカジュアルなイメージのものに合っていると言えるでしょう。
次に「マットPP」のマットは、つや消しや光沢がないという意味になるので、マットPPは表面のつやを抑えた加工方法ということになります。このマットPPには、マットPPフィルムと呼ばれる素材が用いられており、用紙表面の光が反射するのを抑えることができるため、光沢の少ない落ち着いた仕上がりになるのが大きな特徴です。
マットPPは、高級感やシックな雰囲気を出したい場合に向いているため、派手な演出を好まないケース・品格やスタイリッシュさを求めたいケースで選ぶとよいと言えます。このグロスPPとマットPPのどちらにするか決めかねている場合は、自分が作ろうとしているものとイメージが近い同人誌がどのような加工をしているのかを参考にするとよいと言えます。
そうした先例をいくつもチェックすれば、成功例や失敗例を見極めることもできるので、失敗しないためにはどうしたらいいかということも分かってくるでしょう。あるいは、業者からサンプルを見せてもらえるのであれば、そちらを参考にして決めるのもよいと言えます。
いずれにしても、加工方法の種類によって表紙のイメージが大きく変わってしまうこともあるため、できるだけ自分が作ろうとしているもののイメージに合ったものを選ぶことが重要になるでしょう。
PP加工を施す際に注意しておきたいこと
ここまでPP加工の特徴や種類について見てきましたが、この加工を施す場合に注意しておきたいこともあります。まず挙げられる注意点は「加工をするにはそのための追加料金がかかってしまう」ということです。先ほど紹介したグロスPPの場合だと、ある業者では一部あたり20円~40円の追加料金が必要になってきます。
そしてマットPPの場合は30円~50円となっていますし、特殊な加工であるホログラムPPの場合は60円~120円となっています。そのため加工をする場合は、製作にかかる費用がその分増えますし、販売する際の値段も高くする必要が出てくるでしょう。
しかし、用紙の表面を保護したり見た目を美しくできたりするというメリットも大きいため、そうしたメリットとのバランスを考えることも大切です。本の表紙というのは一番目に付く部分なので、キレイな加工を施すことによって魅力を倍増させたり、人目に付きやすくなることがあるということも考慮するとよいでしょう。
また、加工するときの追加料金は、先に挙げたように種類によって変わってくるということにも注意すべきです。一般的に、マットPPはグロスPPよりも料金が高くなる傾向にありますし、ホログラムPPなどの特殊な加工はもっと高くなってしまいます。
なので、予算をできるだけ抑えたいという場合は、マットPPよりも安いグロスPPを選んだほうがよい場合もあるでしょう。あるはいグロスPPとマットPPのどちらにするか決めかねている場合は、両方のパターンでの見積もりを取ってもらったうえで検討するのもよいと言えます。
料金以外の注意点としては「加工を施したことによって色の濃度が濃くなったように見える場合がある」ということが挙げられるでしょう。そのため、当初描いたイラストなどのイメージが、加工後に変わってしまうということがあり得ます。特に赤系の色が濃く見えてしまうことが多いと言われているので、赤を多用しているデザインの場合は要注意です。
そしてマットPPの場合は、高級感出せるという特徴がありますが「表面に傷が付きやすい」という性質があるため注意が必要になります。なので、同人誌を運んだり陳列するときは、傷が付かないように十分気を付けながら取扱をするようにしましょう。またPP加工というのは、ある程度の用紙の厚さがないとシワになったりすることがあるため「薄い用紙の加工は避けたほうがよい」と言えます。
PP加工とは、ポリプロピレンで用紙をコーティングする加工方法であり、用紙表面の保護や美観を目的におこなわれます。この加工方法には、表面につやを持たせることができるグロスPPや、つや消しができるマットPPなどの種類があり、同人誌のイメージによって選ぶことが可能です。
注意点としては、追加料金が必要になることや、加工を施したことで色の濃度が濃く見えてしまう場合があること、そしてマットPPは表面が傷付きやすいことなどが挙げられます。