アンソロジーとは何か知ってる?合同誌やゲスト本とは違うの?
同人誌の中には、アンソロジー、合同誌、ゲスト本があります。どれも同じに思えますが、この3つには違う部分があります。今回の記事でそれを紹介します。また、自分でもアンソロジーを作成することは可能です。この際、自分だけでは本が完成しないので、執筆者に協力を依頼するかたちになります。
アンソロジーとは
複数の執筆者が寄稿する本であることは間違いありませんが、違いが明確に分からずに混同している人もいるでしょう。
アンソロジーとは
1つの指定されたテーマに5人以上が寄稿する同人誌です。大人数が寄稿する場合もありますが、人数に明確な定義はなく、あくまで一般的に5人以上といわれています。参加者は2パターンあります。
まず、主催者が声をかけて参加を依頼するパターンです。もうひとつは、公募制で募集する方法です。これにより、親しい知人以外から作品を募集できます。
主催者がメインで行う業務になるため、発行費用の負担、売上金の回収、本の編集作業、印刷所との調整、イベント会場の調整、イベントで本の配布、通販の販売などもすべて行います。
合同誌との違い
違いを見ていきましょう。執筆者を公募しないことと、主催者がいる場合といない場合があります。
合同誌とは
1つの指定されたテーマに2~5人程度が寄稿する同人誌です。アンソロジーと違う点は、執筆者が友人、知人、フォロワーなど自分の親しい人や知っている人だけになります。執筆者を公募しません。
また、執筆者の人数も2~5人と少なくなります。そして、主催者がいる場合といない場合があります。
そして、費用面でも違いがあります。発行費用は折半します。売上も等分です。本を販売する方法は、自分たちで本を等分して各々で販売します。黒字化した利益を、関係者で等分することになります。
ゲスト本との違い
違いを見ていきましょう。前提条件があることと、ゲストに原稿料を支払うのが特徴です。
ゲスト本とは
主催の同人誌という位置づけであることが前提になります。複数名のゲストが寄稿します。ゲストは、知人、友人、主催が好きな作家などです。
アンソロジーと違う点は、前提条件があることとゲストに原稿料を支払うことです。発行費用の負担と売上金の回収は主催が行い、ゲストには原稿料を支払います。本の販売は主催のスペースで行います。
アンソロジーを作りたいのなら
自分だけではできない仕事なので、執筆者の協力が必要です。気持ちよく協力してもらうためには、前もって準備することがたくさんあります。
テンプレートを用意する
企画書や原稿などのテンプレートを用意しましょう。今の時代は手書きの企画書や原稿よりも、パソコンやタブレットを使用したほうが、調整ややり取りがスムーズに進むうえ便利です。
自分で企画書や原稿などのテンプレートを用意するのが難しい人は、インターネットで検索してみるとテンプレートを入手できます。これは関係者以外が閲覧するものではないので、様式随意で結構です。
形にこだわることなく、あまりここに時間をかけずに用意しましょう。
または、インターネットに掲載されているテンプレートを参考にして、自分で必要な項目をピックアップして作成してもよいでしょう。物の準備が後手になると調整がスムーズに進まないので気を付けてください。
後からまた連絡することになったり、再度打ち合わせの時間を設定しなければいけなくなったりするなど、双方にとって負担が大きくなるので、時間的な余裕があるうちに物の準備を進めておきましょう。
企画書の作成
テーマ、発行までのスケジュール、執筆者の募集方法の3つを計画します。これらは途中で変更しても問題ありませんが、テーマは変更しないようにしたいものです。
テーマを変更すると、執筆者を募集するのが難しくなります。同一のテーマに沿った原稿が提供されなくなるので、主催者が不利になります。そのぶん、発行までのスケジュールが長引いてしまうので、後手になってしまいます。
これらのことから、テーマが明確に決まっているのであれば企画書を作成してもよいでしょう。
次に、発行スケジュールを作成するときに気を付けてほしいことは、発行日をまず決定してから逆算してスケジュールを作成することです。よく、現在から未来に向かってスケジュールを組む人がいますが、それはあまりおすすめしません。
計画倒れになってしまう可能性があるからです。発行日を基準に、いつまでに製本を終了するのか、原稿を編集する作業をいつまでに終えるのかなど、逆算して計画を立てましょう。そうすることで、時間的にも余裕があるスケジュールになります。
原稿の仕様を決定する
基本的な仕様は3つあります。イラストや漫画で使用されるカラー原稿、同じくイラストや漫画で使用されるモノクロ原稿、小説の執筆で使用される小説原稿です。
これらの仕様は、小説を書いている人とイラストや漫画を描いている人では認識の違いがあるでしょう。単に原稿といっても、小説を書いている人であれば、小説原稿を連想します。
イラストや漫画を描いている人は、カラー原稿やモノクロ原稿を連想します。大事なのは、丁寧にコミュニケーションをとって認識の違いがないか確認することです。
また、一番オーソドックスな仕様を用いると喜ばれるかもしれません。そのあたりは執筆者に確認するとよいでしょう。
執筆を依頼するときに決めておくこと
執筆前に決めておきたいことがいくつかあるので紹介します。これを先に決めておくことで、修正を依頼する手間がなくなります。また、自分で修正する必要もなくなります。
まず、原稿に記載するのを禁止する内容を明確にします。たとえば、ハラスメント用語、暴力的な表現や差別的な表現、グロテスクな表現などです。これらは、具体的に執筆者に示すようにすると執筆者は分かりやすいでしょう。
次に、執筆者に御礼として渡すものとして、完成作品とノベルティ一式がよいでしょう。薄謝がある場合もありますが、あまり負担にならないようにしましょう。
そして、大抵の場合は巻末にコメントカットが掲載されているので、そちらの作成もお願いするようにしましょう。ただし、小説の執筆をメインに活動している人は、やり方が分からない場合があるので、主催者がサポートできるようにしたいものです。
最後に、著作権に関することです。トラブルを防止するために重要ですが、本に掲載されていないことがあります。この際、執筆者の意向も踏まえて取り決めを決定するようにしましょう。
原稿の提出方法を決めておくとよい
必ず決めておく必要はありませんが、原稿の提出方法は執筆前に執筆者に示しておくとよいでしょう。納品が完了すれば執筆者の業務は終了しますが、その後の印刷、編集、製本、販売などは主催者が行います。
自分の業務の負担を軽減するためにも、あらかじめ原稿の提出方法を決めておきましょう。この際、ひとつの方法に絞ってもよいですが、可能であれば2つの方法を提示すると喜ばれることがあります。
もしかすると、提示した方法以外で納品を希望する連絡が入るかもしれません。そのときは安請け合いせず、自分の業務負担を考えて返事をするようにしましょう。
まとめ
出版社に所属していなくても、自分で本を出版できるので、挑戦してみたい人は楽しみながら取り組んでみてください。
執筆者の中には、作家デビューしたいわけではないけど、趣味で執筆したものを誰かに読んでもらいたいと考えている人がいるかもしれません。
また、作家デビューを目指している人もいるかもしれません。そのような人の夢を叶えるためにも、主催者も執筆者もメリットがあるような仕組みを作っていきましょう。
分からないことや困っていることがあれば、インターネットで検索してみると、色々な方の成功体験や失敗談が掲載されています。それを参考にして少しずつ準備を進めていきましょう。